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第三百五十九話:強さの総評

 カインとの戦いだけど、一応勝つことはできた。

 以前よりは強くなっているとは思うけど、基本的には前回の流れとほぼ同じだった。

 でも、これは仕方のないことだろう。

 俺達が戦えているのは、スキルを覚えているからだ。このスキルを使えばこういう動きができるというのがわかっているからこそ、自在に体を動かすことができる。

 つまり、スキルを覚えていなければ、そもそも動けないってことだ。

 もちろん、スキルを使わない攻撃なら、ある程度変化を持たせることもできるだろうが、俺達の場合、スキルを乗せない攻撃なんてもはや通用しない領域にまで達している。

 そして、お互いにメインスキルは決まっており、その動きもお互いに把握している。

 なので、相手がこの動きをしたらこう動けば避けられる可能性が高いっていうのがなんとなくわかってしまうのだ。

 ルール上では、そんなの関係なしに回避判定を行うんだろうが、ある程度の予想が出てしまうから、恐らく回避にプラス補正が働いているんだろう。

 結果として、通常よりも回避力が高い状態で戦うことになっている。そして、カインは回避はほとんどしないから、俺の方が若干有利に働く。

 そこまでくれば、後はクリティカルやファンブルが起きるかどうかの問題である。俺が勝てたのは、カインがクリティカルする前に決めきることができたということだ。


「強くなっているはずではあるけど、これは本当に強くなってると言えるの?」


 まあ、魔物とか相手だったら確実に強くはなっているだろう。相手はこちらの行動を読んで回避行動なんて取らないだろうし。

 でも、知識のあるプレイヤーが相手だと、そこまで強くなっていると感じられない。

 レベルがかけ離れているならともかく、同程度のレベルで、同じようなクラスだったなら、恐らく勝負はつかないんじゃないだろうか。

 スキルを使った攻撃で変化させられるのは、せいぜい攻撃する方向とかタイミングを少しずらしたりする程度。

 それでも何もしないよりはましだろうけど、それだけの変化で強くなったと言ってもいいのだろうか。

 スキルはMPありきのものである。例えば、長期戦になってMPが尽き、さらに回復手段となるアイテムもなくなってしまったとなったらどうだろう。MPがなければスキルが使えない以上、通常攻撃を仕掛けるしかない。

 その時に、スキルに頼ってきたせいで、素人のような攻撃をしてしまうとなったら、絶望的ではないだろうか。

 もっと根本的に、体を鍛える必要もあるかもしれない。少なくとも、スキルに頼らなくても、自在に得物を操れるようになっていた方がいい気はする。

 身体能力とかは、能力値が上がれば同時に上がってしまうからあんまり意味ない気もするけど、武器の取り扱いと言う意味で訓練する時間は設けてもいいかもしれないね。


「まあ、それに関しては後でみんなにも相談するの。今は今後の方針を固めるの」


 闘技大会の結果を見る限り、今の時点で一番強いのは、俺を除けばカインだろう。

 攻撃も守りも一手に担える万能タンク。とりあえず、カインが一緒にいれば大抵の人はのびのびと戦うことができるだろう。

 カインより下は結構魔境だと思う。

 火力だけ見るなら、サクラが一番だろうか。命中重視でありながら、俺すらもしのぐ攻撃力を持つ魔法アタッカー。

 多分、サクラを固定砲台にして周りが全力で支援すれば、大抵の敵はどうにかできる気がする。

 継戦能力を見るなら、センカさんやシュライグ君も候補に挙がるだろうか。

 センカさんの強いところは、グリフォンを用いた高速移動と回避能力だ。

 本来、【ビーストテイマー】は魔物に任せて自分は支援をする地味なクラスである。魔物が強い分、自分はかなり無防備で、回避力を上げたり、防御力を高くしたりしないと、すぐに戦闘不能になってしまう。

 けれど、グリフォンに騎乗すればそれらのデメリットはほぼなくなり、さらに言うなら近中距離武器である鞭を生かしやすくなる。

 回避はグリフォンに任せ、自分は攻撃に専念する。そんな【ビーストテイマー】とは真逆のスタイルだからこそ、読みにくくて強いんだろう。

 回避盾として見れば、カインと同じくらい強いと思う。

 シュライグ君は王道なアタッカーだ。同じ部類の剣を扱うものでも、カインと違って攻撃特化。そこに【剣聖】という称号まで加わるのだからその火力の高さはかなりのものだ。

 今回はちょっとセーブさせたけど、セーブしてあれなら、魔物相手には十分な戦力となってくれることだろう。

 それを止めたイグルンさんも強いと言えば強い。

 【フィールドバトラー】は何でもできるオールマイティなクラスではあるけど、イグルンさんはその中でも回復特化なのだろう。【プロテクション】と合わせて、どんな攻撃を受けても耐え抜くその粘り強さはまさに要塞だ。

 うまく利用すれば、【アコライト】の負担を著しく軽減させることもできるかもしれない。特定の状況下でのみ強くなるクラスもあるし、組み合わせは無限大だ。

 そこから一段下がると、エンズさんやシュエが入るだろう。

 別にランク付けしたいわけじゃないけど、暫定の強さとしてはこのあたりだと思う。

 エンズさんは呪いに特化したデバッファーだ。相手が呪い状態の時に色々な追加効果を発揮するスキルを多数取得している。

 代わりに攻撃スキルはあまり持っていないようだが、デバッファーは割と貴重なのでいてくれるだけでもありがたい。

 シュエはその種族上めちゃくちゃ強くはあるが、逆に言えばそれくらいしか長所がない。

 今まで海にずっといてリヴァイアサンとしての能力に慣れてしまっているからかもしれないが、本来のクラスである【マリオネッター】を全く生かせていない。

 もちろん、割合ダメージである【大津波】は普通に強いし、それに特化していくのも悪くはないと思うが、できることは増やしておいた方がいいと思う。

 特化は確か強いが、それが通じなかった時に何もできなくなるのが一番の欠点だ。

 だからと言って他のスキルを適当にポンポン取っていくのはよくないことだけど、ある程度のサブプランは用意しておいた方がいいと思う。

 これはエンズさんにも言えるかもしれない。実際、呪いが効かなければ何もできないと言っていたしね。

 そして、これからの育成次第と考えているのがアスターさん、グレイスさん、そしてクズハさんだ。

 アスターさんはしょうがないと言えばしょうがないけど、クラススキルを覚えられないというのが痛い。

 【ガンスリンガー】として特殊な弾を扱えるだけましだけど、弾の追加効果だけでは流石に物足りない。

 まあ、NPCスキルは覚えられるから、そこをうまく利用するしかないだろう。

 そこらにいる魔物が相手だったら特殊な弾だけでも十分だし、弾の供給さえなんとかできれば何とかなるはずである。

 グレイスさんは、まだこれからと言ったところだろう。

 敵のレベルを奪えるというのは他にない特性だし、レベル依存のNPCスキルもないことはない。

 それらを覚えられれば、無駄に高くなってしまったレベルも生かすことができるだろう。

 ただ、レベルが高くなりすぎているせいで、能力値を底上げできないのがかなり痛い。

 レベルが低いなら、俺が一から育ててプレイヤー並みに能力値を上げることができたのに。

 まあ、これは言っても仕方ないことだし、諦めるしかないだろう。

 そして、クズハさんに関しては現状戦力外と言わざるを得ない。

 やはり、【カンナギ】で【コールゴッド】が使えないのは相当な痛手だ。

 これに関しては仕方ない部分もあるけど、せっかくアタッカーを欲して探しに行ったのに戦えないでは困る。

 おすすめとか言ってたくせに、これはどういうことなのか、アルメダ様に問い詰めたいところだ。

 何とか苦手を克服して、使えるようになってほしいところ。

 戦闘力と言う面ではシリウスもこの辺りに入りそうだが、シリウスの役目は支援だし、位置的にはイグルンさんと同じくらいだと思う。

 こんなところだろうか?

 後は適切に育成を施して行ければいいのだけど、どう育てたものか。

 できる限り強くしたくはあるけど、本人の希望もあるし、相談して決めていきたいところである。

 やることは多いなと思いながら、闘技大会の閉会式を見送った。

 感想ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 問題点も見えてきて育成方針も決まったかな
[一言] 育成していけば暫定ランクも変わっていくので 誰がどのくらい強くなっていくのか楽しみです
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