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第38話

「うぅん……むぐっ…………んん?」


 俺は顔面に柔らかい感触を感じ目が覚めてしまう。目の前には俺の顔を覗き込むセリカ。頰を、耳を赤くしている。


「おはようございます、アルナ。結構大胆なんですね?」

「お、おはよ……ご、ごめんって…………」


 何言われるか分かったもんじゃないので謝っておく。


「……で、でもほんとは、アルナといろいろ……」

 何言ってんのこの子は……


「うぅ〜ん……取り敢えず朝ご飯食べたいから、食堂行かない?」

 この雰囲気を変えるべく話を変える。


「そ、そそ、そうですよねー! はい! いきましょー!」


 このテンション上がり具合は、どうやら恥ずかしさを隠してるのだろう。すると、ぐぅ〜っと俺のお腹が鳴った。セリカは微笑んで言う。


「あ……」

「ふふっ、じゃあ、いきますか?」


 そういって俺たちは食堂へ向かった。



 そこには既に食べ終わったであろうアメリアとオルターがいた。

「おはようございます、朝早いんですね?」


 現在は朝の6時半だ、王はもう少し寝ているかと思ったから正直に言ってしまった。


「おはよー、アルナ君。国がこういう状況なのにいつまでも寝てはいられないからね」

「おはよう、アルナ。今日も頼んだぞ」


 アメリアはそれだけ言うと食堂から出ていってしまう。


 なんか、昨日より冷たい気がするのは俺だけかな?


「どうしたんでしょう、姉さんったら……」

「それはきっとアルナ君のおかげよ」

「へっ? 俺ですか?」

「アメリアはね、ああ見えて負けず嫌いでね……この国に勝てる者はいないと思っていたのだけどそこに君が来てくれた。要するにいい目標が出来たってところかしら」

「たしかに、姉さんは最近鍛錬が増えた気がしたし、そういうことか〜」

「お、俺に怒ったり、嫌ったりしてる訳じゃないって事ですか?」

「そういうことよ?」


 よかったぁぁぁぁあ!!



 俺とセリカは食堂で朝ごはんを食べている。

 ここのご飯美味しいなぁ……


 感慨にふけっているとオルターが話し掛けてくる。

「今日のスケジュールはどうなっているの?」

「今日1日で怪我人の治療を終わす予定です。」


 昨日で治療に掛かる時間が大体把握できたし、北のやつも猶予があと1週間と少ないから早く対処しないと……


「あと8000人強もいるのに今日で終わす!? ……いや、ごめん。私が話してるのはアルナ君だったね……」


 その言い方は流石の俺でも傷付きますからね? っていうか常識外れなおらねぇえええ!



 この後、結局午前中くらいで終わった。酷い人は両腕欠損したり、両足欠損の人がいたけど話を聞きながらゆっくり精神の方も改善した。


「はあああぁぁぁ~……もう北の軍勢の偵察にでも行こうかな…………」

「私も行きますか??」

「ううん、俺一人で大丈夫だよ。別に今日潰しに行く訳じゃないし」

「まあ、どうせ返り血浴びて帰ってくると思いますけどね……」


 バレバレですか……セリカには隠し事は不可能だね


「危険は冒さない、それは約束するよ。」


 確固たる信念? を秘めた瞳でセリカを俺はじっと見つめる。


「……はあぁ…………そんな事言われたら断れる訳ないじゃないですか。気を付けて行ってきてくださいね??」

「もちろん、お義母さんには北を見に行ったって―――」


 そこまで言いかけるとオルター、部屋のドアをたたき付けるように開けてアルナに叫ぶ。


「アルナくんっ! アメリアが、アメリアがっ!」

「どうしたんですか、義姉さんが?」

「北の軍勢に単騎で向かったって哨戒隊の子たちが教えてくれたんだけど……」


 あの人は何やってんだよ。


「じゃあ、連れて帰ってきますね。バカ義姉さんを。」

「よ、よろしく頼むよ。無事に連れて帰ってきて…………」


「アルナ、私からもお願いです。姉さんを連れてきてください。バカをぶっ飛ばしてあげます。」


 おお、怖い妹さんですな。


「分かった。じゃあ、行ってきますね。」


 そう言って俺は城の中の中庭から[空中歩行(エアウォーク)]で走る。


 うーん、北って言っても広すぎて……あ、探査(パルス)を大きくすればいいのか。……ん? 人の反応が10人? アメリアは……これは戦ってる―――!


 俺は全速力で向かう。音が後から聞こえる、音速走行である。




「な、なぜここに人族が…………」

 私は北のモンスターを討伐しようとしていたのに……邪魔だが、実力は確からしく逃げるに逃げることが出来ない。


「ヒヒっ、エルフだぞぉ~。これは売れるなああ」

「上物だなあ、俺たちでまず味見して…………ギャハハっ!」


 卑下たような下品な笑い声をあげる、10人ほどの騎士。

 誰がどう見てもくそ野郎な奴らだった。しかし装備は一級品で実力もないやつに渡されるようなものではなかった。


「貴様らは一体何者だッ!」

 自分を見てニヤニヤしている奴らに警戒心を露わにして叫ぶ。


「はあ? 俺たちはレイザルの騎士さ。」

 少しだけムカついたような声で言う。


「それだけ聞ければ十分さ、お疲れさん。」


 何も感情が籠っていない冷たい声がふと聞こえると答えた騎士の私に向けられていた右腕がサクッと斬れ落ちた。


「へ?? ……ギャアアアアァ!」


 ブシュッっと血が噴き出るがすぐに止まる。

 そんな事が出来るのはあいつだけだ。不意に気配を感じる。私の後ろの木の陰に一人の少女が佇んでいた。




 俺は義姉さんに手を向けている一人の騎士にミナカゲを操り腕ごと斬った。

 マジ俺の家族に邪な感情を向けんなよ……分からなくはないけど…………


 俺は義姉さんの後ろの木の陰に降り立つ。俺は影から出るように歩き出す。


「誰だ貴様ッ!」

 10人の内の一人が怒鳴った。


「それはこっちのセリフなんだよね~。貴方はレイザルの皇帝陛下直属大翼騎士団団長、アカデリア=レイナールさんですね?

 ここはクレトリア王国の友好国、フォレスタの領内。これはクレトリアに対しても敵対行為として見ていいんですね?」

「なぜ、私の名を…………貴様は一体……」


 名を当てられ動揺を隠せないアカデリア。


「クレトリアの任命式でお会いしましたが??」


 俺はフードを外し、顔を晒す。全員が驚愕に包まれ、声も出ないようだ。それもそうだろう、ここにいるはずのない奴がいるのだから。


「私はアルナ=アルヴアート、クレトリア王国国王直属部隊『バハムート』の隊長です。」

 俺はフードの中に着込んでいる鎧を見せつける。


「そんなことは! 我らは敵対行為をしているわけではないッ!」


 もう、そうやって大声で露骨に否定すると嘘っぽく聞こえるけど…………


 俺は思い付いた答えを少しばかり言ってみる。


「じゃあ何しに来たの? エルフを攫いでも来たの? それともダンジョンの解放かい?」

「ぐッ…………!」


 図星かーいっ! 頑なな性格故に嘘をつくのが苦手なのだろう。


 俺はちょっとばかし甘いと思うが提案してみた。

「このまま何もせずに帰国するというなら見なかったことにしよう。だが、目的を果たそうとするのならば――――」


 俺はそこまで言うと俺を中心にミナカゲを創造し飛来させる。殺気を含めながら静かに言う。


「俺の刃が貴様らを斬り刻むだろう。」


 ゴクっと息を飲む音が響いた。

「わ、分かった。貴殿の言うとおりにしよう…………すぐに出る。いくぞお前ら。」


 アカデリアは首を縦に振り、離脱しようとするが1人の騎士が怒りを露わに怒鳴り散らす。


「ですが団長……あいつはディーの腕を…………!」

「は? てめぇらが先に手を出したんだろうが……殺すぞ」


 アルナは目を細め、気絶するくらいの殺気を放ち始める。ディーといきなり口を出してきた騎士は言葉に詰まっている様子だ。


「くそが……」


「[再生(リヴァイヴ)]」

 少々面倒だが仕方なくそのディーとやらの右腕を治した。


「なッ…………!」 

 またもや、いや、さっきよりも大きい驚愕に包まれる。俺はすぐに殺気を飛ばす。


「絶対しゃべるなよ、喋ったら頭を飛ばしに行くからな」


 全員が恐怖におののき首を縦に振る。そういう事で彼らはすぐにこの場から離れていった。

 一応、探査(パルス)に印をつけておこう。念には念をってね。



 それよりも――


「義姉さんッ!」

 今まで出した事も無い大声で怒鳴る。俺の豹変ぶりに驚き、またバツが悪そうに顔を背ける。


「あんたは一体何やってんだよッ! 自分の立場を理解してんのかよッ! 義姉さんはフォレスタの未来を担う次期女王なんだぞッ!」


 俺に言われっぱなしで何も言ってこない、ただ悔しそうに唇を噛み締め、手を握り締めている。

 俺はそんな態度にも腹が立った。


「何も言い返してこねえのか! あんたの母親が、妹が、家族が心配してたんだぞッ! まだ18年しか生きていない俺にこんだけ言われてどう思ってんのさッ!」


 ようやく何か言う気になったようで、ゆっくり口を開く。

「悔しくないわけがないだろう? 私はこの国で一番になる為に日々鍛錬し続けてきた。どんなに辛い事があっても鍛錬だけは続けてきた、自分の積み上げてきた自信を崩された気分をお前は考えたことはあるのか? 私は羨ましかった、お前の力が、皆に認められるお前が…………」


 今まで聞いた事のない本音を聞いて俺は……

「確かに俺はそんな事は考えた事はない。この俺の力も俺が積み上げてきた訳じゃないし。」

「じゃあッ!」


 反論しようとしてきたアメリアに俺はまた怒鳴る。

「力を手に入れるためにお前は家族を失ってもいいって言うのかッ! この世界に絶望したってんならしょうがないって俺だって割り切るさ、でもあんたは家族や仲間に大切にされているのに気が付かないのか?」

「うっ…………」

「まずは帰ろう、それに俺が出来る事があるなら何だって手伝うからさ」


 俺は今までの怒気を冷まして、優しく微笑みながら言う。


「あと俺の本当の正体も話さなくちゃいけないからさ。」

「…………わ、わかった……………………」


 そんな俺の言葉に渋々頷いてくれるアメリア。


 俺は不意にアメリアの手を取る。

「なっ! ちょ、ちょっと、アルナ!? 何をしてるんだ!」


 あれぇ? 思ったより男慣れしていないな義姉さんは。


「【空間転移(テレポート)】」


 俺は新たに創った創造魔法でアメリアと北の森から離脱する。



 俺が早くするように急がせたのには理由があった。北から俺でも背筋が凍りそうなほどの禍々しい魔力が俺の探査(パルス)に反応していたのだ。


 あれはちょっとばかし本気でやらないとヤバいね…………


 北と西からの攻勢に焦るアルナだった。


口喧嘩のシーンって言葉選びが難しいです。

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