第四百三十六話:追加スキル
再びやってきた霊峰。
ポータルを設置したのは船の中なので、出た瞬間に吹雪に晒されるということはないが、外は相変わらず吹雪いていた。
この辺りは吹雪で固定なのかもしれない。下から見ても、山頂辺りは常に白く覆われていたしね。
さて、そうなってくると、普通に探すのは難しくなってくる。
スターコアが入っている隕石は巨大だろうが、雪に埋もれてしまえばただの岩と何ら変わらなく見えることだろう。
ただ、これは予測できたことだ。だから、そのために対策もしてきたのである。
「みんな、【トレジャーセンサー】は使えそうなの?」
「多分な」
【トレジャーセンサー】とは、近くに所有者不明のレア度が高いアイテムがある時、感覚的にその方向がわかるというスキルである。
【トレジャーハンター】というクラスのスキルであり、本来の効果としては、ドロップや宝箱などで手に入るアイテムの数を増やすというものだけど、説明的には普通なら見逃してしまうようなお宝も見つけることができるって感じじゃないだろうか。
本来なら、クラスチェンジして【トレジャーハンター】にならなければ取ることはできないが、今回は【スキルスロット】によって防具にその効果を付与している。
【スキルスロット】はその防具を着ている間、スキルを追加で取得することができるというスキルだが、そのスキルは本当に何でも構わない。
他のクラスのスキルだろうが、種族スキルだろうが、何でも取得することができる。
いや、何でもというと語弊があるか。実際には、一部のスキルは取得できない縛りがあるし、NPCスキルは取得できないからな。
まあそれでも、クラスチェンジしないまま、他のクラスのスキルを取ることができるんだから破格もいいところである。
これを使えば、様々なことができるだろう。例えば、【ラッキースター】のスキルを利用して、この防具を着ている間、手に入る経験値を増やすとかね。
後は、この世界の住人は基本的にNPCスキルしか取得することができないけど、これを利用すれば、防具を着ている時限定とはいえ、スキルを獲得させることもできるかもしれない。
【スキルスロット】の上限いっぱいまでしかつけられないけど、それでもつけられるのとつけられないのとでは全然違うし。
後で試してみてもいいかもしれないね。
「この船が反応しているのか、物凄く近くにあるって感覚がありますが」
「ああ、この船も対象に入るの?」
いやまあ、確かにこの船の所有者は今はもういない。一応、船の中でも一番地位が高かったフェラトゥスが所有者といえなくもないけど、あくまで所有者は指揮官、あるいは本部の人間であって、フェラトゥスではないという認識なのかもしれない。
この船には砲塔もあるし、機関銃もある。弾をどうにかしなくてはいけないとはいえ、もしそれらを使えれば強力な戦力になることは間違いないだろう。
少なくとも、この船がそこらの船と戦えば、無双することができるはずである。
問題は、この船を動かす手段が今のところないということだけど。
いや、ないわけじゃないけど、そこまでしてやる価値があるかという話だよね。
雪のおかげで劣化は少ないとはいえ、全く劣化してないというわけではないし、ちゃんと使えるかもわからない。
フェラトゥスだって修理できるわけじゃないと思うし、壊れてしまったらそれで終わりな気がする。
いや、【リペア】を使えば行けるんだろうか? 材料に関しては、鉄ならあるし、それ使って直すことはできるかもしれない。
うーん、今のところスペースもないしこのまま放置するしかないけど、いつか利用する日が来るかもしれないし、覚えておくか。
「なら、とりあえず山頂を目指しながら、反応を探るの。多少離れれば、感じ方も変わるはずなの」
「わかりました。この防具のおかげで寒くもありませんし、今回はちゃんと山頂を目指せそうです」
防具はきちんと効果を発揮しているようで何よりである。
念のため、ちゃんと着れているかどうかもう一度確認した後、山頂に向かって歩き出した。
山頂の姿は見えない。吹雪に覆われていて、【イーグルアイ】を使ったとしても見通すことはできなかった。
ここまでくると、山頂には何があるのかと気になってくる。
これが普通のダンジョンのような場所ならば、ボスが待っていたり、あるいは宝が置いてあるのが普通だけど、どうなんだろうか。
ボスに関してはすでにフェラトゥスがいる。これ以上、何かボスを配置するかと言われたら、その可能性は低い。
もちろん、置かれている宝によっては複数のボスを配置する可能性もあるけど、この霊峰にそんな宝があるだろうか。
確かに、今のところこの霊峰特有の宝というのはなかったけれど。
「ねぇ、フェラトゥスは、この霊峰に宝があるとか聞いたことあるの?」
「いや、知らぬ。我がこの山について知っていることは、あの洞窟の中のことだけだ」
「そっか」
まあ、そりゃそうか。出られなかったって話だもんね。
一応、霊峰スタルの説明的には宝について言及はされていなかったと思う。せいぜい、アンデッドが多く住む、この大陸最高峰の山というくらいだ。
そう考えると、何もないと考えた方がいいのかな。ちょっと夢見たい気もするけど、別に宝が欲しいわけでもないし。
「ま、あんまり気にしないで行くの」
もし仮に、宝があるのだとしても、それは余裕がある時に探せばいいだろう。
今欲しいのはスターコアであって、宝ではないのだから。
別にお金に困ってるわけでもないし、どうしても欲しいレアお宝があるわけでもないし。
「あ、ちょっと感じ始めたかも」
そんなことを考えながら山頂を目指して進むことしばし、サクラがそんな声を上げた。
確かに、言われてみればそんな感覚がする気がする。
方角的には、山頂の方向のようだ。やはり、あるとしたら山頂なのか?
この山特有の宝ならともかく、隕石が山頂にあるっておかしいと思うけど。
「まあ、何も見つからないよりはましだな」
「ですね。もしかしたら、隕石とお宝、どっちもあるかもしれませんよ?」
「流石にそれはないの」
流石にそんな都合がいいことは起こらないだろう。【ラッキースター】じゃあるまいし。
いやでも、リアル幸運なサクラがいるし、ワンチャンあるかも? いや、ないか。
以前引き返した地点まで来ても歩みは衰えない。流石に、一日で山頂まで行くのは無理そうだが、この調子なら、明日には着けるだろう。
この辺りまでくると、スケルトンの姿も見えないし、仮に野営しなくてはならないとしても何とかはなりそうだ。まあ、ポータル使えるし、やらないけども。
「お宝か、スターコアか、この反応はどっちなの?」
【トレジャーセンサー】はある程度レア度が高くないと反応しないから、お宝だったとしても結構いいものだとは思う。
でもまあ、ここは目的通り、スターコアが見つかってくれると嬉しいな。
そんなことを考えながら、歩みを進めていった。
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