水月の囁き
そのとき、あなたは何を想う
日本は、自殺大国だと呼ばれている。
ランキングでも30位以内に入る。ついこの前も、人身事故のニュースが流れていたなと、私は呑気に考える。
夏至。雲ひとつない青空が広がっている。
特に、男性は女性よりも自殺率が高いらしい。
いつか、父に聞いた事がある。人身事故って、電車に飛び込むやつだよね?ああ、そうだよ、あれ迷惑なんだよ、前それに合っちゃってさ、何時間待たされたと思うんだよ……全く、いい迷惑さ。どうやって死ぬの?あー、体がバラバラになって飛び散るんだよ。うええ、それは……。
ある本では、『自殺者は弱者』と呼ぶものがあった。
なら私は?人は皆、弱者だ。一人では生きていけない。そんなコトを、外国の研究員はそれを証明したと聞いた事があった。
私は、空を見上げた。
私の紫と黒がある細い腕はまだ痛む。蹴られた腹は、まだジンジンと痛む。
雲ひとつない快晴だ。
ヒトは、弱者になった時にどんな死に方を選ぶのだろうか。
私は足を踏み出してみた。身体に蒸し暑い空気が押し付けられ、耳元では風が私を嘲り笑っている様だ。
私が最後に見た空には、笑える程綺麗なひとすじの雲があったのであった。
このとき、あなたは何を願う