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第五百六十二話:新たな能力の使い道

 ファーラーの対策と言っても、真正面から行って殴るくらいしか思いつかない。

 と言うのも、場所が神界と言うのが一番のネックだ。

 神界は、神様か、神様に認められた者しか入れない。一応、これに関しては、神様であるクーリャが許可を出せば、クリアできるだろう。

 しかし、それでも神界は神様にとってのホームグラウンドだ。

 地上で依り代と戦う分には、ステータスもはっきりしているし、戦いようがある。しかし、神様本体との戦いとなると、どう転ぶかわからない。

 『スターダストファンタジー』では、そもそも神様のデータはなかった。

 こんな能力があるだとか、こんなものを司っているとか、そういう設定はあるけど、能力値とかが明確に決められているわけではない。

 データさえあれば、どれだけぶっ飛んだ能力値をしていようが、抜け道はあるかもしれないが、データが存在しなければ、そもそも倒しようがない。

 一応、希望はある。

 この世界は、確かに『スターダストファンタジー』を模した世界ではあるが、そのシステムはかなり現実寄りだ。

 HPがゼロにならなくても痛みで行動不能になる可能性もあるし、防御の仕方によって防御力に若干のばらつきもある。

 であるなら、存在している以上は、神様にもステータスが存在するのではないかと考えられないこともない。

 オールドさんだって、昔神様を殺しているわけだし、殺せないことはないだろう。

 しかし、大前提としてこれがあったとしても、神界での戦いは非常に困難を極めるだろう。

 もしかしたら、どんな不意打ちも効かないかもしれないし、魔力は無尽蔵かもしれないし、下手したらファーラーが拒絶することによってクーリャの許可が外れ、神界に滞在できなくなる可能性もある。

 相手のホームグラウンドで戦う以上、小細工は通用しないと思うし、どう考えても不利になる。

 これを覆すためには、圧倒的な火力で叩き潰すくらいしかないだろう。短期決戦を仕掛け、相手が変なことをする前に倒しきる。

 まあ、本当にそれができるのかはわからないけど。


「確か、新しい能力に目覚めたんだろ? それを使って何とかできないか?」


「『スキル作成』のこと? うーん、どうだろう」


 確かに、『スキル作成』を用いれば、都合のいいスキルを作ることは可能だ。

 変にコスト調整をしようとすると他人に付与できなくなるというデメリットはあるが、自分には付与できるし、最悪俺が覚えてギミック対応すれば何とかなるかもしれない。

 ただ、あれもそこまで万能ってわけではない気がするんだよね。

 強いスキルを作ろうとすると、コストがめちゃくちゃ重くなるし、【無限の魔力】を覚えていないみんなにはちょっとおすすめしにくい。

 かといって効果が控えめなスキルを作っても、そこまで変わらないと思うし、あくまで補助的な使い方しかできないと思う。

 まあ、いざと言う時の必殺技みたいなものを覚えさせる分にはいいかもしれないけどね。


「なら、もう一つの方はどうなんですか?」


「『NPC作成』なの? まだやったことないけど……」


 『NPC作成』は、そのシナリオに必要なNPCを作成する能力である。

 多分、挙動的には【ホムンクルスクリエイト】と似た感じになるような気がしないでもないけど、まだ試したことはなかった。

 正直、新しい命を作るという点から、あんまり気乗りはしないんだけど……せっかく授かった能力なんだから、使わないと損ではあるか。

 試しに『NPC作成』を選択してみる。すると、何も記入されていないキャラシのようなものが現れた。


「ふむ、これで設定していけってことなの」


 名前やレベル、クラスなど、基本的に冒険者を作る時とそこまで差はないように思える。

 ただ、一部違う箇所があって、それが端の方に表示されている『所持コスト』と言う点だろう。

 いったい何に使うものなのかはよくわからないけど、ひとまず何かキャラを作ってみることにする。


「今欲しいキャラがいるとしたら、なんなの?」


「うーん、参謀とか?」


「戦力の増強、とも思いましたが、戦力自体は足りていると言えば足りていますよね」


「足りてるって言えるの? 勝てるかわからないんでしょ?」


「それはそうですが、純粋な火力があってもどうにもならないのではないですか?」


「そっかぁ」


 ファーラーを倒すため、と言うなら、確かに戦力は必要ではある。

 ただ、クーリャが許可を出してくれるなら、他のプレイヤー達も含めて全員連れていくことは可能だろう。

 レベルに関しても、上げようと思えばもっと経験値稼ぎすれば上げれるし、他に代えの利かない役職と言うのもそこまでない。

 それよりは、作戦を立ててくれる参謀的な人がいれば、何かいい知恵を貸してくれるかもしれないし、そっちの方が無難ではあるかな。


「じゃあ、クラスは……参謀タイプのクラスって何なの?」


 一応、【セージ】とかは知識系のクラスではあるけど、そういうのでいいだろうか。

 【コマンダー】とかもあるけど、今欲しいのは知恵だし、【セージ】でいいだろう。


「で、スキルは……おっと?」


 クラスも決まったので、スキルを当てはめて行こうかと思ったんだけど、そこで変化があった。

 今から作成するのはNPCだから、当然NPCスキルも覚えられる。

 もしかしたら、今後コストの重いスキルも覚えさせるかもしれないし、とりあえず【無限の魔力】でも覚えさせようかと思って選択したわけだけど、そしたら『所持コスト』の数字が減ったのだ。

 新たにスキルを選択するとさらに減り、逆にスキルを外すと回復する。

 なるほど? つまり、この『所持コスト』というのは、覚えられるスキルの上限ってことか。


「【無限の魔力】って、こんなにコスト高いの……?」


 『所持コスト』自体は合計で100あるが、【無限の魔力】を覚えさせただけで、30も減った。

 他のスキルのコストにもよるけど、これだと碌に覚えられないんじゃないだろうか。

 流石に、何でもかんでも全部乗せ、みたいなことはできないようである。

 いやまあ、できてもやらないけどさ。


「クラスを【セージ】にしたせいで、前提スキルも強制で覚えなくちゃならないみたいだし、下手に上級クラスにするのはまずいかもしれないの」


 幸い、前提クラスのコスト自体はそこまで重いわけではない。

 これを考えると、【無限の魔力】が特別重いだけで、通常のクラススキルはそこまでコストが重いわけではないようだ。

 NPCスキルが全体的にコストが高いのかもしれない。まあ、大半は強いスキルばっかりだし、当然と言えば当然だけど。


「まあ、今回はお試しだし、スキルはクラススキルを重点的に行くの。レベルは……とりあえず20で」


 別に、もっとレベルの高いキャラでもいいけど、どうにも与えられるレベルには上限が存在しているようである。

 まあ、本来はシナリオの関わらせるためのNPCなわけだし、戦闘キャラでもなければレベルはそんなに必要ないとは思うけどね。

 20だって、普通のシナリオから見たら十分に高レベルだし。


「後は見た目……これって、直接描けってことなの?」


 キャラシの立ち絵の部分には、鉛筆のようなマークが出ている。

 多分、そういうことなんだと思うけど、直で見た目作れって相当難しくない? 消しゴムとかないの?

 これでへたくそな絵描いたらめちゃくちゃ不細工なキャラが誕生するとかあるんだろうか。だとしたら、そのキャラに凄く申し訳がないんだけど。


「……まあ、やるだけやるの」


 本当ならサクラに任せたいところだけど、この画面は俺にしか見えていないようだし、それは難しい。

 そんなに絵には自信ないんだけど……もし変な顔になったら許してほしい。

 そんなことを思いながら、指を動かした。

 感想ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] クーリャが無限の魔力を持ってたって事は神はNPCとみなせたりしないのかな? そしたらNPC作成で新しい神を創り出すこともできそうだと思うんだけど。
[一言] もうそれって神の所業では? ありがち創世神話のラストにある「そして神は人間を作った」みたいなやつ 無自覚に神性や神格を有してる可能性あるなぁ 権能は「神にも賽子を振らせる」とか「賽子の出目…
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