願望
相変わらず暗い…
こいつ大丈夫なのか?
*
ナナは、二枚目の紙をもってきた。今度は別のことを書くようだ。タイトルは、『人のエゴ』。
『祈れば叶う=ご都合主義。人の願望』
『神に似せて作られた人間=自分たちは優れているという自惚れのすえの自己満足。』
『→神という概念は人が作ったものである。自己満足の産物。』
『神とは幻想。自分勝手な願望の根拠のために作られたもの』
ナナは、脳内で推敲しながら最後の一文を書いた。
『結論=矛盾を誤魔化しきって神を信じれば、楽で幸せ。無責任で欲深い人間たちの心の中に、神という名の欲望はいる』
それを書いて、ナナは机に突っ伏した。
本人だって気付いてない振りこそしているが、おそらくはわかっているだろう。自分がそうやってひねくれた考え方ばかりをするから、中1に見えないとか、何考えてんのかわかんないとか、素直になれといわれることくらい。
ナナはゆっくり寝息を立て始めた。
*
夢から醒めたナナは、汗を拭いながら机から離れた。頬についた、なにかのあとをなぞっている。首をひねって、キッチンで牛乳をコップに注いで一息で飲む。
夢の中、うなされていたことなどすっかり忘れてたかのように、クッキーを焼く準備を始めた。
薄力粉170gと強力粉70g、砂糖は目分量。それらを別々にふるいにかけておく。とき卵1個分とバター60g、バニラエッセンス少々。
バターと砂糖を白くなるまで練り、卵を加え、バニラエッセンスをたらす。粉類をさっくり混ぜ込み、一時間寝かす。
ナナの思考は、また「神様問題」に戻っていった。