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Over the Holizon ‐ 力の意思 ‐  作者: 天沼 観影
第二章
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第四十四話(第七十四話) 救世主の役目

 マクラ共和国ラピュタ化計画とムー大陸次元転移の実行にあたり、ヌースとアレーティアのサポートを受ける必要があるため、僕らは再び浮遊島へと集まった。


『いよいよじゃな。』


 計画の実行予定時間は13:00、あと15分後だ。

僕を含め皆緊張の色は隠せない・・・昨日事前に色々を確認と調整を終えたとはいえ、ほぼぶっつけ本番かつ下手すると大量の犠牲者が出てもおかしくない計画だ。緊張しない方が無理というものだ。


『これで儂らはまた暫しお別れとなるが・・・(つとむ)がブラックホールの力をきちんと制御出来るようになればまた会えるようにもなるじゃろう。』

『えっ、本当に!?』


 陽子が食い入るように問う。


『ああ、勿論。ただ、いつになるかは・・・(つとむ)次第だ。』


 陽子が僕を睨みつけて来る・・・


『はは・・・ここやインド洋上空のようなエネルギースポットでオリハルコンを使っても会えるんだよな・・・?』

『まぁ、そういう方法もあるな。』

『陽子、そういうわけだから本当に会いたくなったら何とでもなるさ。』

『そっか・・・!』


 今生の別れではない、そのことは僕らにとって物凄い励ましだ。


『さて、そうは言っても当分会えない事には変わりない。そこで、最後に一つ話しておきたい事がある。』

『えっ、このタイミングで?一体何だ・・・?』


『この世界の時代背景についてじゃ。』

『ああ・・・そういえば、僕らはこの世界が元の世界と時間軸が逆になっているのは分かったけど、時代背景がイマイチ分からなかったんだよな・・・。

 国の名前は元の世界と変わらないけど、年号や細かい所で違ってるし。』


『国の名前は元の世界から来た者達が付けたから当然じゃろうな。』

『あぁ、そうか・・・だからキリスト教なんかも普通にあるんだもんな。』

『お前たちも分かっている通り、ムー大陸の人間は基本的には儂らの元居た世界から来た人間の末裔じゃ。それはマクラ共和国以外の人間も基本的には変わらん。』


『他の大陸の国の人達がムー大陸に来たわけじゃないんだ。』

『そういう者も僅かに居るが、少数派だ。何よりムー大陸の人間とは倫理観が異なるから、なかなか相容れづらい部分もあってな。』


『倫理観・・・?というか、時代背景の話じゃなかったのか?』

『うむ、その時代背景が理由じゃ。この世界は、儂らの元居た時代から考えると、およそ15000年前に相当する時代なんじゃ。』


『えっ!15000年前って・・・人類の文明が発生したかどうかくらいの時代なんじゃ・・・?』

『その通り、ムー大陸に儂らの世界から人が初めて訪れた時はそれこそ世界はまだ狩猟生活が主で、文明らしい文明は雨乞いや祈祷などの祭事を行ってたくらいのものじゃろう。

 そんなところに儂らの時代の文明人が訪れたわけじゃ。そしたらどんな事が起こると思うか?』


『それは・・・当然言葉も通じないだろうし、下手すると侵略者と思われて抗争になるかもな・・・。』

『その通り、当時はかなりバチバチやり合っていて本当に少しづつ交流が図れるようにはなって行ったわけだが、本格的に文明が世界に広がって行ったのは儂らがこの世界に来てからじゃった。』


『はぁ~・・・そうなると、シュメール文明のような急激に発達した文明が現れたのってやっぱりムー大陸が関係してたのか・・・。これは古代ミステリー好きにはたまらない情報だな・・・。

 あれ?だとすると月が無かったり、洪水の発生って元々の世界の歴史とリンクしてたりするのか・・・?』

『結果的にはそうなるな。少なくとも事実この時代より前には月は無かった。』

『そ、そうだったんだ・・・それも凄い事実だな・・・。』


『これからもまだまだ色々な事が待ち受けているとは思うが、この事を知っておけば何等かの手助けになるかも知れん。』

『うん、ありがとう。僕の中でももやもやしていたことの一つが晴れて良かったよ。』


『私からも一つ話しておきたい事があります。』

『母さんからも・・・?』


救世主(メシア)の役目は人々の心の救済になりますが、それは押し付けるやり方では決して果たされない事です。それはかつてのイエスも失敗し、真理・・・私達も失敗した事です。』


 確かに、いくら言葉で伝えてもその根源にあるものまでは変えられないだろう。それはかつてのイスラエルやアトランティスでも失敗したこと・・・でも、では何故ムー大陸では成功したのか・・・?


『でも・・・ムー大陸では成功した・・・んだよな・・・?』

『そうですね・・・。ですが、それには十分な下地があったのです。』

『下地?』

『ええ、ムー大陸の人達は元々私達の住んでいた世界の末裔かつ、そこには多くの日本人と環太平洋の人々が含まれていたからです。』

『え、日本人・・・?』


『日本人は他国に比べ、協調心が強い事は(つとむ)も心当たりありますよね?』

『ああ、確かに日本人はその事で世界から賞賛されたり特殊な民族だって言われるよな。』

『そう、そしてその協調心を育んだのは八百万の神々を信仰した日本の神道であり、そしてイスラエルで一度失敗を経験し、その反省を生かした初代天皇でもある・・・イエスによる導きの賜物なのです。』


『えっ!?イエスが初代天皇!?』


 衝撃的過ぎる話で頭が変になりそうだ、一体どういうことだ・・・!?

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