第四幕:妖精とは害獣かもしれないーー
やあ、君。信念の強い人って言葉についてどう思う?言葉って面白いよね。ただのガンコでワガママでも、この言葉を使うだけで、急に偉くなる。
第三幕では、アーサーは四つん這いになりたくないから庭師のフレッドに命令した。だけど命令を拒否された。その様子を見た。
さてーーアーサーは不安になった。
地面に這いつくばって、お尻を高く上げ、目の前の妖精が住む草むらーー妖精の家に頭を突っ込むか悩んだ。
妖精は魅力的だが、彼の高貴なお尻に比べると大した価値がないように思えてきた。彼は自分の高貴な尻の価値を考えた。
1902年イギリス国王エドワード7世からアーサーは騎士の爵位を授与された。ボーア戦争で、軍医として従軍し、イギリス帝国にとって都合の良い擁護本を出した。
まあ、自国の戦争擁護だ。
皮肉なものだ。
戦争を擁護して、戦争で愛する者を失うなんて。ーーまあいいさ、この事により、彼の価値は上がったんだ。貧乏だった子ども時代と比べたら、大した出世だった。
でも、もしこの爵位がシャーロック・ホームズの執筆でもらえたとなったら、彼は全力で拒否しただろう。
それくらいホームズが嫌いでたまらなかった。
唐突に、彼はジェームズ・マシュー・バリーの『ピーターパン』を思い出した。そこに登場する妖精はーーアーサーの理想とする妖精とは、かけ離れていた。
あんなのが草むらの中にいたとしたら、ハサミで鼻をちょんぎられるかもしれない。もしくは、この薄汚い田舎の家にある不潔な針を妖精たちが盗みだしたとする。妖精たちは、その武器でアーサーの二つもある目を突き刺してくるかもしれなかった。
「これは慎重にならなきゃいかんーー」
尻をフリフリするだけが問題じゃなかった。妖精は害獣の可能性があるーー。
アーサーが悩んでいる様子を見たフランシスとエルシーは、アーサーのお尻を叩いた。直接に叩いたのはエルシーだ。この愛すべき9歳の女の子は無邪気に微笑んだ。
「おじちゃん!あたし、やってみる。妖精さんをお茶会に誘ってみるーー」
アーサーは感動のあまり泣きそうになった。だがーー彼は泣くには強すぎる男だった。彼はエルシーに説明した。
「妖精は、歴史の中で私たちに芸術的なことを囁く、偉大な霊の一種なのだ。君の優しい声で、彼らを安心させてくれーー」そう言って、エルシーの肩に手を置いた。
ーーアーサーが背後で見守る中、エルシーは顔を草むらに突っ込んだ。
草の匂いと湿った土の匂い、そして微かな獣の臭い。彼女は、そんな香りを小さな鼻で感じただろう。
奇妙な静寂の中で、エルシーの小さな身体が突然、ピクんと体を揺さぶらせた。
アーサーの心臓が激しく脈打った。
「おじちゃん、妖精が話しかけてきた!」
その声はアーサーが最も待ち望んでいた、新たな真実の囁きだった。
(こうして、第四幕は新たな真実で幕を閉じる。)




