第2話
女神システィーンに不敬?を働いた男とメイドさんは俺の必死な説得により、数分間の土下座から頭を上げるのだった。
「私の息子と神システィーン様はどんな関係があるのでしょうか」
男は頭をあげたと思うとさっきのふざけた態度から一転、真剣な表情をして言うので、若干緊迫した雰囲気になる。
「あー…やっぱり気になっちゃいますよね。えっと、裕哉くん、ステータス見せてあげて」
いきなり俺にふるなし…あとさっきなんて言った? 息子?? 俺が?
「え? 女神さまがやったみたいにすればいいの?」
「そうですよ、ステータス・オープンって言ってください」
「了解です、えっと、ステータス・オープンっ」
神さまが言った時のように裕哉の前に半透明の小さな窓が展開された。
まず俺が確認すると………この数値おかしいだろぉお!
と心でツッコミながら石像のように固まる。何事だと思った父さん?も寄ってきてステータスを覗くと同じように固まる。
「なっ………!」
ステータス
名前:アルナ=アルヴアート 種族:人間??
称号:転生者、世界を統べる者、世界の救世主
レベル:248
HP:125734
MP:87046
STA:1744
VIT:1278
INT:3256
MND:1453
AGI:4089
DEX:1985
【魔法適正】全属性
【召喚魔法】神システィーン、○○○、○○○
【スキル】自動回復、 魔法破壊、魔法障壁etc…
名前が変わってるぅぅー! なんだこれ、どんなチートだよ、まだ召喚対象がいるのかよ、やけに脳筋なパラメータだし、etcってあと何個スキルあるんだし……そりゃあ人間?? ってなるわな。
「女神さまの主って俺なの? あとこれ神さまのせいでしょ??」
女神さまは自慢げに胸を張る。胸が大きく揺れる。がんふk――――っじゃなくて……
「そうなりますね、私はこの世界を救ってもらうまでは貴方に死んで欲しくないので。ちょこっと盛りすぎましたけど。」
「いやいやいや!流石にやりすぎでしょうがぁ! 世界の均衡が破壊されるわ!」
「まあまあ、あと称号について説明すると、その人の職業や身分を証明してくれます。裕哉くんはこの世界のアルナくんに転生したのです。」
元々のアルナは転生者の魂の憑代だったのか…なんか申し訳ないなぁ………
「システィーン様の神託はこの事だったのですね。」
「そういうことです。」
父さん? がいともたやすくこの事実を受け止める。
はっ? 2人とも何言ってんの?
「アルナくんは別人のように生まれ変わり世界を救うでしょう、と私はこの国の王に神託を施したのです。だ、か、ら、頑張ってくださいな」
………いやいや、いくら何でも人任せすぎでしょ。
「アルナよ、転生と言う事はこの世界の事をまだ分からない部分があるだろう。このクレトリア王国の魔法学院などに行ってみてはどうかな?」
「父さんでいいのかな? 俺の事恨んではいないの?本当のアルナくん?は俺が消したとも言えるのに……」
裕哉はこの事が一番気がかりだったのだ。いくら神託やら世界の救世主だとしてもアルナ本人を殺したのは俺に違いないのだから。
「私はアルナが息子だと思っている。いくら人格が変わろうがアルナはアルナだ、君はこの世界のためにアルナと一緒に生きてくれ。裕哉君と言ったかな?新しい私の息子としてこれからよろしく頼むよ」
俺の新しい親父は人ができていて、心が広いなぁ……あれっ、目から何かが…溢れてくる…。
「え? なんだこれ?」
負の感情を今まで心のどこか奥底にしまってきたものが、親父やメイド、神さままでが微笑ましそうに、慈愛の満ちた表情で決壊したのだった。
「うぐっ……うわあああぁぁあ……」
泣いている間親父は俺を抱きしめてくれていた。その温かさが心に染み渡った。
そして泣きながら決心する、俺はこの人たちを、世界を絶対に救うと…………!
短いですね、次回から頑張りますっ