表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファウスト 〜妖精怪奇作家の幻視〜  作者: 語り部ファウスト


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/9

第七幕:妖精写真の評価と他人の目

やあ、君。人は自分たちがやられた事に対しては劇的なまでに反応する。

だけど、他人がやられている事に関しては冷たいものだ。ーー気にもしない。


第六幕では、エルシーの父親がアーサーにクレームをいれた。

世間のバカさぶりも非難した。


この父親アーサー・ライトの怒りの爆発は、アーサー・コナン・ドイルの生涯で最も屈辱的な瞬間の一つとなった。作家として、英雄として、彼は大衆に歓待されてきたが、目の前のこの一人の常識人に、人間として、親として、徹底的に見下されたのだ。

普段のアーサーなら謝罪を求めたはずだった。女の子たちが自分をからかったと完全に理解したら、ーー法廷が待っていた。

だが、彼は妖精の存在を否定したくなかった。


彼はライト家から例の写真をもらった。プライドの高い彼が何をしたかは言わない。彼にとって、屈辱なものだ。

彼は滞在しているコテージの自分の部屋に戻ってた。テーブルに写真を丁寧に並べていく。


「この写真はーー人類の意識を次の段階へ進める、唯一無二の証拠なんだ」

彼は自分に言い聞かせるように呟いた。


さてーーライト家とその他は、この件で自分たちの妖精話は、とんでもないものだったと気づいてきた。

すでに両親は、仮に子どもたちの信じている通りに、妖精がいたとしても、それらは悪魔だと思っていた。

なぜかって?

心霊話好きなヒマ人どもが国中からやってきて、自分たちの生活を踏み荒らしていくんだ。知らない奴らが、さも当然のようにね。

関わるべきじゃなかった。

村の中だけでも大変なんだ。

だって女の子たちは自分たちの注意を引く為に、妖精の話を村中に話した。

アーサー・ライトは発明も満足にできなくなった。繊細な活動はヒマ人どもにより、めちゃくちゃにされるーー。


ーーもう引き返せない。


さてーーこちらのアーサーはお手伝いさんに、妖精の証拠写真を見せることにした。

自分で見て納得はしてた。

妖精はいるんだとね。

でも彼は他の人の目が欲しかった。


彼はコテージにいたお手伝いさんを捕まえて、話をすることにした。

彼女の名はマーサと言った。

お手伝いのマーサも、アーサーに呼び出されて警戒した。

街でお偉い人が、何か話すのは文句か命令かだ。ねぎらいの一つもない。

やる事が当たり前だからだ。

「マーサ。この写真には妖精たちが写っている。どう思う?本物かと思うかね?」

さて、マーサは困った。

意見を求められたから、自分なんかになぜーー彼女は不安になる。

賛同が否定か。二つに一つだった。

でも彼女には確信があった。

常識的に考えて、妖精を信じる奴はいない。

「ニセモノだと思います。ええ、旦那さまの意見と同じです。こんなの、誰が信用しますか。子どもを楽しませるために、誰か加工をしたんでしょう、ええ、そうですとも、こんなのーー」

ーーこんなの信じる奴は頭がおかしな奴です、と最後まで言えなかった。

アーサーが厳しい目で見てたからだ。

彼のヒゲがピクピク動いていた。

犬が唸りをあげる前のようにーー。

「ーーこんなのなんだって?」と彼は口を開いた。

「これは世紀の大発見だ。

もうすぐだ。神秘的な者たちが、私によって解明されるんだーー」

マーサは危険を感じて、何も言わずに彼から離れていった。小さく十字を切りながらーー。


彼女の後ろ姿を見つめながら、アーサーは下唇を噛んだ。

妖精は、やっぱり信用されない。

彼は不安に思う。でも、彼は挫けてなかった。

なぜかって?

まるでアーサー以外は妖精が信じないようにしてると思ったから。

何かーー妖精を信じさせまいと働きかけているようだった。

それは常識だった。論理だった。

しかし彼の知性は、人がかたくなに信じないことにより、逆に信じた。

信じなきゃいけなかった。


ーーもし妖精がいるとしたら、霊界もある。

彼の愛した二人がいるんだ。

彼らは存在するんだ。

アーサーは、孤独ではなくなるーー。


(こうして、第七幕は霊界によって幕を閉じる。)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ