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第14話

 アリステアとの編入学試験が終わりはや一週間。俺は特に何事もなく過ごしてい……る筈がなかった。


 毎日毎日無事に登校できたかと思うと教室までアリステア学院長がやってきて、私が君の担任だ。と言って学院長室で質問責めに遭う。


「君の魔力の根源はどこから来てるんだい!?」「どこから君は古代魔法を解析したんだい!?」


 なんとめんどくさい……


「い、いつの間にか、つ、使えるようになっていたんですよ」

 俺は毎回合ってるか合っていないか曖昧な返事をして誤魔化す。


 今日の質問攻めも終わり、学院長室から出て、溜息をつく。

 精神的に疲れたよ


「早く帰りたい………。」

 なんて思ってるとイケメンと美女が寄ってくる。この学園で唯一の友人だった。


「アルナ、どうしたんだい。」 

「アルナ、随分とお疲れのようですが」


 最初に声をかけてきたのは、クレトリア王国第一王子にして皇太子、スサノ=フォン=クレトリア。

 第一王妃の綺麗な金髪を受け継ぎ顔も整い、人気が高い。


 2人目は、第一王女、アルミス=フォン=クレトリア。

 第二王妃の明るい蒼髪をもち、顔も綺麗に整いまるで神のような神秘的な魅力を漂わせている。



「あ、スサノにアルミナ……一週間ぶり、実は……」


 学院長との話を大雑把に話す。2人ともニヤニヤしながら話を最後まで聞いてくれた。


「ほんとありえないよあの人、一日中監禁されてるようなもんだし」

「災難だったな。ふふっ……」

「まったくですわ、私なら耐えられませんわ……ふ、ふふふっ……」


 こいつら、言葉は達者だけど態度が伴ってないぞ。


「2人とも馬鹿にしやがって……」


 ニヤニヤしてる顔は父親譲りだな。



「まあまあ、その辺にしとこう。今日は父上からアルナを連れてくるように言われててな。」

 スサノはそう言う。


「国王陛下がまた??」

「なんだか煮え切らないような態度でそわそわしてたぞ?」


 えぇ、今度はなに? また厄介事?


「分かった。じゃあ行こうか」



 王城までの道中――

「そういえばさ、俺まだ1回も学園の授業受けてないんだけど。」

 会話を切り出してみる。


「1週間も経つのにか? あの学院長のお気に入りになったんだな、アルナ……ふふっ、ふふふ」

「スサノ、お前マジ笑い事じゃないからな!」

「そ、それはざ、ざんね、残念ですわね……うふふっ」

「アルミナまで!笑い事じゃないんだよっ! ……それで2人は何を専攻してるの??


 急にふざけたような態度から一変、真剣な眼差しで2人はアルナを見てくる。そして2人は声を揃えて言う。

「「戦術的魔法攻撃型魔術」」


「え? せんじゅつ……なんだって??」


「戦略的魔法攻撃型魔術だ。」

「言いづらっ……ま、魔法じゃなくて魔術ってなに??」


 2人は得意そうな顔をして説明する。

「魔術は魔法とは違い、ただ詠唱するだけでは発動しない、略称は『戦略魔術(タクティカルスペル)』だ」

「消費魔力が超級魔法よりも桁違いに多くて宮廷魔導士団でも1日では完成出来ませんわ。」


 戦略魔法!? この国は平和主義だと聞いたことがあるけど………

「えぇ!? 戦争でも起こすつもりなの!?」


「その逆だ、アルナ。攻められない為の抑止力に使うんだ。」

「いくら平和主義を掲げても隣国からは疎まれてますからね」

「隣国?どこだっけ…」


「「はぁぁぁ~………」」

 2人してこいつ大丈夫かと大きな溜息を吐く。


 流石にそこまでされると傷つくぞ!


 2人は声を揃えて言う。

「「レイザル魔法帝国だ(ですわ)」」


 いかにも独裁者がいそうな国だな。


「主権、統帥権、最終決定権は誰が持ってるんだ?」

「表向きは皇帝だが、実際は宰相が握っているらしい。」


 うっわぁ、ラノベにありそうな展開キタァ!


「因みに宰相と第二王子が結託して革命を起こそうとする話も聞いているな。」


 これもラノベのベターな展開ダァ!


「なんだそれ。世界征服でもしようとしてんの?」

「そうみたいだな、野望があると言う噂だ。」


 こいつが厄災を起こそうとしてるんじゃないのか??


 なんてちょっとどころじゃないアブナイ話をしている内に王城に着く。


「今日は謁見じゃないから父上の私室に来いとの事だ。もちろん私たちも行くがな。」



 ということで、きました王の私室。王の私室と言われるくらいだから、金で統一されていそうなイメージなのだが目の前にあるのは普通の扉。


「え? ここであってんの?」

「合ってるぞ、失礼します父上。アルナを連れてきました。」

 スサノは扉をノックし室内に入って行くので、それに倣い俺とアルミスも入る。


 そこには、まさかの俺の家族や王族が勢ぞろいだ。


「おれ、なんか、わるいこと、シマシタ?」

 やべっ、最後片言になっちった。


「いーや? なにもしてないよ。」

  答えたのは中央のベットに横たわる国王。


「こんな格好で悪いね、アルナくん。」

「いえ、全然構いません、体調でも優れないのでしょうか?」


 王の顔色は悪く、笑顔をぎこちない。

「いやぁ、なんだか毒でも貰ったみたいでね。」


 はぁ!? でねじゃないんだけどぉ!?


「はいぃいい!? だ、大丈夫なんですか。」


「「父上ッ!?」」

 えぇ、2人も知らないのかよ


「ごめんごめん、心配を掛けたくなくてね。それでその為にアルナ君に来てもらったのさ、僕の身体を診察してくれないかな? そういうスキルがあると思ってね」


「なるほど、今は持ってませんが……」

 王や王妃は残念な顔をして目を伏せる。


「やっぱりか……それはざんねん――――」


「今はって言ったでしょう? ちょっと時間貰えます?」

 俺は王の残念そうな声をぶった切って言う。


「え? あ、ああ、もちろんだよ。」

「ありがとうございます。」


 俺はそこで精神感応(テレパシー)を送る。


『ティーナ? 今大丈夫かい?』

『あ、アルナくん! 全然連絡こないからどうしたのかと思いましたよぉ〜』


 大丈夫そうだな。


『スキルの中にさ、人の状態異常や体力を回復するようなのってあるの?』

『う、うーん……あったとは思うんですけどね。あ! 創造(クリエイト)で新しい魔法を作ればいいのでは?』


 あぁ! その手があったか!

『そうだったね、ありがとう! ティーナ』

『いえいえ、今度そっちにまた召喚して下さいね〜』

『おっけーだよ!』


 そこまで話すとアルナは[精神感応(テレパシー)]を切った。



「すいません、お待たせしました。」

「そ、それで、ありましたの?スキルは……」


 奥さんの1人が言う。


「いえ、ありませんでした。」

「そ、そう、です、か……」


 みんなは最後の希望を失ったような目をして伏せる。その空気を換えようとアルナは明るい口調で言う。


「だから、創りますね魔法を。」


「「「「「はぁあああ!?」」」」」


 え?なんか俺おかしいこと言った?


「アルナくん、君、なにを言ったのか分かってるのかい?」

「え? いや、だから魔法を創るって――」


「「「「「それがおかしい!!」」」」」


 えぇ〜……


「っていうか、回復魔法はないんですか?」

「あるにはあるんだけどね、どの国も解析が出来てないんだ。」


 えぇ!? 1番大切な魔法だと思うんだけどな。


「回復魔法も古代魔法扱いなんですか?」

「そのくくりに入るね、だが君はそれを創るというんだ。みんな驚くに決まってるだろう?」


 それもそうだな。

「そうですね、まあとっとと創りますね、ちょっとずつ顔色がさっきよりも悪くなってますよ?」

「とっととって、ほんとに君は規格外だなぁ。君には隠し通せなかったか、早めにお願いするよ」

「了解です…[創造(クリエイト)古代魔法(スキル)、【回復魔法(ヒール)】、【状態異常回復魔法(リカバリー)】」


 俺の頭の中で魔法が構築された。数分後頭の中にはきちんと構築された魔法が浮かび、いつでも使えるようになった。


 おお、古代魔法(スキル)古代魔法(スキル)創れちゃった。

「では、掛けますよ?」

「も、もう出来たのかい!?」

「はい、だから動かないで下さい。」

「わ、わかったよ。」


 俺は横になった国王の胸に手を置く。

「【回復魔法(ヒール)】、【状態異常回復魔法(リカバリー)】発動っ!」


 魔法と言う名のスキルを発動させる。国王の身体を俺の魔力が包み込み、温かな光を浴びる。みるみるうちに顔色が良くなる。包み込んでいた俺の魔力が空中に霧散すると、そこには元気になったように見える国王がいた。


 急にベットから這い出る国王。

「おお、だるかったのが嘘のように体が軽いっ!」


「「「「あなたっ!!」」」」

 奥さんたちがみんな王に抱きつく。王子たちも王の周りで安堵していた。


「アルナくん、たすかったよ! ありが……と……」

 そこから先は国王でも言えなかった。


「それは、別に構いません。ですが王を狙った暗殺ですよ? 呑気になんかしてられません。」


 俺はいままでの和やかな雰囲気を完全に消し、たぶんみんなから見れば鬼の形相をしているのだろう。自分でも驚くくらいの濃密な殺気を無意識に放出させていた。

 王族のみんなはこの殺気の大きさに恐れをなしている。


 親父も兄さんも、母さん、姉さんも完全にブチギレていた。


「アルナの言うとおりだ、俺たちの友人しかも国王を殺そうとしたんだ。」

「これは言い逃れも逃げることも出来ませんわ……」

「俺たちの平和の象徴を壊されかけたんだ……」

「それ相応の報いを受けさせないと……」


 これを機に、アルヴアートを怒らせると世界が滅ぶ、なんて言われるのはまた別の話。


「俺たちを怒らせた事を後悔させてやる」



 それは俺たち家族の想いを代弁したものだった。


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