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プロローグ

 中高一貫校の、空手部の部室。

「神様って、いると思う」

 幹弘先輩がそんなことを言うとは、彼女――桜井ナナにとって意外なことだった。神よりも自分を信じて生きていそうな人にみえるのだけど。

「…この間神様なんていないって結論出したばっかなんですけど」

 ナナはしばらくの沈黙の後訊いた。

「なんで先輩はそう思うんですか」

「だって現にイエス・キリストは生まれてるしさ。」

 仏教の神かと思ったのに。少々驚いた顔をする。まあキリスト教の学校の生徒なんだからイエスの話が出るのもわからないでもないが。

「キリスト教ですか。……先輩がそう思うのは否定できませんけど、あれって御言葉がいちいち人間本位なんですよね。旧約聖書はイエスが生まれる前の話だから仕方ないにしも。………じゃあ、もうちょっと考えてみますよ。」

「ん。じゃあな」

 *

 ナナはテスト勉強をさぼってそれについて考えていた。

 6日後に行われた学年末テストが、国語を除いて全教科20点ずつ点が下がったのは言うまでもない。音楽にいたってはアルトパートなのにソプラノパートを歌うという笑えない冗談みたいなことをしてしまった。

 今はなにやら聖書のあら捜しをしている。キリスト教学校の生徒とは思えないほどの聖書の冒涜ぶりだった。

 創世記 天地の創造。旧約聖書1ぺージ。光とか水とか動物とか作る話。

「これって動植物の進化の過程無視してる。恐竜の化石とかはどうやって説明するんだろう。」

 ナナはそんなことを言いながらページをめくる。不審者のようでもある。

 次、創世記 アダムの系図。旧約聖書7ページ。

「九百年とか平然と生きてる人の話されても信じようがないんですけど」

 ナナは面倒そうな顔をして聖書を閉じた。やる気が失せたようだ。


 しばらく所在無さそうにした後、不意に本を読みはじめた。

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