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Over the Holizon ‐ 力の意思 ‐  作者: 天沼 観影
第一章
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第二十九話 出発準備

 宿舎へと帰った僕らは事の経緯を軍に報告し、爆弾魔がまだどこかに潜んでいることを伝えた。


「えっ?・・・そんな・・・はい、わかりました・・・。」


 報告の電話を切るなりどっと疲れが出て来た。


「電話どうしたの?なんだか驚いたようだったけど。」

「いや、爆弾魔の件に関して明日表彰される事になったらしい・・・。」

「え、表彰?なんで?」

「爆弾魔の犯人はまだ実際は捕まっていないけど、そのことを公表すると民衆を不安に陥れてしまう事になるから、昨日捕まえた誘拐犯を犯人に仕立てて捕まえた僕らを表彰するんだとさ。まぁ、一応爆発による被害を防いだのは事実だし。」

「えー・・・、そんな嘘ついてまた爆弾魔が仕掛けてきたらどうするつもりなんだろう・・・。」

「犯人からすると狙いは僕らのようだから、僕らがこの国を出てしまえば問題ないと思っていそうな感じを受けたよ。」

「あ、そうかもうすぐレムリア大陸に出発だもんね・・・。」

「正式に3日後の出発が決まったよ、それまで表彰式以外は外出禁止だとさ。」

「狙われている事を考えると仕方ない気はするけど、もう調査が出来ないね・・・。」

「一応本を何冊か貸してもらえないかの交渉はしてみるし、レムリア大陸から帰って来てからでも調査は出来るよ。」


 だけど、帰って来てからもまだ狙われるようだと身の振り方考えておかないといけないかもな・・・。

 そのためにももう一件、気になる事があるから出発前に根回ししておくか・・・。



 翌日、僕らは軍と警視庁から表彰を受けた。

 国の創始者の子供による事件解決という話題性も加わり、僕らは先日の報道とは打って変わって英雄のような扱いを受けた。


 このことにより出発前の懸念点の一つだった陽子の精神体寿命が235日まで延び、目標だった1年までは行かなかったものの十分と考えられるものとなった。


 ちなみに、今回のレムリア大陸遠征は諸大陸での燃料補給が見込めないことから帆船を使うため、片道最低1か月、往復で2か月から最長6か月ほど掛かる見込みとのこと。


「自分たちが狙われてたから自衛行為をしただけなのに表彰って、なんかタナボタというかマッチポンプっぽくもあるけど・・・まぁ、結果オーライだな。」

「うん・・・私たちがこの国に来てなければこんな騒動になってなかったと思うと複雑だよ。」


 出発の前日には今回のレムリア大陸遠征メンバーも教えてもらえた。

船の乗組員約30名に加え、僕ら上陸隊のメンバーが18名。上陸隊のメンバーは全員20段以上の猛者だが、軍部の人間は全員がマクラ共和国軍ということもあり各国間でのパワーバランスについて少し問題になったようだ。


 メンバーの名前の中に知り合いが居ないか確認したところ、ミシェルさんとメイの名前があった。


「ミシェルさんって軍の指導員だよな・・・そんな人も派遣しないといけないなんて、ほんと人材が足りてないんだな。」

「でも知ってる人が居て心強いね!」

「そうだな。それにしても、メイはアトランティスの派遣団かと思ってたけどこっちなんだな。」

「精神体の国だからメイの力が必要って判断されたのかな?」

「いずれにせよメイが居るなら幸運も期待出来るし、僕らとしては非常に心強いね。」


 今回の渡航はムー大陸の南西、フィジー港からの出航となるため港まで電車で移動し、そこから船に乗り込むことになる。


 航海はオーストラリアやパプアニューギニア、インドネシア他、多くの諸島、列島の合間を抜けて行く事になるため敵襲を受ける可能性も非常に高く、危険な航海になる可能性が高いとのこと。


 僕らも戦力になれるようにと、ミシェルさんに連絡を取り航海中に武術の稽古をつけてもらえないか打診をしたところ、向こうもそのつもりだったらしく快く了承してもらえた。


 事前にブラックホールを使って何が出来そうかの確認をしてある程度の出力コントロールを出来るように準備をし、そして出発の朝を迎えた。

ムー大陸編はこれで終了です。

次からレムリア大陸編へと入って行きますが、少し不定期気味になるかも知れません。

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