第七幕:妖精写真の評価と他人の目
やあ、君。人は自分たちがやられた事に対しては劇的なまでに反応する。
だけど、他人がやられている事に関しては冷たいものだ。ーー気にもしない。
第六幕では、エルシーの父親がアーサーにクレームをいれた。
世間のバカさぶりも非難した。
この父親アーサー・ライトの怒りの爆発は、アーサー・コナン・ドイルの生涯で最も屈辱的な瞬間の一つとなった。作家として、英雄として、彼は大衆に歓待されてきたが、目の前のこの一人の常識人に、人間として、親として、徹底的に見下されたのだ。
普段のアーサーなら謝罪を求めたはずだった。女の子たちが自分をからかったと完全に理解したら、ーー法廷が待っていた。
だが、彼は妖精の存在を否定したくなかった。
彼はライト家から例の写真をもらった。プライドの高い彼が何をしたかは言わない。彼にとって、屈辱なものだ。
彼は滞在しているコテージの自分の部屋に戻ってた。テーブルに写真を丁寧に並べていく。
「この写真はーー人類の意識を次の段階へ進める、唯一無二の証拠なんだ」
彼は自分に言い聞かせるように呟いた。
さてーーライト家とその他は、この件で自分たちの妖精話は、とんでもないものだったと気づいてきた。
すでに両親は、仮に子どもたちの信じている通りに、妖精がいたとしても、それらは悪魔だと思っていた。
なぜかって?
心霊話好きなヒマ人どもが国中からやってきて、自分たちの生活を踏み荒らしていくんだ。知らない奴らが、さも当然のようにね。
関わるべきじゃなかった。
村の中だけでも大変なんだ。
だって女の子たちは自分たちの注意を引く為に、妖精の話を村中に話した。
アーサー・ライトは発明も満足にできなくなった。繊細な活動はヒマ人どもにより、めちゃくちゃにされるーー。
ーーもう引き返せない。
さてーーこちらのアーサーはお手伝いさんに、妖精の証拠写真を見せることにした。
自分で見て納得はしてた。
妖精はいるんだとね。
でも彼は他の人の目が欲しかった。
彼はコテージにいたお手伝いさんを捕まえて、話をすることにした。
彼女の名はマーサと言った。
お手伝いのマーサも、アーサーに呼び出されて警戒した。
街でお偉い人が、何か話すのは文句か命令かだ。ねぎらいの一つもない。
やる事が当たり前だからだ。
「マーサ。この写真には妖精たちが写っている。どう思う?本物かと思うかね?」
さて、マーサは困った。
意見を求められたから、自分なんかになぜーー彼女は不安になる。
賛同が否定か。二つに一つだった。
でも彼女には確信があった。
常識的に考えて、妖精を信じる奴はいない。
「ニセモノだと思います。ええ、旦那さまの意見と同じです。こんなの、誰が信用しますか。子どもを楽しませるために、誰か加工をしたんでしょう、ええ、そうですとも、こんなのーー」
ーーこんなの信じる奴は頭がおかしな奴です、と最後まで言えなかった。
アーサーが厳しい目で見てたからだ。
彼のヒゲがピクピク動いていた。
犬が唸りをあげる前のようにーー。
「ーーこんなのなんだって?」と彼は口を開いた。
「これは世紀の大発見だ。
もうすぐだ。神秘的な者たちが、私によって解明されるんだーー」
マーサは危険を感じて、何も言わずに彼から離れていった。小さく十字を切りながらーー。
彼女の後ろ姿を見つめながら、アーサーは下唇を噛んだ。
妖精は、やっぱり信用されない。
彼は不安に思う。でも、彼は挫けてなかった。
なぜかって?
まるでアーサー以外は妖精が信じないようにしてると思ったから。
何かーー妖精を信じさせまいと働きかけているようだった。
それは常識だった。論理だった。
しかし彼の知性は、人がかたくなに信じないことにより、逆に信じた。
信じなきゃいけなかった。
ーーもし妖精がいるとしたら、霊界もある。
彼の愛した二人がいるんだ。
彼らは存在するんだ。
アーサーは、孤独ではなくなるーー。
(こうして、第七幕は霊界によって幕を閉じる。)




