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Over the Holizon ‐ 力の意思 ‐  作者: 天沼 観影
第二章
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第十七話(第四十七話) 異常反応

「さて、残る課題は如何にレムリアのある方向と距離を探るか、だが・・・」

「一番シンプルな方法はレーダーで探ることですが、果たして目に見えない物を捉えられるのか・・・ですね。」


「海面に影響を及ぼしてる以上、何らかの反応はあるはずなので試してみるべきです。」


 これまで聞き役に徹してたガラジオ大佐がアスプロの疑念を払うように進言する。


「そう・・・ですね。ちなみに、今までのこの船のレーダーには何か反応はありましたか?」


「レーダーも磁力の影響で使い物にならなかったので停泊時のデータしかありませんが今までの話を聞いていて腑に落ちた事があり、ここ数日レーダー全体にノイズのようなものが入ってました。」


「おぉ・・・!」


 レーダー技師の話に会議室全体がにわかに沸き立つ。


「初めはさほど気に留めるほどの事でもないと思ってましたが、これは明らかにレーダーがレムリアの影響を受けているかと思います。」


「良い報告だ。これまでの話から推察するにレムリアは上空にありそうだが、レーダーを上に向けることは出来るか?」

「改造は必要ですが・・・必要とあらば今日中にも対応させます。」


 モーヴ中将はニヤリと微笑む。


「うむ、期待している。

 これで議題は全部終わりか?」


「あ、あとレムリアが上空にあるのであればどう上陸するのか、が残っています。」


 そうだった・・・レムリア大陸が見つかってもどう上陸するのか、が残ってた。


「おお、そうだった。確かに一番重要なことだ。」


「成層圏より上ってことではなく、かつ少人数であればウィルがドラゴンに変身して送れると思いますが・・・」


「ウィルというのは、君の肉体を共有する精神体だったかな?」

「はい、そうです。」

「少人数と言うと何人くらいだ?」

「サイズ的には・・・せいぜい5人くらいかと思います。」


「5人か・・・少ないな。」

「肉体を共有している関係上、僕も行くことになるので実質4人。そして僕のレムリアを目指す理由の一つとして陽子の精神体としてのこれからについてレムリア人に聞きたいというのがあるので、手前勝手で済みませんが陽子も連れて行きたいです。」


「そうなると3人、か・・・責任者である私と案内人としてガラジオ大佐は必要だからあと一人・・・。」


「ちょっと待った!今挙げられてるのはマクラ共和国関係者ばかりではないか!マクラ共和国の都合の良いように話を進められては困るから他の国の者も行くべきではないか!?」

「そうだそうだ!」


 遂に始まってしまったか・・・各国間のパワーバランスを保つために同乗したお偉いさん方が騒ぎ始めた。


 正直、無余涅槃流が義務教育であるマクラ共和国の人がそんな汚い事するわけが無いのに・・・もう他国でも無余涅槃流を義務教育にして欲しいくらいだ。そうすれば争いなんて無くなりそうなもんだが・・・


「そうは言うが、レムリア人は精神体だから姿も見えない、声も聞こえない者が行っても仕方があるまい?」

「うぐっ・・・」


 レムリアへの上陸も叶わないと分かった各国の重鎮たちは慌てて話し始める。

暫く話し合った結果、精神体が認識出来る人物としてアメリカ人聖職者のクラークという人物が代表としてレムリアへと上陸する事が決まった。


「では、全て決まったかな?

 話をまとめると、レムリアの位置を探るためレーダーを上方に向けて南に向かって航行する。その間は完全な風力での航行とする。また、同時に海面高さの調査を行う。」


 話が一通り終わり、レーダーの改造が終わり次第出航することとなった。


 レムリアの位置次第では話がひっくり返る事もあり得るため、今時点ではこれ以上の詳細な取り決めはせず解散となった・・・


「ふぅ、話がまとまったことはまとまったけど、正直この仮説が本当に合ってるか・・・僕の発言責任でもあるので何だか緊張するよ。」

「つとむはよくやったと思うよ。正直今これ以上の答えは無いと思うもん。」


「それにしてもレムリア大陸って本当にどこにあるんだろう・・・。目に見える程度の上空ならまだしも、遥か彼方の上空だったり、下手すると異次元なんてオチもあるんじゃないかって思ってるからどうしても不安が拭えないよ。」

「大丈夫だよ!お父さんの残してくれたオリハルコンが何とかしてくれるって!」

「はは・・・そうだな。親父は皆に信頼されて凄いな・・・。」


 まだ自分には無い信頼を、こんな未知の世界の人含め得ている父親に対して尊敬の念を抱いた。


 そしてレーダーの改造が無事終わり、船は再び南に向けて出航となった。



ー 航海23日目 ー



 この日は朝から船内が慌ただしかった。


「モーヴ中将、昨日から続いている電波ノイズが収まらず、本土への連絡がいまだ取れません!」

「中将、レーダー反応に異常が出ており、全体に強い反応が出ていてどこに何があるのかが判別出来ません!」

「ガイガーカウンターに異常反応が出ており、船員内で嘔吐感や放射線熱傷を訴える者が出て来ています!」

「気温が異常に下がってきており、凍傷の恐れがあるため厚着をして下さい!」


「一体何が起きているんだ・・・!?」


 次々舞い込む報告にモーヴ中将が困惑していた。

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