表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ファウスト 〜妖精怪奇作家の幻視〜  作者: 語り部ファウスト


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/9

第五幕:妖精の詩

やあ、君。自分の周りで起こる事、全て把握したと考えてない?

日常なんか当たり前ーーそれって本当なのかな。

人間は知識によって視野を広げて、

知識によって視野を狭めるーー。


第四幕では、妖精に対し価値を考えなおそうとしたアーサーだったが、少女たちから手助けをもらう事にした。

その結果、エルシーが妖精との交流に成功した。


「おじちゃん、妖精が話しかけてきた!」の言葉が再び少女エルシーの口から飛び出した。

少女の言葉が、アンソン大佐の不当な命令によってへし折られた「彼の心の棒」を、もう一度立ち直らせた。

ーー妖精はやはりいた。

写真だけでなく、アーサーの日常に飛び込んできたんだ。この事を本に書けば、新たな科学のページになる。

ーー彼は勝利したのだ。

論理ではない、純粋な信念がーー世界を動かす事になるんだ。


エルシーが妖精に会えたのに、喜んだのはアーサーだけではなかった。フランシスもエルシーの隣にうつぶせになって、草むらに頭を突っ込んだ。いとこのエルシーに負けたくなかったのかもしれない。

そして彼女も声を出した。

「本当!黒髪の男の子の妖精よ!」

彼は身をかがめ、少女の見てるものを覗き込もうとした。

腰を屈めて、少女の尻ごしから草むらをマジマジと見る。

その顔には探求者としての熱情が浮かんでいた。

だけどーーこの光景はちょっとシャレにならないぜ。

まるで女の子たちを四つん這いにさせて、しかも頭を草むらに突っ込ませてーーそれを真剣に見ている老紳士の出来上がりーー神秘と言えぬバカさ加減。

「ブラボー!実に素晴らしい!フランシス、そしてエルシー!どういう気持ちなのかい?ーー教えてくれないかね?」

「ええ。彼は驚いてるーー」とフランシスは答えた。

「それに怒ってる!」エルシーもまた、興奮した顔で草むらから頭を出し、続けた。

「おじちゃんへの歌をうたってる!」


二人の少女は、目を輝かせ、草むらにしゃがみ込んだまま、アーサーに向かって歌い始めた。

それは甲高くーーどこか子供の遊び歌のような、奇妙に耳に残る節だった。

それがこうだった。


「やいやい、お前らやめてくれ

オレの家になんなんだ

誰がさせたこんな事

小さな頭が一つ二つ

オレの家に突っ込んで

四つの目で見つめてる

やめてくれよ、こんな事

誰がやらせた、こんな事

やらせたやつは呪われろ

ノロマのドジのヘビ野郎!」


歌い終わった二人は、顔を見合わせて笑い、アーサーの反応を待った。

アーサーは動かなかった。

その代わりに、彼の顔から血の気が失せ、凍りついたような表情になっていた。


しかし凍りついたのは、

何もアーサーだけじゃなかった。

この光景を見て、最も凍りついたのはエルシーの父親アーサー・ライトであった。アーサー・コナン・ドイルに写真を送ったのを後悔したーー。


そもそも、エルシーにカメラを渡した事を後悔したのだったーーこれこそまさに後の祭り。


(こうして、第五幕は妖精の歌で幕を閉じる。)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ