あの怪物を知った日
僕たちがあの3体のことを知ったのは未来が戦いに慣れてきた頃だった。
力を制御することができるようになって、この間のように倒れることがなくなった。
そんな時だった。
僕はいつも恐怖心との戦いに苦しんでいた。
未来が戦うたびにだんだん体が透けていって、武器を制御できるようになっていって人間らしい生活を送れていなくなっているからだ。
あの日の戦争以来、未来を狙って戦争を仕掛ける国が増えた。
我が国も未来を狙っていた。
それが怖かった。
未来は本来幸せな生活をおくるはずだった。
けど…僕のせいで…。
僕は自己嫌悪した。
僕は震えながら未来を見守った。
未来は戦争を重ねるうちに、何人くらい敵がいるのか。
どのくらいの人に監視されているのか分かるようになってきた。
普通の人間の姿のまま小型の爆弾を正確に撃てるようになった。
僕はそんな生活が怖くなって未来に
「逃げよう。こんな所から逃げ出して2人で過ごそう。君が危険を伴うことなどしなくてもいいんだ!」
僕は未来にそう告げた。
すると未来は
「良いけど...。まだ私のせいで苦しんでいる人がいる。そんな人を置いて逃げられない。」
そう言って僕と逃げるのを拒んだ。
あの時逃げればよかった。
今も後悔している。
『逃げよう。』
と未来に告げてから2日がたった。
朝の5時のことだった。
グラグラ。
地面が大きく揺れた。
それと同時にピカッと空が光った。
一緒で目の前の風景に色がなくなった。
上から大きな怪物が降りてきた。
その怪物は、ハンプティ・ダンプティという怪物だった。
僕たちは初めて知った。
こんな怪物がこの世界にいた事を。
空からコロシヤが降りてきた。
未来が飛び立った。
みんなに見えないように姿を消して武器を出した。
攻撃を始めたとき、ハンプティ・ダンプティが爪を振り上げた。
たくさんの、建物が一瞬でなくなってしまった。
辺りは砂漠のように何もなくなってしまった。
未来は霧氷をまとった。
無表情で手を振りかざす。
未来の手から大きな玉が出てきた。
僕は唖然としていた。
あんなに怒った未来の顔を見たことがないのだ。
というか、機械になってきた未来に感情は残っているのだろうか?
そんなことはどうでもいい。
けどあんなにおこる未来は初めてだ。
未来は今まで優しくて、強くて可愛い女の子だと思っていた。
けど本当は色々な人のことを考えて、自分を犠牲にしてでも助けようとする。
そんな強い心を持った子だった。
未来が叫んだ。
「なんで私だけみんなのようなごく普通の生活がおくれないの?なんで?なんで叶わないの?」
『この世で苦しんでいる人を助けたい。』
未来がそう強く願ったとき、未来の手から出た玉が光り輝いた。
手を振り上げるとその玉はたちまち大きくなっていき、渦を巻き始めた。
怪物は渦の中に飲まれてしまった。
周りから未来とハンプティ・ダンプティとコロシヤはいなくなってしまった。




