表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファウスト 〜妖精怪奇作家の幻視〜  作者: 語り部ファウスト


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/9

第八幕:交霊会とシャーロック・ホームズの理性

やあ、君。交霊会についてどう思う?

霊媒師を通じて死んだ人間を呼び出すこと。これって、物語を作る人たちと似たようなものに見える。

もしかしたら、ボクも死者かも知れない。ーー君にとっては。


第七幕では、妖精を信じ、徹底的に破滅へと行進するアーサーをみたね。


さて、アーサーは交霊会を開くことにした。友人のハリー・フーディニを呼んで、改めてアーサーの妻のジーン

イギリスのイースト・サセックス州にあるクロウバラのウィンドルシャム邸。そのリビングルームで、アーサー・コナン・ドイルによって呼び出されたハリー・フーディニはものすごく機嫌が悪かった。ソファにも座らず、舌打ちした。

彼の他にも、著名人たちが呼び出されていた。


中央で、アーサーが両手を広げていた。そこには、円卓の台と椅子が複数置かれてあった。囲むようにして、来客たちを座らせるつもりだった。

「お集まりの皆さん。お待たせしました。交霊会パーティへようこそ。

我が友、ハリー・フーディニの舞台のように、奇術を披露はしませんが、皆さんをこれから、不思議な経験、神秘の旅へお連れしましょう。」とアーサーは前口上を始めた。

彼の妻のジーンが会釈して、席につく。どこか遠いところを見ていた。

来客たちは、交霊会パーティなんてわかってなかった。

フーディニがアーサーを見て舌打ちした。


「さあ、皆さん。特に、エリク。ジーンのとなりに。君がトリックを見られるようにーー」とアーサーはフーディニを手で招いてみせた。

親しげな眼差しの下に狂気の響きがあった。

「ーーその女の隣はイヤだ。ーー俺は君が謝るものだと思ってたーー俺も謝るつもりだったーー」

フーディニは顔を伏せた。

アーサーに言われるがまま、少し離れた席につく。

「君のために、ジーンが準備してくれた。きっと喜ぶーー」それからアーサーは来客たちに握手をしてまわった。

「やあ、ようこそ!君たちは目撃者になる!」


部屋のカーテンが下ろされた。

あたりが薄暗くなる。

円卓の上にはごちゃごちゃした物が置かれて、香が焚かれた。

ジーンは頭からヴェールを被ってて、ブツブツ呟く。皆は両隣りにいる人たちと手を握り合った。

ーー早く帰りたかった。

帰って、この汚らわしい思い出を捨て去りたかった。


アーサーが天に祈るように、ジーンの肩を抱く。

「ああ、天使たちの声がーー聞こえるーー」とアーサーは喚く。

「霊界のメッセージが、我々の暗い時代を照らしてくれるーー」

アーサーは最後まで言えなかった。

突然、ジーンの目が見開かれた。

そして、彼女の口から予想外の言葉がもれた。

「あるーーは、なんでも。ーー僕の鋭い知性がーー役立つならね。ーーただし占いや降霊術、ーー妖精に関する相談は受け付けない。

あれは知性のない遊びだ。ーー夢中になるヤツのーー気が知れない」

その知性あふれる声を聞いて、卓を囲む皆が目を見開いた。


霊媒師ジーンの言葉はだんだんと激しくなった。

「だいたい死んだ人間は、生きた社会で生活してない。そんな奴らの助言なんて聞くに値しない。ーーバカらしい。頭が飾りの連中をだます方便さ。見てろ、ワトソン。全員でおてて繋いで、ブツブツ言い始めるぜ。

アイツら、少しは考えてるのか。おい、あの丸顔の灰色ヒゲ、太ってるぜ。いいもの食ってるんだろうな。おい、トーストとコーヒーを奢らせようーー」それから彼女は静かに語り終えた。

「ああ、アーサー......悪魔が私の口を借りたのよーー」とジーンは言った。


ジーンは改めて、フーディニに語りかけた。まるで、彼の母親のように。

ーーフーディニは目を見開いた。

でも、聴いていくうちに腹がたったのか、急に席を立った。

彼は言った。

「不愉快だーー不愉快だ!!」そして、彼は二度と来なかった。


アーサーは来客たちを見回した。

皆、彼から顔を背けた。

「わからんのか、わからんのか!これは科学なんだーー!」


彼はリビングルームの中、叫んだ。

ホームズが憎かった。

(こうして、第八幕はホームズにより幕を閉じる。)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ