第四十一話(第七十一話) 工程
『では、次にマクラ共和国ラピュタ化計画とムー大陸次元転移についてじゃ。』
マクラ共和国を宙に浮かせるには、僕のブラックホールの力を応用してマクラ共和国中枢部の土地から魂を引き抜く必要がある。
そこにレムリア大陸に一時的に注入しているオリハルコンの人工魂を引き抜いて、マクラ共和国へと移す必要があるが、レムリア大陸の人工魂を引き抜くと10秒以内にレムリア大陸及びレムリア人達は幽玄界へと戻って消えてしまうと言う・・・。
『この作戦での大きな課題は力のブラックホールコントロールとレムリア大陸の人工魂の引き抜きの2点だ。』
『あ・・・レムリア大陸の人工魂の引き抜きってあまり考えてなかったけどどうやるんだ?』
『まぁ、これもブラックホールを使えば可能と言えば可能だが、そうすると力の役割が①マクラ共和国の魂引き抜き、②レムリア大陸の人工魂の引き抜き、③マクラ共和国へ人工魂注入、④ムー大陸の次元転移と4工程を連続的にやらなければいけなくなり、負担もそうじゃがサイクルタイム (作業にかかる時間)的にも厳しいじゃろう。』
『今の行程の②~④を10秒以内・・・だもんな・・・。いや、②は途中からレムリア大陸消滅カウントダウンが始まる感じか?』
『うむ、恐らく掛かる時間を概算すると、①10秒、②10秒、③3秒、④が・・・30秒は掛かるだろうな。』
『えっ、④だけで計画破綻してないか??』
『それもそうじゃが、①と②はほぼ同時にやる必要がある。①が完了すると、マクラ共和国の土地は崩壊が始まるから、すぐに人工魂を注入してやらなければいかん。』
『・・・それもかなりシビアだな・・・。』
『でだ、具体的にどうやるか・・・だが、②と③の行程は儂とアスプロで行う。』
『えっ、私が・・・ですか?』
不意な指名にアスプロが驚きの声を上げる。
『魂の引き抜きは魂の操作技術と似たようなもんだ。アスプロの力なら出来るだろう。』
『成る程・・・ですが、あのような巨大な大陸の魂となるとちょっと自信が無いですね・・・。』
『そこは、儂がアスプロの肉体を借りて力を使わせてもらう。正に共同作業じゃ!』
『えっ、先生が私の体を・・・!?』
にやりと笑う博史にたじろぐアスプロ・・・。
『あぁ、僕がウィルに体のコントロール権渡してる状態みたいなもんか・・・。』
『ど、どんな感じなんでしょうか・・・?』
『うーん・・・視界は共有してるけど、体が勝手に動くから傍観してる感じかな・・・。まぁ、特別どうこうは無いですよ。』
『そ、そうですか・・・。』
『感覚も共有してるから、コツが掴める感覚もありますよ。』
『成る程、それは便利ですね・・・。』
まぁ、ウィルの場合は力がでたらめ過ぎて参考にならなかったりもするが・・・。
『そして問題の④じゃが・・・これはアレーティアの協力が必要じゃろうな。』
『はい、私がムー大陸に保護シールドを張り、そしてブラックホールの力を注入する金型のような枠を作成します。後は力の力を増幅させるサポートもします。
このやり方であれば、力は目一杯ブラックホールを大きく作る事だけに集中出来るかと思います。』
アレーティアが行程を丁寧に説明してくれるが、どうしても気になる点がある・・・。
『母さん・・・至れり尽くせりだとは思うけど、その目一杯大きく作るのに30秒くらい掛かると思うけど、時間は大丈夫なのか・・・?』
『・・・その為にも私も肉体を借りる必要があります。』
『成る程、肉体があれば母さんが途中で消えてもサポートは継続されるのか・・・?
で、一体誰の体で?』
『・・・ノルンさん、お願いできますか?』
『ふえぇぇえ!!??』
ノルンが驚きのあまり尻もちをつく・・・。マンガのような反応をする人だ・・・。
だが、無理も無い。これはムー大陸の人々の命運を握る重要な役割かつ、途中からは母さんのサポートも無くなるのだ・・・その責任と求められる力は物凄く大きく重い・・・。
『ノルンさん、大丈夫です。あなたの能力はこの役割を果たせるだけの力が十分にあります。必要なのは自信だけです・・・!』
『そ・・・そんな事言われても困りますぅ・・・。』
確かに、自信の無さには自信のありそうなノルンさんだ・・・これは大きな試練になるだろう・・・。
『ノルン、私もあなたにはこの役割を果たせるだけの能力があると思います。私もついてますので、頑張りましょう!』
『うぅ、ししょう~・・・。』
不安要素はまだまだ多いが、一通りの計画は立った。
時刻は夕刻で間もなく日が沈む。モーヴ中将とクラーク牧師の連絡を待ちつつ、僕らは計画に向けての練習を各自行った。
そして日が暮れた頃、モーヴ中将とクラーク牧師から似たようなタイミングで連絡が入った。
内容としては、今夜各国で今後の方針に向けた会議と人選を実施し、明日の早朝から人員移動を開始するとの事だ。
一晩でこれだけの事を決めて実行するというのは、国という単位で考えると恐ろしく早い決定だろう。それだけの事態ではあるが、各国の本気度が伝わって来る。
お互いの状況情報を交換し、それぞれが明日に向けて準備し、思い思いに運命の日を迎えようとしていた・・・。




