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Over the Holizon ‐ 力の意思 ‐  作者: 天沼 観影
第一章
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第六話 意外な事実①

 自衛隊らしき人と本部へと向かうこととなった僕と陽子は、管制塔へ向けて歩き出す。


 近付くと、管制塔かと思っていた建物は思ったほど大きくはなく、灯台をもう少し大きくしたくらいの、説明通り周辺を監視するための目的だけのもののようだ。


「まずは本部へと連絡を取るので、ここで少し待っていて下さい。」


 そう言って中に入ってすぐ脇にある待合室のような部屋に案内され、自衛隊らしき人は出て行った。


「ここって自衛隊の空港にある管制塔かと思ったけど、そうではない・・・?

 だとすると、そもそもここは南鳥島ではないのか・・・?」

「気候的には南鳥島と同じくらい暖かくて湿度も高いし、太陽の高さからも緯度はさほど変わらなそうだから南鳥島から近い別の場所か、私たちがまだ見てなかった所かも知れないね。」

「そっか、少し外れた場所の可能性もあるのか。」


 そうこう話していると自衛隊らしき人が戻ってきた。


「ではこれから本部へと向かいますが、本部は本土にあるのでここから汽車で2日ほどの場所となります。」

「えっ!?ここって離島ですよね?汽車??」

「離島と言ってもこの辺りは浅瀬になってるので土を盛れば大して問題は無いですよ。」

「浅瀬・・・?南鳥島って孤島だから近くは浅瀬でもそんなに遠くまで浅瀬のハズは無いのだけど・・・。

 そもそもここってどこなんですか?僕らは南鳥島という島から来たのですが。。」

「南鳥島ですよ?」

「??」


 どういう事だ?南鳥島には間違いなさそうだけど、どうも何かがおかしい。

 ネットのオカルト話によくある微妙に世界が異なる平行世界にでも迷い込んだのだろうか?

 ともあれ、どうも地理関係に齟齬がありそうだ。


「すみませんが、地図とか無いでしょうか?自分の認識の確認と、これから行く場所を確認したいです。」

「地図ですか?待ってて下さい。」


 再び自衛隊らしき人は部屋を出て行った。

 数分もしないうちに戻ってくると、軍が使っていると思われる大きな地図を持って来て机の上に広げた。


 その地図は、ぱっと見で分かるぐらいの違和感を覚えた。


「我々が今居る南鳥島はここ。世界地図なのでほぼ見えない大きさですが、ここからいくつかの島を通過して南東に進むと本土に上陸します。本土の日本領を抜けて、更に南東に進むとマクラ共和国へと到着し、ここが目的地になります。」


 指差す場所は距離にするとここから3000km以上はありそうだが、問題はそこじゃない。

全体的にはよく知る世界地図なのだが、向かう先はどう見ても太平洋の真ん中だ。


「陽子、これって・・・!」

「うん、間違いなくアレだね・・・」


「「ムー大陸!!」」


 この地図には太平洋の真ん中に巨大な大陸があり、更によく見ると大西洋やインド洋にも大陸が描かれている。


「!!ムー大陸だけでなく、アトランティス大陸やレムリア大陸まである!!伝説の大陸はここにあったんだ!!なんだこれ、ムー民(※)大歓喜世界じゃないか!!!」

(※月間ム〇愛読者の総称)


 僕が鼻息荒くして大興奮していると・・・


「つとむ・・・」


 陽子が若干引き気味でいることに気付き、我に返る・・・


「えっと・・・、すみません・・・。」


 先ほどの失態に恥ずかしくて縮こまっている僕を後目に、地図を眺めていた陽子が何かに気付き問いかける。


「すみません、このレムリア大陸という場所はよく見ると点線で描かれているのですが、これって何故でしょうか?」


「・・・」


 聞こえていないのか自衛隊らしき人は黙っている。

今更ながら陽子の紹介をしていなかった事に気付きつつ、今更感もあるためさらっと流して普通に話す事にした。


「えっと、陽子の質問ですが・・・何かまずい事を聞いたのでしょうか・・・?」


「・・・さっきから気になっていたのですが、あなたは誰と話しているのでしょうか?

 まるでそこに誰かが居るかのように振舞っているようですが・・・。」

「「えっ!?」」


 陽子の姿が見えていない!?どういうことだ・・・


 大きな狐から引き剥がした時に何かが起きたのか、はたまたブラックホールに巻き込まれた影響で何かが起きていたのか・・・もしくは僕の脳がおかしくなっていて実在していない陽子を認識している可能性も否定出来ない・・・。そもそもの話、獣のような耳や尻尾の生えた人間なんてものが存在する訳が無いから、全ては夢だったのか!?

 などと混乱した思考を巡らせていると。


「・・・もしかすると、先ほど言っていた大陸の一つ、レムリア大陸ですが、そもそもが存在するのかしないのか、見たと言う人も居れば見えないという人も居る。また、そこに住む住民もまた限られた人にしか認識することすら出来ないという伝説のある、曰く付きの大陸なのですが、何か関係があるのかも知れませんね。」


「・・・なるほど、それで大陸が点線で描かれているのですね・・・。でも、形もハッキリ描かれているのだから、きっと見える人には見えているのでしょうね。」


「ええ、これから向かう本部にもレムリア大陸を見て、レムリア人に会ったという方が居るので、会って話してみると良いかも知れません。」


 この世界、別世界なのか今までの世界で時間だけが経過した世界なのか、色々と謎が多すぎて頭がショートしそうだけど、正直内心わくわくしている自分も居る。


 そういえば時間が経過した世界とさらっと思ったけど、ブラックホールに巻き込まれたとなると相対性理論的に考えるとブラックホールに近付けば近付くほど光速に近付き、時空の歪によって周囲との時間がずれる、すなわち僕らの周囲は時間が進んでいる事になる。


「すみません、一つ大事なことを聞き忘れましたが今は西暦何年でしょうか?」

「西暦というのは(こよみ)の事でしょうか?」

「はい、世界共通の(こよみ)の事です。」


 西暦が通じない?やはり別世界なのか・・・?


「世界共通の暦というのは無いですが、この辺りで使われている暦は安始321年になります。」


 世界共通の暦が無い?というか、どこかで聞いたような未来人の年号だが、、、とりあえず分かったことは、ここは別世界or時間が経ちすぎて文明が一度滅び、新たな文明が発展した従来の世界のどちらかだと考えられる。いやまてよ、一度文明が滅んでまた日本という地名や日本語が存在するのだろうか?


 結局のところ何も分からないに等しかった・・・。

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