第16話
最強部隊『バハムート』
正式名称 クレトリア王国国王直属対大国用特殊工作兼攻撃部隊
国王の勅命によって俺たち『バハムート』は設立され、現在はその力量を測るための模擬戦が行われようとしていた。
移動した闘技場の中央で国王は声を張り上げた。
「今度は『バハムート』の対戦相手を紹介しよう!」
Sランク冒険者はよく知られているが魔導士はなかなか分からない者が多い。
「冒険者5人に魔導士5人の混成チーム。まずは冒険者たちから。
1人目は《龍殺し》、アイネル=マインフォード
2人目は《魔物使い》、シトラール=イフリネル
3人目は《二刀流》、キリガ=シルトネーラ
4人目は《魔剣士》、パノラ=エレシック
5人目は《粉砕者》、ティアナ=フォルテ」
5人中2人、4、5人目は女性だった。だが纏う雰囲気はまさにSランク冒険者の名に恥じない殺気である。
まあ、俺が隊長なのに最強部隊って言われちゃあ冒険者は面白くないもんな。
《龍殺し》の称号を持つ
アイネル=マインフォードは身長が190cm越えという長身に加え、隆起した筋肉が相まって仰々しい雰囲気を放つ。剣はアルナが使うニーズヘッグと同じくらいの大剣を背に差している。
《魔物使い》の称号を持つ
シトラール=イフリネルはAランク級モンスター・ケルベロス3体を使役するしている。無属性魔法【調教】で無理やり仲間にしたようではないらしい。身長は175cmとアイネルと比べると小さいがその為か運動神経は抜群のようだ。
《二刀流》の称号を持つ
キリガ=シルトネーラは身長180cmで腰と背中に一本ずつ差してある二本の剣を華麗に使って闘う姿は剣舞だと見た者は言う。このままいくと次期―剣聖に任命されるそうだ。二本の剣は魔剣という噂だ。
《魔剣士》の称号を持つ
パノラ=エレシックは貴族の娘で168cm女性にしては身長が高い。魔剣士は魔法も剣も両方使いしかつ国王に認められた者にしか与えられない。彼女は支援魔法を剣にかける事でSまで登ってきた負けず嫌い。
《粉砕者》の称号を持つ
ティアナ=フォルテは華奢で称号に相応しい身体ではないが、武器のハンマーや斧を持つと人が変わる。いつもはおっとりとしていてドジっ子のようだが、狂戦士のような戦い方をするそうだ。一番この中で殺気を放っている。
「よろしく頼むよ、バハムートの皆さん。」
アイネルは丁寧に挨拶をしてくれる。
「ここで俺らが勝てば最強部隊は名折れだね??」
「まあ俺らが君たちに負けるはずがないさ」
あとの男2人はハンゴロシ決定デスネ
「私が勝ったらその称号を貰うからなッ!」
パノラさん、そんなに最強が欲しいの?
「ぶっ殺してやるよ……!」
ティアナさん、勘弁してください。
親父は額に青筋を浮かべている。母さんはふふふっと妖しい笑みで奴等を見ている。兄さんはまるで何事もなかったかのように自分の獲物を観察している。姉さんは、独り言? いや精霊と会話してるわ。
俺の家族も大概だなって思った。あ、おれもか。ちょっといじってやろう。
「弱い犬ほどよく吠えるってか? そんなくだらない煽り文句しか言えないのか。流石Sランク冒険者様だな」
ちょっとどころじゃなくプライドごといじっちゃったらしい。あれ? これやりすぎちゃったかんじ?
この場の全員が息を呑み、背筋を凍らすほどの殺気を冒険者達は放つ。
まあ、俺たちの足元にも及ばないけど、先にやったのそっちだからね?? やられてキレるくらいならやるなよ……
国王様はタイミングを見計らって、次に進めてくれた。
「次はSランク魔導士を紹介しよう!
1人目は《最強》アリステア=フォルテリーゼ
2人目は《狙撃手》マークス=カナメス
3人目は《聖女》シグリア=アルベール
4人目は《創造者》キャレック=クライマル
5人目は《戦艦》ヴェルディ=ラガルド」
魔導士達5人は2人目の《狙撃手》のマークス以外はみんな女性だった。
《狙撃手》の称号を持つ
マークス=カナメスは長めの前髪で茶髪。身長は170㎝と普通だが持っている杖がまさに地球のアンチマテリアルライフルのような形状をしている。若干気だるげだが礼儀は忘れない誠実そうな人柄だ。
《聖女》の称号を持つ
シグリア=アルベールは深い海のような蒼い綺麗な髪に対照的な燃えるような紅い眼を持つ優しそうな雰囲気を持つ女性だが、実は勝気な性格で称号らしからぬ魔法攻撃を行うという。
《創造者》の称号を持つ
キャレック=クライマルは少しだけくせ毛な黒髪にメガネをかけているいわゆる研究者の雰囲気を漂わせている。研究者の鏡のようで魔法以外には興味を示さず、1週間は普通に食事や睡眠が要らないらしい。
《戦艦》の称号を持つ
ヴェルディ=ラガルドは真っ赤な赤髪に華奢な身体をしているが、この国で1番の魔力量を誇っている。常に彼女の周りには恐らく無意識であろうが魔力障壁が構築されている。キャレックとは幼いころからの友人で彼女の魔法の研究にいつも付き合わされている。
そういえばアリステア学院長に質問攻めの途中で
「魔力操作や魔法等は女性の方が適正が高いのです。男性が魔法を使うのはとても珍しいのです」
なんて言ってた気がするな。
俺もその枠に入るのか……
「やあ、アルナ君。こんなに早く再戦するとは思わなかったよ。」
あれ? この人も出るの。
「こんにちは、皆さん。よろしくお願いします」
え、マークスさんめっちゃいい人やん
「私はこの試合が楽しみなのです、叩き潰してあげますね??」
この人本当に聖女なのか!?
「私以外にも魔法を創ったものがいるとは! 試合の後是非教えてくださいな!」
やっぱり、この人は研究者タイプなんだな。
「私の魔力量はこの国で1番なのに君は私より多分多いよね?」
鋭いっ! 二つ名の由縁は魔力量なのか。
っていうか冒険者よりも礼儀がなってて驚きなんですけど。
国王は申し訳なさそうに頼んでくる。
「この闘いだと普通の【仮想化】では手に負えないからね、『バハムート』隊長にやってもらおう。頼むよ、アルナ。」
一応公衆の面前だからね、勿論敬語使うよ?
「畏まりました、国王陛下。[仮想空間化]発動します。」
全員に分かるように魔力を可視化して古代魔法を発動させた。
俺の魔力波が闘技場を包み込む。国民や対戦相手、他国の官僚たちもこの規模の魔法を簡単にほぼ無詠唱で使ったことに本気で驚いていた。
まあ、アリステアはそんなに驚いてなかったな、二回目だしね。
「「本当に男なのか??」」
パノラとキャレックは疑問を口にした。
俺は正真正銘男だっ! っと心の中で突っ込みを入れた。
「皆も知っていると思うがルールを説明しよう。どちらかのチームが全滅か戦闘不能になったらその時点で立っている者のチームの勝利だ。拳や武器、魔法何でも使い放題だ。」
へえ~、何でもありね。最近思いついたことがあったからそれやってみようかな、新しいスキルも発現したし。
「では、始めようか、双方構えッ!」
俺は魔力から【魔大剣 ニーズヘッグ】を創り出した。それに倣うようにその場の全員が剣や杖を抜く。
「始めッ!!」
国王の合図によって模擬戦が始まった。
この模擬戦は今までにない壮絶な闘いになるのであった。




