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1.異世界転生したみたいなので、まずは喜びたい

「〜〜ぃ…」


 遠くから、声が聞こえる。くぐもっていて、何を言っているか分からない。


「ぉ〜ぃ…」


 俺を、呼んでる?でも、全く聞き覚えのない声だ。


「起きてくださいお兄さまっ♡」


「え!?」


「お〜、起きた起きた」


 ブラコン妹キャラみたいな声の方を見ると、何か神々しい存在がいた。


「えっと、あなたは…」


「神様☆。突然だけど、君を異世界転生させてあげよう」


「…」


「…。あれ、ここ喜ぶところだと思うんだけど」


「いや、説明不足にも程があるでしょ…ていうかさっきの萌え声なに?」


「キモオタはああいうのが好きなんだろ?」


(神様にキモオタって言われた…)


 でも、生きてた頃の俺は本当にそんな感じだった。彼女はもちろん友達もおらず、マンガ・アニメ・ゲームにほとんどの時間を費やしていた。

 そんな感じの俺だったが家族との仲は良かったから、その日は両親、弟と一緒にキャンプをしていた。薪を集めてる最中、弟が川に近づくのが見えた。川には近づくなってあれほど言ったのに…。案の定弟は流され、焦った俺も助けようと川に入ってしまった。

 そこで死んだから、今ここにいるんだと思う。この、なんか光に包まれたよく分かんないところに…。


「ご名答。私が死んだ君の魂をここに連れてきたんだ。それと、弟くんは助かってるから安心してな」


(今ナチュラルに心読まれた。ていうか、あいつ助かったんだな。俺のしょうもない命を賭けた甲斐があったってもんだな)


「回想は済んだかい?」


「あ、はい。で、なんでしたっけ?」


「君を異世界転生させてあげようって話さ」


「だから急にそんな……」


(いやいやちょっと待て、なにを冷静になってるんだ俺は。異世界転生だぞ!?マンガやアニメで憧れることしかできなかったシチュエーションだぞ!場合によっちゃ、チートスキルで無双とか、不老不死になってスローライフとか…やべぇ、そう考えるとテンション上がってきた)


「ち、ちなみに、どういったキャラに転生されるんですか?」


「ちょっと顔がいいだけの一般人」


「え、それだけ?」


「一応、固有の魔法もあげるけど」


「…チート?」


「チートではない」


「違うんかい」


「まあ、それは君の使い方次第かな。あとついでに一軒家もあげよう。目覚めたら近くにあるから」


「ああ、それはどうも」


「じゃあ頑張ってね。これからの君の未来は、紛れもなく君自身のものだ」


「?」


「じゃ、行ーってらっしゃーい!」


 こいつがそう言うと、急な浮遊感と共に俺の意識は途切れた。


 ◇ ◇ ◇


 草木の匂い、鳥たちの囀り、そよ風が頬をくすぐると共に木の葉を揺らして音を奏でる。

 ゆっくり目を開けると、澄んだ青空に棚引く白い雲が見えた。

 徐に起き上がって辺りを見渡すと、どうやら木々に囲まれたレンガ造りの家の庭先に倒れていたようだ。

 立ち上がり、自分の手を握り締めて感触を確かめる。そして、これがゲームなどではなく現実だと認識する。

 すると突然、地面を揺るがすほどの鳴き声が轟いた。驚いて一瞬目を瞑ったが、すぐに声がした方を見た。

 声の主は、遥か遠くを飛んでいた、ルビーのような赤い鱗を身に纏った巨大なドラゴンだった。

 恐怖は微塵も無かった。その非現実的な光景を目にして、俺はただただ心を震わせた。

 そしてようやく理解した。

 異世界に来たのだと。


「…〜〜〜」


 考えることはいっぱいある。だけど…。


「異世界イィィィ!!来たぞーーー!!!」


 今は、夢が叶ったことに大喜びしたい。

初作品です。

不定期更新になります。

よろしくお願いします。

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