第四.五話
鍋に水を張り、温度計を入れ中火にかける。五十度くらいになったら火を弱め、計量した卵白を入れたボウルを鍋につける。泡だて器でボウルの中の卵白を上下に動かす、このとき温度が上がりすぎないよう温度計に逐一目をやる。十分くらい作業を続けたら、卵白を目の細かいザルで漉して泡を取り除く。
卵白に少しグラニュー糖を入れ、泡だて器でひたすらかき混ぜる。グラニュー糖が溶けたらまた少し入れ、ひたすらかき混ぜる。ここが一番重要かつ、時間の掛かる作業だ。
ボウルを傾けても落ちないくらい卵白が泡立ったら、今度はふるいに掛けた粉糖とアーモンドプードルを二、三回に分けて卵白に入れていく。ゴムヘラでボウルの底をすくうように混ぜ、真ん中を切るように混ぜ、溶けたら粉を入れる作業の繰り返しだ。
次のゴムヘラで卵白を潰していく作業は、ボウルをの底や側面を使ってひたすら気泡を仕留める。お菓子づくりは基本的に単純作業の繰り返しだと彼は考える。無になるにはピッタリの時間だ。
光沢が出てドロドロになった卵白を絞り袋に入れ、テーブルに敷いたオーブンシートに絞っていきタイマーを掛ける。そして、オーブンの温度を百六十度にしておく。
オーブンの予熱が終わったら、温度を一定にするため、十分くらい空運転をしておく。その間、だいたい漫画を読んでいるので、キッチンにはいつも何らかの雑誌が置かれている。
タイマーが鳴ったので、スプーンの裏でいくつかの生地に触れてみる。どれもスプーンに生地が付着しない事を確認したら、そのままオーブンで二分焼成。
二分経過したら、今度はオーブンの温度を百三十度にして、十五分焼成。
焼きあがったものを冷ます為に天板ごとテーブルに放置し、ミナユキは夕飯の準備を始めた。