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Over the Holizon ‐ 力の意思 ‐  作者: 天沼 観影
第一章
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第十八話 可視化

「ウィル殿、あなたは一体何者なのでしょうか・・・?」

『・・・私は(つとむ)の同位体。それ以上でもそれ以下でもありません。』

「そうですか・・・何者であろうと味方であれば頼もしい限りです。」


 ミシェルさんとウィルの間に何とも言えない緊迫感を感じる・・・。

 正直僕もウィルの段位は高いだろうとは思っていたけど、まさか52段とは思わなかったので驚きを隠せないが、この空気はちょっとまずい。


「あ、そうだウィル、段位って僕の目に見えるようにって出来ないか?」

『・・・物質体共有状態であれば可能です。』


 よし、これでウィルが僕の協力者であることを強調出来、更に段位の可視化が出来ることで一石二鳥!


「分かった、では名前を解除する。」


 そう言うとウィルは僕の体に吸い込まれるように消えた。


『・・・どのように表示しましょうか?』

「そうだな、対象の輪郭を囲ってその隣に数値を表示する形でどうかな。」

『・・・不均一な段位はどのようにしますか?』

「えっと、全体の平均と最も高い段位の位置と数値をを表示する形かな。あ、段位って何だか馴染みが無いのと個人的趣味でLv(レベル)で表記してくれ!」

『・・・了解。』


 目前のミシェルさんの体の輪郭に沿って蛍光色の枠が表示され、脇にLv32と表示された。


「おぉ、ス〇ウターみたいでこれはテンション上がるな!これって他の人も見ることって出来るのか?」

『・・・接触状態であれば可能です。』

「あ、その前に自分自身を客観視することって出来るかな?」

『・・・可能です。』


 すると視界の脇に正面から見た自身の幻影が映し出された。


「おぉ、視界に自分が居るというのも変な感じだけどそれより・・・何だこのLv20.124752って。そして最大値はLv52か・・・。」

『・・・平均値が割り切れないので小数表記しましたが、変更は可能です。』

「小数点以下にあまり意味を感じないから、小数点以下は切り捨てで良いかな。何よりレベルの表記で小数は馴染みがなくて気持ち悪い。ちなみに、力や敏捷性、知力みたいなステータスって出すことって出来るのか?」

『・・・力は全身筋力の平均値もしくは上腕二頭筋、胸筋等に分けて表記する形になり、敏捷性は脚の筋力平均と全身質量から数値を無次元化して算出するのが妥当かと思います。

 また、知力はその者の持つ知識量や、シナプス間の経路密度等で出す事も可能ですが、そもそも知力という概念が人や状況に応じて変わる為あまり意味が無く、むしろその者を誤って判断してしまう恐れがあるためお勧め出来ません。』

「あぁ・・・うん、筋力だけなら見た目でも大体分かるからあまり数値化する意味は無さそうかな。」


 なんか、少年の夢の一つを打ち砕かれた気分だ・・・。


「じゃぁ、ミシェルさんに触れるからよろしくな。」

『・・・分かりました。』

※ここまでは力の中での会話です。


「ミシェルさん、ちょっと良いですか?」

「何でしょう?」


 僕はミシェルさんにそっと触れた。


「これは・・・段位を数値として見えるようにしてるのですか?」

「そうです、段位以外にも色々表示出来るようです。」

「52段の者とは本当に凄いものですね。」

「ちなみに、名前を変更する事で色々な形態に変化も出来ます。」

「え、名前はウィル殿ではないのですか?」

「ウィルは1番スタンダードな形態ですが、色々な形態になれます。例えば、空中戦にも対応したい時には・・・ミカエル!」


 そう呼ぶと僕の中から翼の生えた青年が出てきた。


「おぉ、先程とは完全に別人ですね。」

「位の高い大天使の名前なので、かなりの戦闘力が期待できます。更に空を飛んで僕自身が空中戦に参加する時や移動に活用したい時は人型だと不便なので、その時は・・・バハムート!」


 今度は10mを超える翼を持つ巨大なドラゴンに変形した。


「まぁ、バハムートは元々旧約聖書にあるベヒーモスがイスラム教の中で世界を支える巨大魚として改変されたのがルーツなんだけど、僕ら世代では巨大なドラゴンのイメージが強いので。」

「つとむってこういうの異様によく知ってるよね。」

「う、うるさいな・・・!」

「いや、これは凄いですね・・・」


 ミシェルさんが圧倒されてるが、他に見える人がいると騒ぎになりそうなので引っ込めるか。


「よし、ウィル戻ってくれ。」


 そう言うと元の少年の姿に戻った。

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