第28話
俺はフォレスタに入る前の見事な彫刻が彫られている城門の前で国内に入る手続きを受ける。
いや、特に身分証を提示して持ち物検査するくらいなんだけどね? 持ち物といっても全部【収納魔法】に入っているからどうにもならないんだけどね。
セリカとセリカのお姉さんのおかげか、ここはすんなり通れる事が出来た。アルナはその城門から15分ほど歩くと聞いたので話しかけた。
「ねえねえ、セリカのお姉さん。」
「ん? なんだ??」
「名前教えてほしいんだけど、流石にお姉さんじゃ呼びにくいし……」
「そうだったな、忘れていたよ。私はアメリアだ。アルナ改めてよろしくな。」
「ああ、こちらこそよろしく。それで被害を受けたエルフはだいたい何人くらいいるの?」
「ああ、今確認しているだけで約300人だ、負担を掛けるがこの人数を聞いて辞めたいと思ったか??」
俄然やる気が出てきたけど??
「いいや、全然……ただ俺もきついものはきついから用意してほしい物があるんだけどいいかな??」
「私たちが用意できそうな物ならいいぞ」
「じゃあ、ありったけの魔力ポーションを用意してほしいんだ」
「普通の人族なら魔力は少ないもんな。古代魔法も消費魔力は多いと聞いた事があるしな」
「まあ、俺の魔力量は10万を超えてるけどね??」
これ喋って良かったのかと思ったが撤回するには遅かったようだ。
「「「「はああああああっ!?」」」」
20人が叫び声を上げた。うるさっ!
「嘘じゃないですよ、姉さん。アルナくんは古代魔法を複数使っても全然枯渇しそうにならないし、しかも【魔力剣】を10本創り出して同時操作もしてましたから。」
魔力で創った剣をエルフは【魔力剣】っていうのか……
まるで信じられないという唖然とした表情をしている。だがそんな表情もある出来事を機に消し去る。
10メートルほど離れた繁みからオーガらしきモンスターが10体ほど来襲していたのだ。
全員が一斉に武器を取る。
いい機会だね。
「ここは任せてよ、俺の魔法見ればさっきの魔力量も信じられると思うし……」
全員が俺を見てからアメリアの方を向く。やれやれといった表情で頷く。
「分かった、だが危なくなったら加勢するからな?」
「おっけ~、じゃあ【並列思考】【創造】魔刀ミナカゲ」
俺は前のオーク戦と同じ様に魔刀ミナカゲを10本創る。
この時点でエルフ達は既に驚いている。練成して時間をかける【魔力剣】をさも簡単に一瞬で創ったのだから。
オーガは俺の魔力の流れに気づいたのか、エルフの国に向けていた顔をこちらに向ける。攻撃されることに怒り叫びながら俺たちの方に走って向かって来る。
「ガアアアァアアッ!」
オーガキングはいないようで俺は若干不満そうな顔をするが、歩幅のせいかすぐに俺に近づき鉄の斧を振りかぶって攻撃してくる。俺が防御も何もしてこないのを見てオーガは口角を上げて卑下したような顔をしていた。
だが、そんな顔はすぐに怒りに包まれる。
俺がアメリアと話していた時に構築したクレトリア王国国王が解読したあの古代魔法を展開していたのだ。
【絶対防御】
鉄の斧は防御障壁にぶつかると火花のようなものが飛び散る、それは鉄の斧が粉々に砕けたモノだったのだ。
「何もしてないと思ったのかい、この底辺バカモンスター様よぉ……まだオークの方が頭良かったぞ??」
モンスターとは言葉の意思疎通は出来ない筈なのだが俺の侮蔑満載の顔と声音を聞いて顔を真っ赤にする。
「おいおい、モンスターの割に表情が豊かじゃねえか、人間よりも人間らしいぞ??」
得物がなくなったオーガ達は仕方ないという様子で後方に引き始める。
「なんだい、武器がなくなったら後方に引くのかい??何とも情けないねえ………」
俺は興が冷めたように言う。
「全員死ね……」
そう呟いて展開していた魔刀ミナカゲでオーガ達を迎撃する。
それはただの虐殺だった、オーガ達はその凄まじい速度で飛来する刀に対処できずに次々に首を刎ねられていったのだ。
辺りが血の海になるが俺は涼しい顔をして聞く。
「オーガって食べられるの?」
「え? あ、ああ……そうですねぇ……この損傷具合なら大丈夫だと思いますよ……でもオススメはしないですよ? 私は苦手です。」
セリカは食べた時を思い出したのか苦虫を噛み潰したような顔をしていた。
へぇ~……ゲテモノ的な感じなのか、首だけ刎ねたから素材にもなりそうだし……
ということで全部【収納魔法】に放り込んだ。
戦闘がものの数秒で終わりこの結果にエルフたちは唖然とし呆けている。
「ほんと、アルナくんは戦闘になると人が変わりますよね」
ボソッとセリカが呟く。
「マジ? そうかなぁ……」
俺はいつも通りだと思っていたので少しショックだ。
エルフ達哨戒隊で最初に我に帰ったのはアメリアだった。
「本当に凄まじいな、アルナは……。私の積み上げた自信が崩された気分だよ」
「これくらいは当たり前かな、でも自分で突っ込んだ方がまだ速いよ? 今回は【絶対防御】の効力調べで遅くなっちゃったし……」
俺は残念そうな顔をして言う。
この速さでも十分速すぎるのだがもう1段階あると聞いたアメリカやエルフ達は背筋が凍る。
「(絶対アルナに敵対してはいけないな…私たちが……世界が滅ぶかもしれない………)」
「アメリア? 君が考えてる事お見通しだからね?」
不意に言った一言に驚いたのか
「ひゃぁっ!?」
年相応に見える可愛い悲鳴を上げた。
「い、いきなり驚かさないでくれ……」
「なぁにやってんですか? 姉さんもアルナくんも……私を除け者にしてぇー!」
「なぁんにも? ねぇアメリア?」
「そ、そうだぞ!? セリカ……どうしたんだ?」
「あ、アルナくんはわたしのですぅ~!」
そういうと俺の腕を取り胸に寄せてアメリアを見て頰を膨らませている。
「2人ともそういう関係だったのかよ~」
「ついに難攻不落の城が落とされたみたいだなぁ~」
「お熱いねぇ~、ひゅぅひゅぅ~」
周りから言いたい放題になってる俺とセリカ。
「ついに私の妹も春がきたようだな、まったく心配したぞ……」
えぇ!? なんか思った反応と違うんだけど……なにこれ?
「え?? これは一体どういう事なんだい?」
「この国は成人したらすぐに婚約をする者が多いのだがな、こいつはその慣習を無視して王から古代魔法の使い手を見つける任務を承った際にすぐに国を出て行ったから、まあ妹は言動は確かにアレだが根はいいやつだから良ければ婚約してくれるとありがたい」
「まあそれは色々終わってからにしよう」
セリカに好きと暗に言われるのはうれしいが流石に俺の一存じゃ決められないからな。
取り敢えずこの話を置いといて先に進む俺たちだった。
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