希望の光
僕はもう未来は助からないのではないかと思うようになった。
未来は完全に何かに呑まれているように感じた。
未来がだんだん何かに呑まれて消えていくのが見にひしひしと伝わった。
僕のせいで…未来は…。
(ごめんね…)
心で呟く…。
『星輝…殺す…許さない…』
未来が吐き捨てる様に呟いた。
彼女はもう僕を許してくれないだろう。
《絶対に》
僕は彼女が好きだった…けど…もう無理だ。
僕は彼女を自分の手で殺すことを決めた。
辺りには何も無かった。
僕はなす術はなく、その場に立ち竦んでいるだけだった。
武者震いして動かない足を引きずって未来に背を向けた。
『殺す…殺す…』
未来の声とは思えない声が響く。
後から何かが飛んできて…。
避けるまもなくそのまま僕の背中を貫通した。
クハッ…。
血を吐く…。
今までに味わったことのない痛みに僕は動けなかった。
まだ刺さっている物体を引き抜き、地面をはって動いた…。
血が垂れ流れて…
意識がだんだん遠のいていくのをかんじた。
未来がとても近くに寄ってきて…
(ごめんね…)
小さく呟いて…。
僕を吸収した。
…
ここは何処だ??
何故俺は死んでいないんだ?
真っ暗な暗闇をさまようように歩いて出口を探した。
出口は見つからなかったが…
その闇の中には一人の女の子が蹲っていた。
真っ暗で周りには何かがまとわりついている。
それは固くて透明で…。
繭みたいな形をしていた。
僕はそれを解いて彼女に声をかけた。
「大丈夫?…」
彼女は蹲ったまま、
「あれ?夜空くん?何してるの?」
と問いかけてきた。
顔を上げた女の子は少し前に見た未来だった。
「夜空くん。ここはね、私の中。」
僕には理解が出来なかった。
そんななか、彼女は話を続ける。
「私の中にもう一人の私がいるらしい。
普段は私が普通に生活できるのだけど…
統制が取れなくなるともう一人の
私が出てきちゃうっぽいんだ。
それでね、その時に私は精一杯もう一人の
私を止めるんだけど…」
哀しそうな顔をしてまた俯いてしまった。
まだ未来は生きていた。
完全には消えていなかった。
闇に光が灯った。
真っ暗で目の前も見えなかった闇に。
希望が持てたぼくは、彼女と共に彼女の中の出口を探ることにした。




