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第3話

「お恥ずかしい所をお見せしました……」

 ひとしきりすべてを吐き出し、泣いた裕哉もといアルナは顔を真っ赤にして恥ずかしすぎて皆の顔を見る事が出来ない。


「泣きたくなったらまた言うといい」


 まったく、どこまでも優しい父さんだ。


「では、まずは家族を紹介しなくてはな、裕哉君………いやアルナでいいか、家族だからな」

「そうしてくだ……いや、そうしてくれ、父さん。」


 やっと家族に入れた気がする。親父は嬉しそうな顔をしている。


「アルナ君、鏡で一回自分の顔を見た方がいいですよ」

 神さまは怪訝な顔をしながら言うが、アルナは神さまは何言ってんだ…? という顔をして首をかしげる。


「父さん、机の上にある手鏡をとってくれない?」


 親父は何も言わず手鏡をとってきて俺に渡してくれる。

「アルナ、絶対にお前は男だからな………」


 え? なんで? 男なんて分かってるんだけど……


 不思議で訳が分からなかったが俺は手鏡を覗いた。

「なんだこの顔!? 頭が重かったのは髪が後ろで縛ってあったからか…………」

 アルナ=アルヴアートの顔は夢に出てきたあの子の顔であった。


 あぁ、だからあの時よろしくって言ってたのか、いろいろ分かってきたぞ。


「アルナ君って言うよりアルナちゃんですね……ふふっ……」

 神さま、絶対意味深な事考えてるだろ、あのニヤニヤした笑顔を見るだけで身の毛がよだつ。


「まあ、アルナよ、まず皆に会ってくれ、悲鳴が上がった時、私だけが行くように指示をしてたからな、皆待ちくたびれてるだろう。」

「わ、わかった、それはいいんだけど、あのさ、足が動かないんだけど…」

 なぜか足に力が入らない。どうやらずっと寝ていたと推測はできるが……。


「そうだったな、アルナ、お前は1ヵ月ほど寝たきりであったからな。アイカ、車椅子を倉庫から持って来てくれ。」

「はい、旦那様!」

 メイドの名前はアイカというのか、茶髪に日本人のような童顔だったな。父さんが指示を出すと嬉しそうに返事をした。


「ちょっと待ってください。」

 女神様がアイカと親父を止める。自分の仕事を取られアイカは不満そうだ。


「私はアルナ君に渡しましたよ?もう頭の中で構成されてるでしょ?」

「わかってるよ~、えっと、[身体強化(ブースト)]発動」

 アルナの周りに魔力? が嵐のように吹き荒れる。


「きゃっ!」「うわっ!」


 二人とも俺の魔力の嵐に吹き飛ばされそうになる。

 スキル[身体強化(ブースト)]はその名の通り身体を強化するスキルである。身体の一部分に集中させて使うことで疲労なども回復させることが可能になる……らしい。

 アルナの足に魔力が注がれるとたちまち嵐が収まる。


 うん、いつも通りに動くことができるようになったな


「うーん、もうちょっと効率化ができそうな気がするなあ。」

 集中の渦に巻き込まれそうになるが、おでこに衝撃を受け引き戻される。

 おっと、危ない。


「アルナ君、今は皆のところにいきしょう?」

「そうだったね、ありがとう」


 普通にベットから降りて両足で地面を踏みしめる。すぐそこにあるクローゼットから上着を取りに歩いていき羽織る。


「「大丈夫なのか! (なのですか!)」」

「別に平気だから、早く行こうよ」

「アルナくーん、私は天界に還りますから!楽しんでくださいね~」


 家族の再会を楽しむってどういうことだよ……


 アルナと女神は部屋を出るとそのあと天界に戻る。

「父さん? アイカ? 早く~!」


 催促するとすぐに我に返った父さんとアイカは、部屋から出てくる。

「システィーン様は?」

「天界に還ったよ、家族と水入らずでってさ」

「おお、なんと優しい神なんだ、じゃあ行こうか」


 親父についていき廊下を少し歩くと大きい広間に出る。


 そこには騎士や魔導士に守られた俺の新しい家族がいた―――

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