征くは星の大海
テント入口のジッパーを開けて顔を出す
寝袋の中に入って
寝転んだまま夜空を見上げたら
心は夜空に吸い込まれてく
風のない穏やかな夜に
薄い絹のような雲は
眺めているうちに
黒い沼地のような空に溶けていった
空を彩る一面の星、ホシ、ほし
雲とは異なる白い帯
星々の船を導くように
南の空に流れる星の河
神話を象る星の座が
夜空と共に在るはずだけど
水面に浮かんだ星を目にしたら
きっと神様も僕と一緒に
星空観察しているよ
天駆ける星
流れゆく星
燃え出づる星
燃え尽きる星
波打つことない水面に
明かりを灯して征く星の船
今、1つの船が空を裂いて
夜の水面の底に消えていった
空に瞬く一面の星、ホシ、ほし
そこが世界の中心と
星々の船は巡るように
北の空に輝く星の導
遥か遠くの星の大海
人の足でどれほど高みに昇っても
届くことのない彼方の海
それでも、この心だけは
大気の膜に閉じ込めることも出来ずに
その暗闇の内に吸い込まれてく
明けの星が夜空のジッパーを開ける時まで