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第21話

 翌日、俺は王城は来るように呼び出しをくらった。


「あの人結構身軽なんだからこっちに来ればいいのに……」


 俺は悪態をつく。俺も昨日の模擬戦やら任命式やらで有名人になってしまったのでなかなか出歩く事も出来ない。


 まあ、元々外には出てなかったけど……


「冒険者かぁ……絶対絡んでくる人いるよね……」


 既に絡まれる予想をする俺。目立つのは嫌いなのだが自分から目立ちに行っているのには気がついていない。



 ――――王城の王の私室にて――――


「じゃあ、アルナくん! 君にバハムート隊長として最初の任務を遂行してもらう!」


 いきなりこんなことを言われる始末だ。


「あ、あの、任務って?」

「それはね………………」


 ためが長いんだけど!? 一体何させる気なんだよ……


「……早くしてください。」

 あまりにも長すぎるのでちょっとイラっときちゃった俺は少しドスの効いた低い声で威圧するように言う。しかし国王には聞いていないようで笑顔で返してきた。


「もう! ちょっとくらいお遊びに付き合ってよ!」


 遊びだったんかい!


「じゃあ、いわせてもらいますけどね! 学院に入れと言われて入ったら既に通えないし、今度は何をさせるつもりなんですか!?」


 あれやれこれやれと人をこき使い過ぎだ、この人は。


「学院の方は大丈夫だ、アリステアに停学通知送っといたし」


 また行かなくちゃいけないの!?


「は、はぁ……それで、結局俺は何を?」


 切り替えの早いことだ、真剣な表情になる国王。


「君にはこの国や他国を冒険者に成りすまして密偵調査を行って欲しい。」


 ん? なるほど?


「た、他国はわかりますが、なぜこの国も?」

「密偵と言っても君の観光半分、常識を知る半分ってとこかな」

「常識ならもう前日の戦いで分かりましたが?」


 王様はポカンと口を開けるが、すぐに笑い出し言う。


「あははっ、何言ってんのさ、まだまだ君は常識の範囲外にいるんだ。他の貴族に任務と言っておくだけ、たったそれだけなのさ。」

「要するに休暇といったところでしょうか?」

「アルナくんは理解が早くてホント助かるよ。つまり君の周りは僕のせいでゴタゴタし過ぎてたからね。ゆっくり旅にでも出てきなってとこ。」


 おお! まじで!? ありがてぇぇ!!


 にやけそうなのを抑えながら俺は国王に言う。


「で、では、ありがたく頂戴します。」

「よろしく! ……面倒事には絶対巻き込まれるだろうけどね……」


 え? なんて?


「はい? なにかおっしゃいました?」


「うん? いいや? 何もいってないよ……」


 なんでそっぽ向くの国王様?


「ま、まあ旅行の期間はいつまでですか?」

「君が帰ろうと思ったらで大丈夫だよ、王都には君の部隊の隊員がいるから安心だし。」


 無限の休暇だと!?

「そ、そんなに貰っていいんですか!?」

「うん、これからいっぱい働いてもらうから、還元しといてもらおうと思ってね」


 なんだよ、そういうことかよ。ブラックじゃねえか……


「じゃあ明日から旅に出ますね。」

「いいよ、でも今日中に冒険者登録しといてね? 君はどうせ貴族の服よりも身軽な服を着るのだろう?」


 なんか問題でもあるのか?

「まあ、そのつもりですけど……」

「ギルドカードは身分証明書になるからね、君の場合ステータスは見せない方がいいと思うから。」


 ああ、なるほどね。

「では、この後行ってきます。」

「よろしくね~、じゃあ休暇終わったらまた王城まで来てね。」


 俺の旅が正式決定したぞおおお!




 そして数十分後……俺は一人で冒険者ギルドの前にいる。


「ここか、結構大きいな…」

「お?お嬢ちゃん、ここは冒険者ギルドだぜ?もしかして登録かい?止めときな、ははははっ!」


 でたあ、このテンプレ……。


 でっぷり太った腹に卑下したような顔の冒険者らしきぶt……人が話しかけてくる。

 今の俺はフード付きのコートを羽織っている為、フードを深くかぶっているが髪がはみ出ているので女性という特徴が出ている。


(このままにしておこう。)


「そ、そうなんですよぉ、失礼しますね。」

 努めて女性のような高い声を絞り出す。


「いやいや、危ない仕事なんてやめて、俺の相手してくれよ!」

 お前の相手の方がよっぽど危ないっつうの!


「そういうのは結構ですので……退いていただけますか?」


 殺気が出そうなのを抑えながら、冷静そうな声で言うが、それが余計に彼のプライドを傷つけたのか、

「ハアアアァ!? 俺様の言うことが聞けないって言うのかあああああああ!」

 ギルド中に聞こえる大声で怒鳴る。


「でたよ、あのバカ」

「冒険者の恥さらしめ……」

「Aランクだから調子乗ってるんだ……」


 聞こえてるぞ、ひそひそ話すなや。だめだ、っていうか俺の堪忍袋の緒が切れそうだ。


 そこにギルドの奥の部屋からブチ切れている細い男がでてきた。

「おい、誰だ、このギルドで大声上げてるやつ。」


「ほらな、ギルドマスターでてきた」

「あいつ死んだな、お疲れぇ……」


 ほお、あの人がギルマスか。


「ひッ!」


 ビビりすぎだろう、お前。


「お前か、名前は……ええっと……なんだっけ?」

「Aランク冒険者、ラサールって言います…………」


 ふふっ、名前と見た目が違いすぎだろ………ふっ


「それで? ラサール君、ここのギルドの規則は知っているだろう?」

「は、はい……ギルド内の喧嘩や大声で叫ぶ事を禁ずる、です。」


 へえ、そんなのあるんだ、だから静かだったのか。


「知ってて破ったのかい?」

「いや、その、こいつです! こいつが俺の言うことを聞かないから!」


 おいおい、立場が悪くなったら人のせいかよ、最悪だな。


「では、君は冒険者なのかい?」


 ええ、俺に振られるの??


「いえ、私は冒険者登録をしに来ただけなのですが……」

 俺は怯えた少女を演じる。周りには効果抜群のようだ!


「あいつ、最低だな」

「女の敵ね」


 散々言われてるぞ。ラサールくんよ。


「まさかそんなことしてたなんてな、ギルド規約を忘れたか? 規約第4項一般人に手をあげてはいけない、あげた場合ギルドマスター権限により排除を実行する。ってさ」


「え…………?」


 何を言っているのかさっぱりわからない顔をしているがギルドマスターは構わずに続けた。

「クレトリア王国王都ギルドマスター、アレックス=パトラは宣言する、汝ラサールを冒険者ギルドから永久脱退を宣告する。」


 そう言い放つとラサールのギルドカードが光り出しそれと共にカードが一瞬の内に消し去った。


「あ、あああああああ!?」

「君はもう冒険者ではないし冒険者にもなれない、さあ出ていきたまえ」


 彼はもう冒険者ギルドの庇護下にはいない為、渋々出ていくが、俺の方を向くと殺気を込めた目で見てきた。

「あとで覚えておけよ……」

 そんな三流な悪役チックな言葉を吐いて出ていった。


 なんで俺に言うんだよ。お門違いなんだが? まったく、どうして俺はこんな騒動ばっかに遭わなくちゃいけないんだ。


「見苦しい所を見せたね。冒険者ギルドへようこそ。登録は受付でよろしくね」

 ギルドマスターはそれだけ言うと奥の部屋に戻っていった。


 あ、推薦状渡しそびれちゃった……


「さっきは災難だったね。」

 後ろから女性冒険者に絡まれる。


「い、いえ大丈夫です。」

「女同士頑張りましょうね?」


 俺は女じゃないのだが……


「あ、ありがとうございます。」

 その場の勢いに任せて自身が女性と認めるように答えてしまった。


「あの、冒険者登録をしたいのですが……」

 俺は受付にいき、受付嬢に話しかける。


 結構美人だった。胸がギルドの制服を押し上げ、肩まで伸びる金髪にすらっとした手足。

 日本ならば読者モデルなんかやってそうだ。雰囲気はおっとりしているが……。


「はあい、あら可愛いお嬢ちゃんね。冒険者登録かしら、ちょっと待っててね。」


 俺を女として認識されているな……


 受付嬢は水晶玉のような球を取り出す。

「こ、これは?」

「相手のレベルとかステータスの簡易版を写す魔道具ってとこかしら」


 おおっとやばいんじゃないか?


「称号はバレないですか??」

「称号は写せないのよ、一番の個人情報だから」


 よかった、あぶねえ。即バレだけは避けたかったから良かった。

 しかし、この安心はすぐに崩れ去る事になる。


「じゃあ、球に手を置いて」


 言われた通りに置くと、球が急に光り出す。

(鑑定(オピニオン)が付与されているのか)


 なんて魔道具を観察していると、受付嬢がわなわなと震えだす。そのまま何も言わずにギルマスの居る部屋に入っていくと直ぐにギルマスと出てくる。


 俺の前に来ると腰を90度に曲げて

「「さっきは申し訳ございませんでしたッ!」」

 謝ってきた。


 やば、めんどくさくなるやつだ……かんべんしてくださあああああい!

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