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Over the Holizon ‐ 力の意思 ‐  作者: 天沼 観影
第二章
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第四十話(第七十話) ブラックホールの真の力 (補足追加)

『ブラックホールって・・・超重力であらゆるものを吸い込むものだという認識だけど、真の力ってどういう事だ?』

『ん?先にブラックホールの話をするか?良いだろう。ではまず、ブラックホールの前にそのそもそもの力の源である重力についてもう一段階深堀しよう。』


 重力は因果によるものだって話だよな・・・それだけでもかなりのビックリ事実だけど、更に深掘るのか・・・。


『重力が他の力に比べて極端に小さい事は知っているな?』

『あ・・・あぁ、なんとなくは・・・。』

『電磁気力に比べて10のマイナス36乗の大きさだよね!』


 物理学に強い陽子が詳細な数値を挙げる。


『うむ、流石陽子しっかり勉強してるな。』

『えへへ・・・』


 父に褒められて嬉しそうな陽子。この後待っている別れを思うと少し胸が苦しくなった・・・。


『では、何故そんなに小さいのか分かるか?』

『え・・・何故って所詮因果だから・・・か?』

『他次元に力が流出してるからだよ。』


 またしても陽子がさらっと答える・・・。


『え、他次元に??』

『うむ、重力はこの世で唯一、ありとあらゆるものと力の相互作用を及ぼす力なのだ。他次元も例外ではない。』

『超弦理論だと、重力以外はメンブレーンって呼ばれる次元の膜に張り付いて振動してるけど、重力だけは輪になってシャボン玉みたいに次元の膜から離れられるんだよね。』


『そう、そして他次元の膜へと力を伝えるのだ。では、ここで言う他次元とは何なのか分かるか?』

『最初に会ったレムリア人は時間の概念の存在しない幽玄界も別次元だし、時間軸の事なるこの世界も別次元のように言ってたけど・・・。』

『まぁ、それも別次元の解釈の一つとして間違っていないな。だが、もう一つ物凄く重要な他次元があるのだ。』


『時間軸以外に・・・?』


『うむ、では次元について少し詳細に考えてみるか。まず、0次元はプランク長の点だ。そして、1次元はプランク長の点が連続して並ぶことによって線となる。』

『あー・・・確かに点が連続していれば離れて見れば線に見えるな。』


『そして同様に1次元の線が連続して並べば2次元の面になるし、2次元の面が連続すれば3次元の立体となる。』

『まぁ・・・そうだな。』


『では、同じ考え方で4次元が何だか分かるか?』

『え、時間軸を加えて動きが発生するんじゃなくて?』


『うむ、それはあくまで時間軸を加えているだけだ。そうではなく、3次元空間の連続体じゃ。』

『えっと・・・3次元空間が連続して並ぶと・・・?何だ??時間の違いではないとなると・・・』

『多次元解釈・・・平行世界・・・かな?』


 陽子がまた別の量子論的解釈から回答を導く。


『あっ!パラレルワールドか!確かにそれなら時間軸とは別の3次元空間だ。』


『その通り!今この次元世界とほぼ同じでほんの僅かだけ異なる世界が無限に重なり合っているのだ!そしてそれらの他次元もまた、因果・・・重力によって繋がり、お互いの次元を引き合っているのだ!』

『次元同士が引き合っている・・・?』


『お前は引き寄せの法則を知っているな?』

『まぁ・・・それこそスピリチュアル的なもんだとは思うけど・・・。』

『いや、これはれっきとした科学じゃ!物質や時空は全て因果の集合体、そして自由意志を持つ魂にはその因果を引き付ける強い因果があるのだ。そして強い意志にはより強い因果が発生し、別の物質を生み出す際に望む因果を引き付ける力が発生するんじゃ。』


『え・・・それって望む結果・・・未来が自在に操れるって言ってるのか・・・?』

『勿論確率波の中で有り得る範疇ではあるがな。だが、確率波は非常に低確率ではあるが無限に広がっておる。そういう意味では何でも叶う可能性は・・・ある!』


 まじか・・・でも凄く説得力のある話だ・・・。


『そしてその強い因果の中でも最強の因果の塊こそがブラックホールなのだ!』

『ブラックホールの力を完璧にマスターすれば・・・望む未来に出来る・・・?』

『究極的にはそうなる。勿論理論上の話ではあるがな。どこまで可能かはお前次第じゃ!』


『望む未来を引き寄せられるとか・・・これ以上無いチート能力だな・・・。はは・・・。』


『ん~?わたちの幸運を呼ぶ能力も似たようなものかちら?』


 メイが自身の能力について疑問に思ったようだ。


『まぁ、そうじゃな。お主の持つ元々の強い因果の力と、その生まれ持った前向きな性格がそうさせているのだろう。』


『そういえば、マンデラエフェクトとか呼ばれる同じ記憶を持った人達が事実とは違った歴史の認識を持つっていう不可思議な現象があって、それがCERNの陽子衝突実験と関係あるんじゃないかなんて言われてたけど・・・あれも超微小ブラックホールがパラレルワールドを引き寄せてたのかな・・・?』

『・・・そんなこともあるかも知れんな・・・。』


 これは・・・絶対に暴走させちゃいけないやつだな・・・。

完璧にマスター出来るまで実験も控えた方が良さそうだ・・・。


『他にもブラックホールの力は一般的に理解されているような時空を曲げる力を持っているから、それらを利用する事で可能になる事は非常に多いはずだ。』

『一般的に理解されてるかどうかはさて置き・・・確かに発想次第でいろんなことが出来そうだな・・・。』


『うむ、頭を柔らかくして精進するが良い!』


『特定の範囲の時間を止めたり、空間捻じ曲げて攻撃防止したりも出来そうだね!』


 なんだか陽子が楽しそうだ・・・。

とはいえ、これは本当に発想次第でとんでもない事も出来そうだから、想像するのも楽しいのは理解出来る。


 僕もこれからの自身の能力開発の期待に胸を膨らませた。

※補足

時空を因果の集合体とする考え方は因果力学的単体分割(Causal dynamical triangulation, CDT)や因果集合という考え方をベースにしていますが、これらの考え方は因果そのものが重力と言っているわけではなく、各次元の質量が相互作用(因果関係を構築)する事で時空を歪め、重力が発生するという考え方になります。

(2つの平行した蜘蛛の巣(次元)がくっついて平面ではなく立体的な構造になった結果、平面だった蜘蛛の巣に凹みが生じてその凹みが重力のような作用をするというイメージでしょうか?)

挿絵(By みてみん)

なんだかワームホールにも似てますね。

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