第23話
俺は取り敢えず冒険者登録を済ませ、旅の事を伝えるべく家に帰ったら家の前に豪華な馬車が停まっていた。
うっわぁ、嫌な予感……
「あ、これここに置いといて。それはこっちね」
もうあの人何しに来たのさ!
「国王陛下? 何してるんですか?」
ちょっと不機嫌そうな感じで聞く。俺の不機嫌には気が付かないようで自分のペースで話し始める。
「君の為に物資を用意させて貰ったのさ、アスノやエリカも旅には了承してるからもう出れるよ?」
この人はなんでも勝手に進めちゃうし!
「こ、こんなにいっぱい持ってけないですけど?」
ちょっとした山になるくらい物資がある。保存食やら携帯用テント、寝袋etc...
「アルナ君、収納魔法を知らないのかい?」
ちょっとバカにしてくる国王を見て俺は低い声で言う。
「知らないですけど? なにか?」
キレてないっすよ?
「無属性魔法でね? 使用者の魔力量によって収納量が増えるのさ、君の魔力量だと……うーん、だいたい王都の物資全て入るんじゃない?」
他人事だと思って! なんという事だ。話題を変えよう。
「そういえばさっき、エルフに会いました。すっごい美人だったんですよ??」
「エルフ? まあ僕の国はエルフと友好条約を結んでるからね。エルフは美形が多いし、もしかして見惚れたとか?」
「そ、そんな、そんな訳ないですよっ!」
王様ニヤニヤしてんじゃねえよ。
「まったく、年相応なんだからあ。取り敢えず収納魔法だけど君の古代魔法にはないのかい?」
あ、そうだったな、すっかり忘れてた。
「明日までに確認しておきます、物資ありがたく貰っておきますね」
「うん、そうしてくれ。御土産待ってるから」
というだけ言って出てった。マジで嵐のような人だな。
部屋に戻って俺はステータスを5日ぶりくらいに開いた。
「ステータス・オープン」
ステータス
名前:アルナ=アルヴアート 種族:人間!?
称号:転生者、世界を統べる者、世界の救世主、神の使徒、死神
レベル:289
HP:197863
MP:146598
STA:2657
VIT:1890
INT:3983
MND:2095
AGI:5479
DEX:2672
【魔法適正】全属性
【召喚魔法】神システィーン、神龍バハムート、○○○
【スキル】
自動回復、魔法破壊、魔法障壁、精神感応、身体強化、鑑定、重力増加、創造、仮想空間化、記憶回想、偽装
new付与、思考加速、並行思考、分身、魔力回復活性化、変身、感覚共有etc…
【創造魔法】
光線、回復魔法、状態回復魔法
「……ステータス上がりすぎじゃね…………」
神龍バハムートって、あははっ…………勘弁してくれよぉ
「召喚、神システィーン」
俺は神龍の存在やらなんやらを確認しようとティーンを召喚した。
久々の召喚の召喚で少し懐かしい。俺の部屋中に魔法陣が現れ、中心からティーンが実体化した。
「お久しぶりです、アルナ。」
笑顔で言ってくる。
「久しぶり、ティーナ、なかなか召喚できなくて悪かったね」
ちょっと申し訳なさそうに俺は言う。
ティーナは疲れているせいかフラフラしている。
「いやいや、私の方も色々立て込んでましたので大丈夫です。」
「じゃあ、また膝枕してあげるね」
ティーナは目をキラキラさせて言う。
「ほ、ほんとですか!」
「ああ、じゃあ横になって」
横になって俺に膝枕をされているティーナはまるでぬいぐるみのように微動だにしない。
あ、そうだ。
「ねえ、ティーナ? 召喚対象が増えたんだけど何か知ってる??」
「ええ、……え? まさかあの人本当にやったの!?」
え、何? なんかまずいことになってるの。
「やっぱり知ってるのね、詳しく教えてくれないかな?」
有無を言わせない威圧感を放って聞く。怯えたように悲鳴を上げながら言う。
「ひいっ……お、怒らないで聞いてくださいね?」
「分かった、絶対怒らないから」
うん、フラグが建った気がするぞ……
「えっと、神界で神々の会議みたいのがあったんですけど、その時にうっかり転生者、アルナについて口が滑っちゃって俺も加護あげたいみたいな争奪戦になっちゃって1つくらいならと龍の神がちょうど当たってしまい今に至ります。はい。」
ちょっと何してくれてんのおおお!? フラグは折れなかったな
「う、うーん……じゃあ別に俺に直接影響があるわけじゃないのね?」
「そうですね、それに関しては大丈夫なはずです。」
おい、確定じゃないのかよ……
「今呼んでも大丈夫かな?」
一応挨拶くらいしとかないとね、神さまなわけだし。
ティーナは困った顔をするが直ぐに笑顔を取り戻し言う。
「大丈夫らしいです、バハムートもアルナくんに会いたいらしいですし。」
お、それは良かった。
「詠唱はティーナと一緒でいいの?」
「はい、っていうか神を自由に呼べるのはアルナくんだけですので。」
俺は特別な存在になりたかったわけじゃないのになあ……
「おっけ、えっと…召喚神龍バハムート」
部隊とおんなじ名前なのが気になるけどまあいっか……体の大きさ考えてなかった……やばくない!? ちょっと??
「ねえ、ティーナ? 神龍さm――――」
言い終わる前に俺の部屋に魔法陣が広がると共に鐘のような音が部屋中に鳴る。魔法陣が回転し始め目にも止まらぬ速さになると閃光で埋め尽くされた。
うわっ、まぶしっ……
閃光が収まると魔法陣は消えていたが元の魔法陣があった中心には体長5mくらいの蒼い龍がいた。
「もしかして神龍バハムート様ですか??」
「あー! 私の時は敬語なんて使わなかったのにぃ!」
うるさいぞ、ティーナ。
「そーだよー、アルナくん、初めまして。神龍バハムートだよ~」
あれっ?? ん??
「失礼ですがもしかしてバハムート様って性別は女性ですか???」
悩むように首をかしげながら話し始める。
「うーん……君たちの見た目とか喋り方からすると女性って扱いになるけど、神に性別は一応ないんだ。」
あれっ? そうだったんだ。
「そうなんですね、ティーナは女性のフリをしてわけね??」
苦虫を嚙み潰したような顔をしている。
「べ、べつにそ、そういうわけではないんですよ? 私は女神ですから一応女として扱われますし……」
あ、最初に女神って言ってたような、言ってなかったような…………
「そうだ、アルナくん、僕の事は気軽にバハムートって呼んでくれていいよ、システィーンは愛称なのに僕だけ仲間外れみたいだし」
ちょっと頬を膨らませながら言う。
この世界の神って表情豊かだよね。龍の姿なのに可愛いな、おい
「わ、分かりました。バハムート?」
「うん、それで。あと敬語もいらないからね?」
この会話ティーナの時もやった気がする……
「わ、わかった。聞きたいことがあるんだけどいい?」
「なんでも聞いてくれていいよ。」
「何でも聞いてくださいな。」
2人? の了承を得たので聞いてみる。
「神の加護についてと、あと……迫る災厄、バハムートの祀られている国についてかな」
俺としては結構大事なことを聞いた気がするのだけど、2人ともきょとんとした顔をする。もっと大事なことを聞くと思ってたみたいだ。
「そんなことでいいの?」
「もっと大事なことを聞くと思ってました…私のスリーサイズとか……」
ティーナは後半の言葉をボソボソ言うので聞こえなかった。
なんでティーナ、頬を染めてんの??
2人はコソコソ話している。お、決まった、バハムートが話すようだ。
「えっとね、じゃあ神の加護についてから話すね。」
「うん、よろしく。」
バハムートはちょっと考えてから話し始めた。
どう話すか考えてたのかな?
「神の加護とは転生者のみに与えられる所謂特典みたいなモノなんだけど君の場合にはティーナから『獲得経験値倍増化』というモノが与えられている……もしかして聞いてないの?」
途中から俺の顔が険しくなったのに気が付いたのかわざわざ確認してくれる。
そういうことだったのか、俺のレベルの上がり方が尋常だったのは……
「そういうことは教えてくれよ、ティーナ?」
「だって言ったらアルナくん、要らないって言うでしょ??」
確かに、もし言われたら断るね絶対……
「それでもだよ、今度ステータスにでも反映しといて、ね?」
「はあい」
めんどくさそうな声を上げるティーナ。
「で、話の続きだけど。僕の加護は『魔法龍属性付与化』っていうモノなんだけどね?? 名前の通り魔法に龍属性を付与できるんだ、人間は龍魔法使えないから便利だと思うよ」
いやいや、それこそ人間じゃなくなるからね?
「もしかして[変身]で龍になれたのはバハムートの加護のせい??」
えっ、知らないんだけどみたいな顔をしている。
「それは知らないなあ、ひょっとしてニーズヘッグの事かな??」
「そうそう、龍だから知り合いとか?」
「そうだよ。ニーズヘッグは僕の兄弟みたいな感じかな、あははっ」
あははじゃないよ!
「【魔大剣】ニーズヘッグって神器かなにか??」
「そうだよ、君の事が気に入ったんだろうね。大切に使ってくれよ?信頼できる使い手ならきっと姿を現してくれるだろう。」
それは楽しみだなあ
「あと災厄に関しては神は下界には干渉できないからね話せないんだ。起こると言う事は話せるんだけどね、あとは転生者に加護を与えて災厄を回避するくらいなんだ。」
「なるほど、そこはティーナと一緒なんだ。」
取り敢えずそこを確認したかっただけなんだよね。
「僕が祀られてる国だっけ、えっと僕たちはそんな事頼んでないんだけどね。レイザル魔法帝国ってとこだった気がするね。」
うっわあ、めんどいとこに祀られちゃったなあ
「レイザル滅ぼす??」
いやいや、物騒すぎだからね。そのコンビニ行ってくるみたいなテンションで滅ぼされたら流石に同情するわ……
「そこまでしなくても……まあ祀られてるだけだからいいんじゃない?バハムートも俺と敵対するつもりないでしょ?」
「そうだね、加護与えた転生者と敵対する理由がないし、君に勝てると思えないし」
神に軽く人外扱いされたんだけど。神でも勝てない俺ってヤバくね……
「あはは……取り敢えず聞きたいことは聞けたから。今日は解散で……そうだ、バハムートって明日空いてる??」
顔を引き攣らせながら俺は言う。
「まあ、基本的に僕は暇だからね。大丈夫だよ。」
よし、明日の足は決定だな。
神さまを移動に利用するアルナも十分に人遣いが荒いのを自覚していないのだった。
「明日が楽しみだ。」
暢気な様子だった。
傍から見ていたティーナは、
(こんなんで本当に大丈夫なのだろうか……)とふと思うのだった。
今回ちょっと長めでした。
次回は少し短めになるかもしれません。




