ファンタジーとは名ばかりの
ここは雑踏とは遠い場所
この世ではなく、あの世でもない
今日もこの森ではたくさんの魂が煌めいていて
川の流れが静かに刻を刻んでいる
どこにもいけない魂が集う場所
朝になっても白夜のように冷たく寒く
夜が長いこの場所を誰かが朔水と呼んだ
「人間がこんなところにいるべきではないですよ」
「でも、誰かがここにいなかったら、喧嘩とか起こったら誰がとめるの?」
「魂同士が喧嘩など起こしますか?」
「じゃ、仮に仮定しましょう。さっき殺された魂がここへやってきて、その何十年後にその人を殺した人もやってきたとします。
肉体を持たない魂は、人の心だけを持ちあわせている。心はなくならない。では、どうやって戦いますか?」
「炎でも飛ばし合うんでしょうか?」
「わかりません。…そのために私がいるんです」
「…わからないんですか?」
「はい。仮定といいましたよ」
いつしか集まってきた魂がどうしたいのかを私は知りたいのかもしれませんね
もし、私もココに彷徨うことになるのなら、なおさらです
※1話完結ですが、続きが思いついたら書きたいです。
ファンタジーコンテストに応募する予定だった作品。