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第42話

「はいはい、これね。一人一本ずつ持ってってね~」


 俺はエルフたち100人に『電磁加速砲(レールガン)』を渡していく。

 訳の分からないモノを半強制的に渡されて戦士たちは困惑の表情を浮かべている。


「……あ、あの。コレは一体何ですか?」


 一人のエルフ(男)が俺に問いかけてくる。

「ん?ちょっと待ってて…………よっと……ふう。」


 俺は【収納魔法(ストレージ)】から新たな兵器を取り出し、地面に置きながら答える。

「おおっ」っという声を上げるエルフがちらほら居る。


 なんの歓声なの、それ……ただ武器出しただけなのに。


「えっと、これだっけ?」


 俺は『電磁加速砲(レールガン)』を指差して聞く。さっきのエルフは首を縦に振り頷いている。

 俺は少しだけドヤ顔しながら話し始める。


「魔法発動の補助として杖を使う人がいるでしょ?」


「はい、でも杖は貴族のような高貴な身分の人しか持てないくらい高価って…………まさかっ!」


 自分で話し始めながら自分の言葉で気づいたようだ。

 このエルフの話で他の戦士たちも気づきはじめているのでネタばらしをする。


「これは見た目は違う格好をしてるけど正真正銘の杖だよ。杖の名前は『電磁加速砲(レールガン)』。

 俺の古代魔法で初級魔法【雷撃(ライトニング)】の改変(アレンジ)版が付与されてるから。」


「「「「魔法を付与ぉおおおおっ!?」」」」


 王族以外の戦士たちが一斉に驚きの叫びを上げる。

 え?なんかおかしな事言ったかな??


「アルナは古代魔法を使いこなすクレトリア王国公認の《古代を司る者(エンシェンター)》だ。

 なんなら私と陛下、セリカが保証するぞ?」


 珍しくセリカよりもアメリアが先に助け舟を出してくれたようだ。

 俺はニヤニヤした表情でアメリアを見ると、「あの時のお礼だ、勘違いするなよ。」とばかりに睨み、フンっとそっぽを向いてしまった。


 素直じゃないんだから~。


 俺は俺専用の『電磁加速砲(レールガン)』を見せながら、

「まだ説明が終わってないんだ、杖の中心付近にトリガーがあるだろう?」


「ありますけど、何ですか、これ?」


「この杖を自分の魔力で包み込んでトリガーを引くだけで魔法が発動する、いわゆるスイッチみたいなものだよ。……言い方は失礼かもしれないけど、この中で魔力保有量が一番少ない人ってどの人ですか?」


 おずおずと手を挙げるエルフ(男)。さっきのエルフとは違い筋肉質な男だった。

「君か、恥ずかしがらなくていいよ。魔力の操作は出来るかい??」


「一応は……でも俺、初級もロクに発動できませんよ??」


「大丈夫さ、騙されたと思って試してよ。[創造(クリエイト)]」


 俺は20メートルほど先に直径2メートルくらいの岩を創り出す。

 まあ、的の代わりなんだけどね。

 さっきの彼は緊張しているようだ。


「じゃあ、あの岩を照準して撃ってみて」


 エルフの彼は真剣な表情して魔力を体内で操作し始める。

 両手から微々ではあるが魔力が『電磁加速砲(レールガン)』を包み込んでいく。


「……うん、おっけ。じゃあ発射してみて。」


「了解です。……え?……どわああっ!」


 後半の叫びは電磁加速砲(レールガン)の発射の際に起こる反動で後ろに吹き飛ばされるものだった。


雷撃(ライトニング)】は音速に近い速度で放たれる、彼の叫びと同時に大きな破壊音が聞こえ、粉末が舞い散り、岩の状態が確認出来なかったが、散りが収まると、俺の創った岩は粉々に砕け散っていた。


「…………うーん、もう少し威力落とした方がいいのかな……まあ、いっか。」


 初級魔法の威力ではないこの武器の威力に驚き目を見開いている。

 彼はまた違う事で驚いている。


「え!?……魔力がほとんど減ってない?」


「その通り!俺の改変(アレンジ)版【雷撃(ライトニング)】は可能な限り魔力消費量をゼロに近づけ、威力を上級魔法に近いくらいまで上げたのがこの『電磁加速砲(レールガン)』なのさっ」


 どうだっ!と言わんばかりのドヤ顔をしているであろう俺。

 しかし否定的な意見も出た。


「威力はたしかに凄いが、我々エルフの戦い方には不要な気がする。」

「そうだよね、こんなの使えないし。」


 え?何言ってんの、こいつら……バカなの?

 おっと、本音が漏れてしまった。


「ふーん、まあ使う使わないは自由だけど?

 エルフの誇りと命を天秤に掛けてもここの戦士は誇りを選ぶんだね?」


 俺は義姉さん(アメリア)に聞いてみる。

 一応、戦士隊の隊長な訳だし。


「確かに長年培ってきた誇りは大切にしなければならないが、今はそんな事言っている場合ではない。

 前回の襲撃では国の半分の民が怪我を負った。しかも今回は前回の倍以上のモンスターがいるのだ、お前ら……死ぬぞ?」


 ゾクリと背筋が凍りそうなほど冷たい眼光を放つアメリア。

 戦士隊の皆はゴクリと生唾を飲んでいる。


「矛盾するけど、この武器は君たちが使いたいときに使えばいいさ。多分最上級魔法の【爆破(ブラスト)】並みの威力がなければこれに勝る事は出来ないけどね。」


「まあ、お前たちが使わなくとも私は使うけどな。」


「私も姉さんと同じく使いますよ、魔力消費がほぼゼロってことは大事な時まで魔力を温存できますし。」


 アメリアもセリカも俺の武器を用いるようだ。

 2人の肯定的な意見を聞いて戦士たちは……


「確かに、アメリア様とセリカ様の言う通りかもしれないな…………」

「あの威力を目の当たりにして使わないなんてバカみたいよね。」


 お、使ってくれるか?って言うか使ってくれないと俺の努力と魔力が無駄になるんだけど。


「じゃあ、使うって事でいいかな??」


 戦士隊の皆は頷いている。

 じゃあ、もう一つ武器を紹介しておくか。


「えっと、もう一つね。よっこいしょっと……これは『対モンスター用地雷(マイン)』って言うんだけど、効果としては最上級魔法【爆破(ブラスト)】並みの攻撃力があるかな。これを一人ずつ設置してもらって…………どうしたの??」


 アルナは自分がどれだけ凄い事を言っているのか気づいておらず、エルフ達は唖然としている。

 その空気を感じたのか途中で確認している。


「君が言っている事が常識の範囲から外れ過ぎていて皆驚いているんだよ~」


 セリカはアルナの常識の無さを理解しているのでこうなる事は分かっていたようだ。

 失礼な、非常識のつもりは無いんだけどな~。


「…………じゃあ、戦士隊の皆は西のオーク達を頼むよ。」


 いきなり雰囲気が変わるアルナ。頭を地面に向けているせいで長い髪が邪魔になり表情が読み取れない。

 しかし、その容姿からは出なさそうなドスの効いた低い声が周囲に響き渡る。


「俺は北のモンスターを潰すからさっ、あははっ!」


 顔を上げながら、歓喜の声を発する。

 狂気に満ちている笑顔を見て全員が一歩引き下がる。


 それだけ言うとアルナは城内に戻っていった。


 だがセリカは見逃さなかった。

 アルナの目が真っ赤に染まっていたことを…………。



次の更新は12日を予定してます。

もしかしたら出せないかもしれませんがその時はごめんなさいっ!

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