第40話
投稿遅れてごめんなさい!
4人の内、最初に口を開いたのはセリカだった。
「ニーズヘッグ様の言っている世界樹とはアルンヘイムの事ですか?」
ニーズヘッグはその質問に答える前に言う。
「貴女様は召喚主様の奥方故私に敬語は不要でございます。」
敬語は不要と言われても神獣には敬意を払わなくてはならないとされるエルフの暗黙の了解がある為憚れるセリカは慌てて言い返す。
「そ、そんな、それダメですって!……ひっ…………本当にいいんですか?」
ニーズヘッグが有無を言わさない気配を放つので仕方なくもう一度聞きなおす。
べ、別にそこまでやらなくてはいいんじゃ…………
よく分からないドヤ顔で言う。
「勿論でございます。」
「わかり、……わかったよ、ニーズヘッグ…………。これでいい?」
「はい、では質問に答えさせていただきます。私の守護していた世界樹は別名アルンヘイムと呼ばれています。全ての生命が生まれたとされる場所です。」
「それはどこにあるんだい?」
会話に入りたかった俺はここぞといわんばかりのところで聞いてみる。
「ここから北の方角にある、皆様にはダンジョンと呼ばれる場所の地下深くに存在します。」
一つの可能性に行き着いた俺はもう一つだけ質問をしてみる。
「世界樹には何か果実のようなものはなるの?」
「勿論です、願いを叶えるとされる果実が…………」
はい。決定ですね。
レイザルの前皇帝はこの実を手に入れるために民族浄化という名目でエルフの血を利用し、ニーズヘッグの対抗策を見出し、ニーズヘッグを封印したって事なのかな。
「…………レイザル滅ぼすか?」
「「「「いやいやいやっ!」」」」
俺の呟いた言葉にゾッとしたようで慌てふためく4人。
事実、やろうと思えば出来てしまう所が余計にタチが悪い。
俺の呟きに驚いたのは4人だけではなかった。
「っていうか、俺の前で隠密行動は出来ないよ?」
俺は素早く魔刀ミナカゲを生成し、入ってきた扉に向けて放つ。
「なッ!?」
俺の不意打ちに対応できなかったのか、そいつは自身を透明化していた魔法を維持できなくなり、俺達に姿を見せてしまう。
そいつは予想外の女性だった、狐のような耳が金髪からはみ出しているいわゆる獣人と言うやつだ。女性特有の凹凸が激しく、見惚れてしまう者が多いと思われるが、今の俺には関係ない。
「……お前は…………レイザルの間者か?」
「はっ! そうだって言ったら??」
余裕ぶっているのか挑戦的な笑みを浮かべている。
すげえなあ、神が2体降臨しているというのに…………
「貴様の存在がこの世に残らないよう隅々まで焼き尽くしてやるよ。」
俺は全身を凍らせそうな冷徹な声で言い放つ。
「…………あんたなら出来そうだからなんも言えねえや」
両手を挙げて降参の態度を取る獣人。
「それで? 何をしにこの部屋へ侵入した?」
「ん~、なんとな…………い、いや冗談です。はい。」
今の俺は冗談も受け付けられないほど気が立っているのか無意識に殺気を放ってしまう。
「北のダンジョンにいこうと思ったら赤い鎧を着た騎士に会ってね……そこであんたの会話を傍受しろって言われたのさ。」
「……それだけが理由じゃないだろう?」
「ああ、家族を人質として捕らえられててさ……言わずもがな奴等の言う事を聞かないと。」
赤い鎧を着た騎士ってどこだ?
レイザルの兵士は銀色だったし……まあ、人質とか姑息な手を使っている時点で慈悲など与えずに潰すけど。
「同情はするが、これ以上聞かれると俺も困るんで拘束させてもらう。【拘束】」
俺の創造魔法【拘束】は自身の魔力によって相手の身動きを封じる。
彼女の腕や脚に巻き付く俺の魔力。
「【記憶消去】」
使用者が対象の一部の記憶を消すことが出来る創造魔法。
消去するのは勿論俺の正体や神々の降臨について。それ以外はいつも通りって感じかな。
この部屋に入った瞬間からの記憶を消去すると彼女は目をとろんとさせてぼんやりしている。
そんな彼女を【空間転移】でこの国の外へ追い出してから俺は会話を再開させる。
「邪魔は取り敢えず片づけたから…………ってどうしたの??」
一連の行為に驚いている神やオルターにエレン、セリカにアメリア。多分、見つけた事よりも適当にあしらって外に放り出した事の方に驚いているのだろう。
潜入のプロだったら俺はもしかしたら気づかなかったかもしれないが、素人同然の冒険者に出し抜かれたりはしない。
「それよりも話の続きはいいのかい??」
「君はこの世界にしっかり適応できているようで僕は安心したよ。」
バハムートはまるで息子の成長を喜ぶような声音で言った来る。
まあ、地球ではこんな経験は縁はないからね。
「私もですよ、いつの間にかレベルも400超えてるし。」
「流石、私の召喚主様です!」
ティーナとニーズヘッグもバハムートに続いて褒めてくる。
「っていうかこんな話をする為に皆を呼んだんじゃないから!」
そういって俺はバハムートに目を向け視線で促した。
バハムートは俺の視線の意図に気づいたのか、溜息を吐いてからオルターたちの方を向く。いきなり自分たちの方に目を向けた神に恐怖か肩を震わす。
「ああ、叱ったりじゃないから落ち着いて? 逆に僕が叱られる方さ。」
「へ?? な、なぜですか……?」
オルターが聞き返してくる。
「私はレイザル魔法帝国に崇められている神らしいのさ。」
セリカ以外の3人が今度は恐怖ではなく怒りに肩を震わしている。
「言い訳ではないが私は一回もレイザルに神託を下した事が一回もない、欲に溺れた子が神の名の下にとか言って君たちを壊していった。済まなかった。」
龍の姿で器用にも頭を下げるバハムート。
「私からも謝らせてください、エルフ族に代々伝わる世界樹を守り切れなくて……ごめんなさい。」
姉の謝る姿をみてかニーズヘッグも頭を下げる。
まさかの神龍と神獣に頭を下げられるという有り得ない現状にまたもや頭がこんがらがる4人。
「2人の罪を拭う訳ではないが、北と西のモンスターに関しては『神の使徒』の名で全て蹴散らしエルフに被害が出ない事を誓う。どうか2人を許してやってくれないか?」
そこに俺も加わり頭を下げる。
「…………分かりました、許しますから頭をお挙げください神よ。」
オルターは重々しい声音でしかし部屋に響くように発した。
俺の方を向きながらオルターは問う。
「アルナくん、君は我々を救うと言ったがそれには及ばない。私達にもやはり意地というものがある 君にばかり助けられていると本当にいざっていう時には動けないと思う。」
一拍置いてからまた続ける。
「だから今回は一個人ではなくクレトリア王国公爵、アルナ=アルヴアートとして参加してくれ。」
え?? それには何の意味があるんだ?結局同じなんじゃ…………
「報酬が目に見えているのと見えていないのとじゃ客観的な捉え方が違うとは思わないのか?」
「はあ…………、まあそういう事にしておきます。」
俺はオルターの考えを深読みできなかったので曖昧な返事で誤魔化す。
ただ俺はこの戦いで誰も死なせはしない事を密かに決意していた…………
明けましておめでとうございます。
今年もどうぞ『異世界を冒険する旅へ』をよろしくお願いします!
活動報告も更新しましたのでそちらもお読みください。




