1:キャラメイク、ついでに友人。
活動報告書いた翌日のPVが倍近くになっていて驚いた筆者がいるそうです、私です。
「早く始めようぜ碧月ぃ、俺待ちくたびれたー」
「るっさい朝5時に押し掛けてきて何かと思ったら一緒に弐場やろうぜってだけじゃねーかあと飯くらい食わせろ」
外がまだ明るくなってない時間から我が家に突撃してきたこいつが三吉 俊輔(みよし しゅんすけ)、高校からの友人で俺と同類のゲーム好き。卒業した今でもこうやって顔を合わせて遊ぶ程度には仲がいい。
……流石に今日のは一度殴ってもいいんじゃねーか?って思うくらいの時間に来やがったが。
ごねる俊輔をあしらいながら飯を済ませ(「ところでお前は飯どうしたんだよ」って聞いたら「コンビニの揚げ物とおにぎりで済ませた!後で小腹空いた時のためにカ〇リーメイトと飲み物も買ってきてる!」とか言ってた、用意周到だなオイ)、『2nd:Field』で作るキャラクターの名前だけ確認して各々ログインした。
VR装置の側にある椅子へ座り、HMDを装着する。(俊輔はとっとと装置を準備してベッドに寝転がってた……俺の家なんだが?)起動とともに現れるいくつかのアプリの中から『2nd:Field』のものを選択する。
椅子に座っているという感覚が薄れていくとともに、やや長い初回起動時用のタイトルが現れる。
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タイトルが終わると白い空間にいた。
βテスト以来に見る空間に懐かしさを感じつつガイド音声を待っていると合成音声的な女性の声が聞こえてきた。
『ようこそ!2nd:Fieldの世界へ!これからこの世界におけるあなたの分身となるキャラクターを作成します!』
久々に聞く音声ガイドに耳を傾ける。
『あなたがβテスターとして参加していた時のキャラクターデータがありました、こちらのデータを使用しますか?』
眼前に『はい』『いいえ』の表示が浮かぶ。その下には『当てはまる選択肢を選んでください』と表示されていた。
もちろん迷うまでもなく『はい』を選択すると、
『引き継ぎ時には一部のアイテムしか持ち込むことができません、引き継ぎで持ち込むアイテムを選択してください』
という音声とともに今度は左側に『引き継ぎ候補のアイテム』の表示と当時のインベントリの中身と装備がリストアップされており、右側には『引き継ぎで持ち込むアイテム』の表示と5枠分の空白になっているリストが現れる。
もちろん事前情報としてこの事は公式発表があったので引き継ぐアイテムは選別済みである。それ以外のアイテムは他のβテスターに買い取ってもらったりしている。
手早く引き継ぎアイテムを決めて右下の方にあった『確認』の表示を選択すると、『このアイテムでよろしいですか?』という音声と『完了』『選びなおす』という表示が現れたが迷う要素がないので完了させる。
完了を選択すると『移行中です…』の表示が現れ点滅する。
10数回点滅を繰り返したあたりで『移行完了!』の表示と、
『これにてキャラクター作成は完了です、2nd:Fieldの世界をお楽しみください!』
という音声が流れ、世界は暗転した。
暗転状態から視界が復帰するとそこは広場だった。NPCとプレイヤー行き交う様子が伺える。
振り向くと天を仰ぐドラゴンの彫像があり、その正面で青白い光の粒子が収束してはその場所にプレイヤーが現れる。
やはりここはβテスト時代と変わらずプレイヤーのスポーン位置になってるんだね。
どんどん増えていく人に埋もれてしまわないうちに彫像の裏側へ行き、かつて設定した動作で、(プレイヤーによって動作に違いがあって、俺は片手が使える利便性を考慮して左手の親指と小指を合わせた状態から対角線を描く様に指を開く動作にしている)メニューウィンドウを展開する。
インベントリの項目を選んで、アイテムがちゃんと引き継げているか確認しないとね……うん、揃ってる。
その中の1つを選択しようとした時、
「お待たせ!……お?ジャスパー見た目変えた?」
俺のキャラクターの名前を呼ぶMySyが現れた。
この世界観のVR装置は「大きめのノートパソコンのような本体+それに接続されるスキーゴーグルのようなHMD」の組み合わせが一般家庭における主流というイメージです。
三吉くんのように持ち運ぶ人もいない訳ではないですがいろんな意味で強者の部類です。