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第百話:リビルド

 本編でも100話を達成しました。ありがとうございます。

 『はい』を押した瞬間、シリウスのキャラシに書かれたスキルや能力値がすべてリセットされた。

 もちろん、状態異常欄にあった誓約の文字も消えている。残っているのは、備考欄にあるシリウスの設定くらいだろうか。

 『リビルド』はゲームマスターが許可さえ出せば、その時に振り分けられるポイントの分だけ自由に練り直せるが、『スターダストファンタジー』はキャンペーンシナリオ、つまり、シナリオの後もその設定を引き継いで続いていくため、あんまり大きな変更を加えると今後のシナリオに悪影響を及ぼす可能性がある。

 例えば、【アコライト】で後衛だったのに、『リビルド』後は近接特化の【ナイト】だったとかになったらおかしいだろう。

 だから、暗黙の了解として、それまでのシナリオに不都合を起こさず、且つ次以降のシナリオにも影響をあまり出さないように変更は軽微に済ませた方がいい。

 まあ、シリウスのキャラはこれが初シナリオだし、そもそも今はシナリオとか関係ない現実の世界なのだから、いくらいじっても問題ないとは思うけどね。


「ど、どうなってんだ?」


「今からスキルとか能力値を振りなおすの。何か要望があったら言うの」


 『リビルド』中だからか、シリウスの体は白い光に覆われていて見ることができない。

 これ、身長とかもいじれるのかな。残っている設定はいじれないみたいだけど、もしかしたら追加で何か書いたら反映されるかもしれない。

 まあ、流石にシリウスの同意なしにそんなことはやらないけど。


「なら、戦う手段が欲しい。今まで旅しててわかったが、戦えないっていうのはかなりきつかったから」


「それは私も思っていたの。それじゃあ、【アコライト】のスキルをいくつか攻撃系に変更するの」


 【アコライト】は後衛の回復役ではあるが、一応戦うスキルが全くないというわけではない。

 と言っても、【ホーリーライトニング】という聖なる光で攻撃するというスキル以外は、杖などでの殴りを強化するというスキルしかないが。


「シリウスは、将来どんなビルドを目指しているの?」


「基本的にはみんなを支援していく形だな。回復したり、バフを撒いたりに特化する感じ」


「でも、戦う力が欲しいと」


「まあ、さっきのはただ遊ぶ時の考えだからな。一人で何もできないとわかった以上は、ある程度の戦う力は欲しい」


「うーん、そうなってくると、【プリースト】か【クルセイダー】で悩むの」


 完全支援型なら【プリースト】になって、その後にセカンドクラスで攻撃系を取るべきだろう。

 ただ、セカンドクラスが取れるのはレベル20以上だから、現在レベル5のシリウスではかなり先が長い話になる。

 まあ、この世界の魔物の経験値を考えると、レベル20くらいだったらすぐに到達できる気がしないでもないけど、それまで戦う手段がないというのはちょっと不安だろう。

 では【クルセイダー】を目指すべきかと言われると、そうなってくると支援型とは呼べなくなる。

 【クルセイダー】になるためには攻撃系のスキルをいくつか取る必要があるから支援系のスキルを取りにくい。だから、【クルセイダー】になってから支援系のスキルを取ろうとすると、セカンドクラスでまた【アコライト】になって、そこから【プリースト】になってというのをしなくてはならないのでちょっと非効率的だ。

 一応【アコライト】のままでも【ホーリーライトニング】一本で戦っていくというならどちらでも行けなくはなさそうだけど、あまりに火力がなさすぎるよなぁ。絶対後々いらないってなる気がする。

 一応、俺がパワーレベリングしてレベルを上げてやれば解決できるだろうけど、それで強くなっても扱いきれるかどうか。


「なら、【クルセイダー】の方がいいかな」


「支援型なら【プリースト】だけど、そっちでいいの?」


「ああ。色々やってみてわかったが、レベル5程度の【ヒールライト】でも瞬時に傷を治せるぶっ壊れって言われるんだから、そこまで特化する必要もないかなって。魔物と戦うのも大変だったし、やっぱり一人でも戦える力が欲しい」


 パワーレベリングするならどちらでも同じことだけど、やっぱりシリウスとしては自分自身で戦う力が欲しいようだ。

 なら、【クルセイダー】でいいだろう。最低限【ヒールライト】と【キュア】、後はバフである【ホーリーブレッシング】あたりがあればそれなりの支援はできるし。


「なら、そっち方面で調整してみるの」


 さて、そうなると能力値はMPに関係する精神力と武器を扱うための筋力と器用に振ったほうがいいかな。

 スキルは【アコライト】から変わらないなら初期スキルと合わせて14個取れる。【ヒールライト】などの支援スキルと、【クルセイダー】の前提スキルを取って……あれ、これならもう【クルセイダー】になれるな?

 枠を食っていたのが【キュア】系のスキルだ。

 ポイズン、パラライズ、スリープと色々あるが、シリウスはほぼすべての【キュア】系スキルを取っていたらしい。

 そりゃ枠を圧迫するわな。

 まあ、今回は最初のシナリオだから最初は上級職はなしと言ったのもあるかもしれないけど、流石に詰め込みすぎだろう。

 なので、その枠を少し削って攻撃系のスキルを取ってやったら、あっさり【クルセイダー】になることができた。

 まあ、本当になれただけだからスキルはまだ取れていないけど、【クルセイダー】のクラス補正は強力だし、なるだけでも意味はあるはずだ。


「これでスキルとかは大丈夫なの。問題は……」


 俺は備考欄を見る。

 そこにはシリウスの設定が書き込まれているのだが、そこにはシリウスが書いたものとは別にいくつかの記述があった。

 例えば、ヘスティア王国で多くの人々を治療し、英雄扱いされている、とか、拷問によって足を失っている、とかだ。

 これらの設定は変更しようと思ってもできなかった。つまり、これらの事象はこの世界を旅したことによって決定づけられた設定ということなのだろう。

 状態異常欄にあった誓約状態は消えたが、足を失ったことまではなかったことにはできないらしい。

 できればこれで治ってくれたら一番楽だったんだけど……そううまくはいかないようだ。

 ひとまず、他の設定もいじれないようなので、設定はそのままにして、『リビルド』を終える。

 『完了』を押した瞬間、シリウスを包んでいた光は消え、そこには少し綺麗になったシリウスの姿があった。


「お、終わったのか?」


「終わったの。調子はどうなの?」


「んー、ちょっと体が動かしやすくなったか? 体が軽い気がする」


 シリウスはベッドの上で腕を回したりしている。

 多分、筋力や器用に振ったことで多少なりとも体に影響が出ているのだろう。

 最初のシリウスは、ほとんど精神力にしか振っていなかったから、ホビットの種族補正もあって筋力があまりなかった。

 まあ、それでも普通の冒険者よりは力は弱いと思うけどね。付け焼刃の筋力じゃ流石に勝てはしない。レベルが上がっていけば別だけど。

 足が治らなかったのは残念だけど、きちんと誓約は解除できたし、最低限の条件はクリアした。

 後は、シリウスをこんな目に遭わせた国に仕返しするだけだな。

 俺は元気そうなシリウスを見ながら、復讐の算段を考えていた。

 感想ありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
[一言] 効果がはっきりしているぶん できることは絶対にできるけど、できないことは絶対にできない という ゲームのスキルも一長一短ってことやね
[一言] 設定が見れるなら他の二人の設定を見て現状把握出来そうだけど、そこまで万能ではないのかな? そういえば、義肢方向で考えてるけど、ホムンクルスまるまる一体作ってそこに魂を移すのでは厳しいのかな…
[良い点]  さすがはシナリオを創造するゲームマスター!ある意味〈神〉!!\(^▽^)/紙切れ1枚の誓約などゲームマスターアリスの前にはちり紙以下のぼろ切れよ♪讃えよアリス☆ [気になる点]  能力や…
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