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第20話

「オーディア、ここからは手出し無用だ。絶対手を出すな……」


「え? ……わ、分かった……」

 まさか殺気をこちらに向けるとは思わなかったためオーディアは頷くことしか出来なかった。


「さあ、始めようか。」


 その言葉をきっかけに第二回戦が始まった。


「『ブリュンヒルドの名の下に、跪け【絶対零度(アブソリュート・ゼロ)】』」

「『アーカディアの名の下に、飲み込め【紅炎(プロミネンス)】』」


 2人は固有魔法(ネイティヴ)を同時に発動させる。


 対してアリステアは、

「キャレック、借りるぞっ! 『古の龍よ我が力となれ、轟け【龍の息吹(ドラゴンブレス)】』」


 アスノとエリカは魔法こそ使うがアリステアに比べれば練度は毛が生えた程度である。その為、いくら固有魔法(ネイティヴ)とはいえ魔法は使用者の練度と魔力量で優劣が決まる。


 よって、2人の魔法はアリステアの魔法に打ち消され、そのまま2人に襲い掛かるがまたそれも4つに斬られる。また絶技、[魔法破壊(マジックブレイク)]を行った。


 2人は速攻でアリステアの懐に入ろうとするが

「『荒れ狂う嵐よ、我が盾となり足となれ【大いなる風(エリアタイフーン)】』」


 風属性補助中級魔法【大いなる風(エリアタイフーン)】魔法による移動速度強化に被ダメージを軽減する風の障壁を張る。


 それによって、2人の接近戦を避けるが、アリステアは既に罠に掛かっていた事を悟る。迫撃しに来ていた2人は光属性初級補助魔法【幻惑(ミラージュ)】による幻影であったのだ。


「やられた、ちっ……!」


 舌打ちしている内に別方向からくる2人に無詠唱で【複属性矢(マルチアロー)】を多重展開(マルチキャスト)で30本展開しそのまま迎撃する――


「なッ!」

 迎撃した2人も幻影だったのだ。


「これは本当にやってしまったな……」

 裏の裏をかかれたのだ。最初の幻影は自分自身に【幻惑(ミラージュ)】を掛けていたのだ。


「お前はいつも爪が甘いぞ?」

「これで終わりですわ」


 接近戦に持ち込まれ、障壁も展開できぬまま2人に首を刎ねられる。こうして魔導士達は全滅した。


「オーディア、さっきは悪かったな」

「うん? 別に大丈夫だよ、精霊さんに事情聴いたし」


 精霊は人の心情に特に敏感であるのだ。


「さあて、アルナ達はどうなったかな」



 3人はアルナ達の闘う方を向いた。


 ――――――――――――――――――――――――



 5人とも無傷でしかも息が上がっていない。勝利したことに対して喜びよりも義務感を背負った俺たちの顔を見て、「彼らは本当に人間なのか」と疑問や畏怖の気持ちが湧き上がってくる。

 凄まじい戦闘力に魔法。全てがピカイチなのだ。


 他国の軍人は既に対抗策を考えている様子である。


「我が国にあそこまで戦闘力を備える者はいるか?」

「戦術魔法ならば奴らを止められるか??」


 なんて声もちらほら聞こえてくる。


 そこで国王が口を開いた。

「我が国最強の矛『バハムート』部隊の戦闘はどうだったであろうか、皆の者の顔にはきちんと書いてあるね、『彼らは人なのか』なんて。勿論彼らは人間だ、そして国王の私個人の友人でもある。

『バハムート』部隊はこの国の防衛任務が最優先である。だが彼らはこう考えている、この国に害そうとする国や人物は徹底的に潰し存在さえも消し去ると。

 だからここに宣言しよう、我が国はどんな脅威に晒されようとも絶対に屈しないと。」


 これで、ちょっとばかし煽ってはいるが中立の立場を貫けるだろうと俺は少し安心した。


「では、これで任命式全日程終了である。皆の者大儀であった。」


 そう言って王やら貴族やらはでていった。それにつられるように放心している国民や考え事をしていた他国の軍人も出ていく。


 そうして俺たちだけになる。負かした冒険者や魔導士もいる。非常に気まずい……。


「アルナくん??」

 後ろから声がするが俺は無視する。


「ちょっと、酷すぎでしょ! 僕は国王だよ!?」


 いや、知っててやったんですけどね。


「え? ああ、スミマセンデシタ。ゼンゼンキガツキマセンデシタ。」


「なんで片言なんだい!?」


 この人突っ込みが鋭くてついついボケたくなっちゃうんだよ。


「「「「どうして国王陛下がここに!?」」」」

 すげえな、しっかり10人がハモったぞ!


「いやあ、この人たちがやりすぎたから謝りにね、悪かったね。」


「「「「ええ!? いやいや頭を上げてください!」」」」


 こんなに長くてもハモるの!?


「ねえ、アルナくん、君ふざけたこと考えてたでしょ?」

「そ、ソンナコトナイデスヨ……」


 なぜバレたのだ。


「あとで僕のとこに来てね??」


 でたあ、この有無を言わせない顔。


「りょ、リョウカイデス」

「さて、アルナくんは冒険者ギルドを知っているかい?」

「え、ま、まあ冒険者が登録する場所としか知りませんが……」


 前世のネット小説の知識ですけどね……


「うーん、まあだいたいそうかな。冒険者ギルドにはね、国王推薦者枠というものがあるんだ。もう言いたいこと分かったでしょ?」

「俺が冒険者になればいいんですか?」

「そういうことー! 詳細は明日知らせるからよろしくね。皆も解散していいからね。」


 それだけ言ったら国王は帰っていった。

 また気まずい空気になる。


「さあて、俺たちも帰ろ――」

「あ、アルナさまッ!」


 俺の言葉を遮って俺の名を呼ぶ者がいる。

 キャレックだ、なんか約束みたいのしてたっけ??


「は、はいぃ?」

「貴方の創造魔法【光線(サンシャインレイ)】をぜひッ! ぜひ教えてくれませんか!?」

「いいよ、父さんたちは先帰ってていいよ。」

「帰り道分かるのか?」


「……あ」


「手短に済ませばいいさ」

 うちの家族は本当に人間がしっかり出来すぎてて怖いわ……!


「えっとね、【光線(サンシャインレイ)】はね――――」



 この説明が終わったのは2時間後だったのだ、この人質問が細かいし多いから答えるの大変だったよ。明日は王城に呼び出しだから早く寝ようっと。



 明日から俺の冒険が始まるのだろうか……


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