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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

薄い本は公式に送りつけちゃダメなんだよ!!

作者: 寡のハサミ

「ねぇねぇ森峰くん!これ伊神先生に渡して来てくれないかな」渡した人≠作者

「あぁ、いいよ」

特に疑うことなく頼みを承諾。直接渡せばいいんじゃ?とか考えなかった。浩明くんだから。

何かの用事のついでに頼まれたノートを渡すことにした。

「伊神先生、これを渡すように頼まれたんですけど」

浩明くんは人のノートの中身を見るような無粋な事をする子じゃない。

「ふぅん、誰から?」

その場で中身を見始める伊神先生。表紙に何も書いてないノートを不審視。提出物ならば、教科名と氏名が書いてあるはず。

「●●さんからですけど」

あ、名前書いてもらってなかったか。とようやく気付く。伊神先生は書いてある文字から渡した人とノートを書いた人物が違うことに気づく。

「……浩明くん、最近嫌がらせされたりしてない?」

そのノートの内容から、何となく不穏な気分になる伊神先生。

「?別に何もないですけど……」

特に身に覚えのない浩明は、何も知らないようなアホ面で受けこたえる。

「なら良いけど。僕、君のこと結構贔屓してるから、心配になったんだ」

自分が浩明くんを贔屓しているせいで不快な目に遭ったりしていないかと一瞬思ったのであった。浩明の表情からそんなことはなさそうだと安心する伊神先生。

「……。それに何か書かれてたんですか?」

急にしみじみしてどうしたんだろう。浩明くんの目には、伊神先生がしみじみしているように見えた。おバカさん!

「君にしては珍しく気がついたね。そう、ここに、僕と君の関係を激しく誤解した内容がびっちり書かれてる。読み物として楽しめる位だよ」

まだ案を練ってる段階だけど。いわゆる創作ノート(腐ってる)を、こともあろうか本人に見られてしまった哀れな作者!

「え?先生と俺の関係を誤解するって、どんなことが書かれてるんですか?」

どうして誤解してしまったのか?どのように誤解しているのか?考えが至らない浩明くん。

「簡単に言うと、僕と浩明くんが恋愛関係に発展してる、っていう話かな。全くの別人だと見てみると意外に面白いよ」

さらっと簡潔にまとめた伊神先生。若干修羅場の浩明くん。意外にも伊神先生はそのノートの内容に創作物としての価値を見出していた。

「……考えたくない話ですね……」

「そうだね。教師と生徒の恋愛なんて、世間体悪いしね」

いや、そっちじゃなくて、俺は男同士なのがアレだと……。自然に受け入れている伊神先生に、何となく言えなくなってしまった浩明くんだった。


「!!森峰くん……っ。あ、あの……ノート、は……」

哀れな作者(腐)。トラウマ決定確実。泣ける。

「え?●●さんに渡されたやつなら、先生に渡して来たけど……」

「う……そ……」

膝から崩れ落ちる女生徒に、ここで渡した人≠持ち主に気づく浩明くん。先生が何も言わないから浩明くんは全く気がつかなかった。

表情を失う女生徒に、何とか励まそうと必死で頭を絞り出す浩明くん。

「あ……そうだ!先生が面白いって言ってたよ!あ、あの、楽しめるって!」

「読んじゃったんだ……」

浩明くんの言葉に、今度は魂が抜けそうな女生徒。やってしまった、と思いながら「う……うん……」と返すしかない浩明くん。

「人生終わった……」

絶望する女生徒に、一体あのノート、何が書かれてたんだろう?と思い、浩明くんは提案した。

「あ、あのさ……。俺も読んでいいかな?」

「絶対ダメ」

全力で突っぱねた女生徒に、残念になりながら「そ、そっか……」と言うしかなかった。


放課後、誰もいないどこかの教室。女生徒と伊神先生で二人きりになる。

「あの……先生……、ノート……」

泣きそうになりながら先生にノートを返すように迫る女生徒。

「あぁ。なかなかおもしろかったよ。これを勝手に僕に出しちゃった●●さんの行動は褒められたものじゃないけど、ね」

嬉々として感想を言うものの、本人に読まれることを想定していない創作物を本人に読まれてしまう苦痛は、堪え難いものだろうと慮りながら●●の行動を非難する。

「……すいません、色々と……」

ホント、勝手に男子生徒と付き合わせたり結婚させたりしてすいません……。頭の中では全力で土下座してる。罪悪感で死ねそうなくらい。

「いいよいいよ。僕も浩明くんも、それが元で困る事なんか何もないし。好きに創作するといいよ」

他人の勝手な想像で伊神先生と浩明くんの関係がギクシャクする事はないよ、という意味。おいしい意味にも取れそうなわかりやすい餌をつるす。

「……はい……」

女生徒にとって今回のことがよほどショックだったらしい。さっきの発言に何の反応もない。これはちょっと一大事。

「元気ないね。まあ、あまり人に自分の頭の中を覗かれるのは気分が良くないよね」

自分の思想を他人の手によって暴露される苦痛。伊神先生にはよくわかる。

「……はい……」

あーあ。先生にこんな事ばっか考えてる生徒だって思われたのかな……と落ち込む女生徒。

「ははは。早く立ち直れるといいね」

最後に笑い飛ばした伊神先生。伊神先生は他人の幸福が嫌いだけど、だからって不幸が大好きなわけでもない。不幸になってる人を面白がって励ましたいだけ。

おわり。

2・3年位前にここまで書いて放ってたもの。

この浩明くんは触手に取り憑かれてた浩明くんと同じだけど、別時空です。

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