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ファウスト 〜妖精怪奇作家の幻視〜  作者: 語り部ファウスト


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1/9

第一幕:妖精作家の始動

やあ、君。


今回の物語は、ファウストが天に召された後の話だ。

彼の壊れた魂は、

次の誰かに受け継がれた。

もしかして、君の時代にも彼の魂を持つ者がいるかもしれない。


ボクが誰かって?

語り部ファウストさ。

ヨハン・ゲオルク・ファウスト。

君と共に物語を見つめる者であり、

君の友だ。


今度のファウストの魂を引き継ぐ者がわかった。1920年代初頭の頃だ。ロンドンの喧騒から遠く離れたヨークシャー州コティングリーの渓谷にいた。

田舎の家。その周り囲む庭の中でら自然が我がもの顔で至るところに影響を及ぼしていた。

至る所に草の茂みができてて、その小さな闇から不思議な生き物たちの囁きが聞こえてきそうだ、

庭の中でも地面がむきだしになった場所に、中年男性が立っていた。茶色い短髪には白髪が多く混じり、灰色の髭が口元を隠していて、体はがっしりしていた。よれよれのブラウンの紳士服を着て、気だるそうにしていた。


彼の名はアーサー・イグナティウス・コナン・F・ドイル

Fとはファウストだ。

この秘密の名はボクらだけが、

知っているーー。

えーー? イグナティウスって?

ただのミドルネームだ。

ボクらが彼を呼ぶ時、アーサーと呼ぼう。


警察組織から脅迫ともとれる「探偵廃業命令」と「助手であるホームズ」を逮捕と接触禁止命令までくらって数年。彼は未だに無礼な警察官とあの分からず屋の牧場主と、不愉快なシャーロキアンたち、そして世間から「警戒と観察または監視」が続けられていた。

その後の数々のエピソードも彼を孤独な老作家に追い込んでいた。

彼が口を開けば皆が注目したが、論理とはかけ離れた感情による無軌道な動きに誰もが疲れていた。


年をとる事についてどう思う?君が老ぼれてしまったら、誰が面倒を見てくれるんだい?

その人たちは、君が何か思いついた時、それがろくでもなかった場合ーー止めてくれる人たちだろうか?

残念だけど、彼にはそんな人たちはいなかった。いたとしても、彼は未だに得意なボクシングで右ストレートを放っただろう。誰も止めないからだ。


そんな彼の前には二人の少女がいた。フランシスとエルシー。そして、彼女たちが撮った五枚の妖精の写真。

「妖精はいるわ。わたしたちの友だちよ。おじちゃんが、本当に純粋な気持ちでみたら、きっと見える。わたしの言いたいこと、わかる?」

「ああ、分かるとも。わかる。実は、私にも妖精が見えるーーそんな気がする」

少女の純粋な目、そしてその写真に写るぼんやりとした光の形。アーサーの衰えた肉眼では、それが作り物である証拠を見つけることはできなかった。しかし、それ以上に、彼の心がそれ以上の探求を拒絶した。


都合の良い頭と、誰も止めないこと、言っても聞こうとしない彼の姿勢は、確実に彼を破滅へと追い立てていた。


「私は信じるーー妖精はいるかもしれないーー」


彼はもう一度呟いて、少女たちを見た。


(こうして、第一幕は二人の少女により幕を閉じる。)


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