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俺、最強無敵の異世界転生ヴァンパイア! のはずが、ショタエルフになって、ロリっ子お姉様達の尻に敷かれる奴隷ライフ始めましたッ!  作者: MITT


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第二話「ジョージ先生、かく語りし」③

 いずれにせよ、地上侵攻計画では、奈落から地上世界へ眷属を送り込む事になる。


 当然ながら、その方法が重要なのだが。

 

 今のところ、こんな顕微鏡サイズの従魔や攻撃力皆無のコウモリ程度しか送り込めていない……ダニーを数体送るだけで、俺の膨大な魔力がすっからかんになる始末……。


 奈落と地上を隔てる壁は思いの外厚い……これはもう少し研究が必要だった。


 しかしながら、こんな風に地上の様子を奈落に伝える……その程度のことは出来る。


 フォルティナ様も地上の事は興味あるようで、今日も地上観察を続け……なにか興味を引いたらしく、悲しげな様子でその映像に見入っていられるようだった。


 地上の悲劇……日々何処かで起きている些細な出来事のひとつなのだろうが。

 そんな些細な出来事にも、フォルティナ様は心痛め、時に涙するのだ……。


 誠に尊き至高の神……まさに、まさにっ! 本物の神とはかくあらんっ!

 

「今、我らに出来ることはそう多くはありません……慚愧に耐えませんが、さしたる手出しも出来ないのが実情です」


 叫びたくなるのをぐっと堪えて、あえて無感情に告げると、悲しそうにため息を吐かれてしまう。

 

 己の無力さが身に染みる……いくら、自分を鍛え込んで強くなっても、所詮はこんなものだった。 

 主の悲しみを払うすべもないとは……情けない限りだった。


 ちなみに、フォルティナ様自身は、極めてコンパクトなボディをされている。

 身長は1m弱しかない……幼稚園児か小学校低学年と言ったまさに幼女。


 だが、この御方は全知全能の神を超えた神なのだ。

 地上では、すべての母たる暗黒神……そんな風にも言われているのだけど。


 その認識は間違っていない。

 

 ウェーブがかった長い漆黒の黒髪といつも眠そうな三白眼が特徴の超絶美少女。

 コンパクトなのは、光明神に騙し討ちにあい、その神体を一度完全に失われ、未だ再生の途上にあるからなのだ。


 俺としては、成人女性のナイスバディをリクエストしたかったのだけど。

 御神体を維持する魔力効率などを考慮すると、このくらいのサイズがベストなんだとか……。


 俺、ロリコンじゃないので、ちょっと残念。


 俺は巨乳派なのだ……大きいは正義ッ!

 でかい尻ってのも悪くない……理想はまさにボッキュンボッ……曲線美こそ至高だな!


 おっと、取り乱してしまったかな。

 一応、硬派ではあるんだが……やっぱ、女は30からだよな。

 熟女好みとか、言われそうだけど、年いくとそうなるんだって!


 それはともかくだなっ!

 フォルティナ様は、まごうかたなき神……俺が心の底から敬愛し、崇め奉る女神なのである。

 

 邪なる思いなぞ、断じて否!

 

 だから、良いのだこれで……下手にナイスバディだったら、この俺自身を断罪せねばならなくなる……!

 

 それに、俺は小さくて弱いものはどうも守りたくなってしまうタチなのだ。

 性的嗜好とそれは全くの別物……ロリコンペド野郎とかは、そこら辺からして違うのだ!


 そんな彼女が心痛めるとは……おのれ、許すまじ。

 担うことならば、この俺が肩代わりしたいっ! もしくは、その原因を葬ってくれようぞ!


「……主よ。望みがあるのであれば、私に担う限りの事をするつもりです。ご命令をどうぞ!」


「ふむ……。望みか……ジョージには色々助けられてきたからな。あまり無理は言いたくはないが、地上の我が眷属に救いの手を差し伸べたい……出来るか?」


「……救いの手……ですか……。私、あまり状況を理解していないのですが、これはいったい何事でしょう? 我が知恵をお貸ししたいので、状況のご説明を願います」


 内心は結構エキサイトしてるんだが、微塵にもそれを出さず、冷静に告げる。


 モニターに映るその光景は……如何にも嫌なことが起きそうな様子だった。

 小柄のトンガリ耳と浅黒い肌の猫耳少女が、十字架に磔にされ、その下には藁束だの薪だのが大量に置かれている。

 

 屋内のように見えるのだけど、覆面姿の黒服が油のようなものを撒いていた。


 これはあれだな……中世暗黒時代の魔女狩りとか、そんな感じの光景に似ている。


「我への生贄のつもりらしい……。しかも、磔刑などと……生贄の苦痛を長引かせるほど、我に声が届きやすくなり、召喚の成功率が高まると思っているようだ」


 予想通りの答えが返ってきて、思わず目を覆う。


「フォルティナ様の地上召喚など……出来るはずがありません。これはもう断言してもいいですな」


 フォルティナ様は、奈落そのものと言っていい。

 

 いわば、一つの世界と同義の存在なのだ。


 そんなモノを召喚するなど、出来る訳がない。

 もし、成功したとしてもそれは、地上世界が確実に消し飛ぶ。

 

 こいつら全く解ってない……極めつけのバカ共だ。


「であるな。つまり、あれは全く無意味な犠牲となるのが解りきっているのだ……。仮にも我が名に於いて執り行われている儀式であるのに……それ故に、このような無意味な悲劇が繰り返される事が、悲しい……」


 言っている先から、トンガリ耳の幼女が何か口走って、後頭部がうっすら禿げ上がってるおっさんがマジ切れした感じで、幼女を殴りつける。


 ひっでぇ……可愛い顔してるのに、一瞬で血塗れ……。

 

 けど、その目に思わず、引き込まれる……。

 てっきり泣きわめくと思ったのに、不敵な笑いを浮かべたまま、血混じりのツバを吐き捨ててる。

 

 それは、決して、絶望しない……諦めない者の態度だった。


 もうひとりの猫耳少女も、同様だった。

 どう見ても絶望的なのに、彼女達は諦めていなかった。

 

 悪あがきと解っていながら、鎖の縛めを解こうと、自らが傷付き血を流しながらも、運命にあがらおうとしている。

 

 こう言うやつは、嫌いじゃない。

 金貸しやってたころも、俺はこう言う目をして、返済を待ってくれとか言うやつには、手心を加えていたものだ。


 反対に、諦めきって、ヘラヘラと媚びを売るようなやつには容赦しなかったのだがね。

 

 自分の娘を借金のカタに風俗に売るとか言ってきたクソ親父とか、軽く病院送りにしてやったりしたもんだ。

 半グレのクソガキ共をシメてやったことも一度や二度じゃない。


 俺は、自他ともに認める悪党だったが……諦めない弱者の味方になりたい……常々そう思っていたし、本来任侠道ってのそういうものだ。


 強きをくじき、弱きを助く……正義の味方を気取るつもりもないが。

 自らより、弱いものを助ける……そんなの当たり前だろ!


 だからこそ、最後の仕事だって文字通り、命を賭けた……。

 オヤジは武闘派でもなんでも無い気のいいおっさんだった。


 拳銃くらい持ち歩けと言っていたのに、射っても当たらんから要らんとか言って……。

 肝心な時に側に居なかった俺に出来たことは、捨て身で敵討ちをする……その程度だった。

 

 ……あの生き様を俺は微塵にも恥じていない。

 

 それに、ここだけの話。


 この娘、猫耳ってのもポイント高いね……。

 実は俺ってネコ好きだったんだ。

 

 リアルじゃ絶対にお目にかかれない猫耳ガール……ともなると、ちょっと心惹かれる。

 地上には、そんな種族がいるって話は聞いてたけど、実物をこうやってみるとグッと来るものがある。

 

 これで、胸がバインバインだったら、完璧なんだがなぁ……なんか見た感じは中学生とかそんなに見える。

 もう5年もしたら、良い感じになるかも?


 チビのトンガリ耳も良いところ小学校高学年程度ながら、ガキンチョにありがちなぼんやりとした目じゃない。

 強い意志を宿した瞳だった。


 そして、今も見張りの目を盗んで足元の魔法陣に血混じりのツバを吐きかけて、微妙に魔法陣の書き換えを実行しようとしていた……こいつ、魔法陣を自分の血を使って、逆に支配しようとしてやがるな。


 成功するかどうかは定かじゃないけど、絶望的な現実を前に意地でも屈しない……最後まで諦めないと、そう告げているかのようだった。


 猫耳の方も諦めが悪いようで、懸命に身体を動かして、あちこち傷だらけになりながらも、その努力の甲斐があったのか、拘束がわずかに緩みつつあった……彼女達は希望を捨てていない……最後まであがき続けるつもりのようだった。

 

 ……なんと言うか、出来ることなら助けてやりたいと、そう思わずにはいられなかった。

 その点については、フォルティナ様も同様らしかった。

 

 ……彼女は、虐げらし弱者の、無念を抱いて死した者達の最後の味方でもある。

 

 どうも地上世界では、そんな風にも信仰されていたらしく、その願いから、彼女自身そう言う存在であろうと認識しているようだった。


 結果的に、この奈落に集った者達は、俺を含め、そんな者達ばかりだ……。

 だからこそ、誰もがフォルティナ様に感謝と忠義を捧げていた。


 フォルティナ様は、真剣に、この諦めの悪い少女たちを救おうとして……心から、救いを与えたいと願っている。


 でも、こうやって見てるだけだと、多分彼女達は死ぬ。

 流石に火炙りになってしまったら、いかなる幸運があろうとも、生き残る目は微塵にも無いだろう。


 運が良ければ、その魂が奈落に落ちて、俺同様フルティナ様の眷属になれるかも知れないが。

 軽く宝くじの確率と言う話なので、それもあまり期待はできないだろう。


 もちろん、こんな騒ぎも初めてじゃない……地上では、フォルティナ様にかつて創造され仕えていた眷属の末裔が多数生き残っており、光明神の加護を持つ者達との争いが年々激しくなっており、いくつもの悲劇が起こっていた。


 彼女達もそんな者達……本来、俺の立場なら保護すべき者達ではあるのだが……。

 

 今のところ、地上に干渉する手段は殆どなかった。

 

 だが、俺もこの奈落に来て、はや五年……改良を重ねた強靭な不死の肉体に、亡霊魔術師達が洗練を重ね、完成させた真・暗黒魔術を習得し、数多くの軍勢を作り出し……十分に力を付けた。


 光明神イスファタル……クソ女神は、俺の殺すリスト筆頭だ。

 その眷属だのなんだのも、もちろん皆殺しだ。


 この一年ほどばかり、ダニーの目を通して、地上を観察していてよく解った。

 

 この世界は歪み、その歪みは限界に達しつつあった。


 ……そろそろ、良いんじゃないだろうか?

 俺自身、予てから思っていたことを告げることにした。


「フォルティナ様、提案があります」


「なんだ? 言ってみろ……貴様の願いならば、聞かなくもないぞ。もっとも、何を言い出すか、予想も付いているがな」


 ……まいったな。

 何もかもお見通しのようだった……だがしかし、ここは敢えて、俺自身の言葉で告げるべきだった。


「我が暗黒軍団の出陣のお許しを……。まずは手始めにあのフォルティナ様の名を騙るゴミどもを掃除して参ります」


 まぁ、さすがに俺自身が行くとなるとちょっとハードルが多いんだけどな。

 

 なにせ、地上には超凶悪な光明神の使徒だの、勇者だのが闊歩してる。

 そいつらは、基本不死身だから、倒そうとしても簡単には倒せない。

 

 どうも地上でも、フォルティナ様の眷属の生き残りで、そこそこ有力なものが、これまでに何人も現れていたようなのだが。

 

 その尽くがある程度、力を付けた段階で、そいつらに目を付けられ散っていったと言う話だった。


 実際に戦ったという亡者から話を聞いたことがあったのだが、そいつらは何度殺しても何事もなかったかのように現れて、当然ながら以前よりパワーアップしていて、その繰り返し……。

 

 なんと言うか……ネトゲのゾンビアタックのようなやり方で挑んでくるらしい。


 ものすごく厄介な敵なのは確かだった。


 最低限、奴等の攻略法……確実にぶち殺す方法くらいは確立させないと……。

 その為には、ある程度強力な尖兵を向かわせて、戦闘データを取る必要があるのだ。


 物事には段階を踏む必要がある……それが大きな事なら、尚更に……だ。


 計画では、近日中に威力偵察ユニットを編成し、光明神の神殿に転送することで、特攻殴り込み……の予定だったが。

 その計画に投入する予定だった奴等を送り込むことにしよう。


 まぁ、送り込むっても竜牙兵って言うドラゴンの牙をベースにしたアンデッドの一種なんだがな。


 ちなみに、竜牙兵は魔法陣を刻んだ竜の牙の欠片を地上に送り込むだけで済むのだ。

 後は時限式の魔法陣が自己展開し、周囲の瘴気を吸収し、竜牙兵を構成する……増えるワカメみたいな代物とでも言うべきか。

 

 単純な命令しか聞かないけど、何かを守れって指令くらいなら受け付けるから、今の状況では、十分使えるだろう……。


「ふむ。戦闘用の竜牙兵だったかな? あれならば、あの程度のゴミ共……駆逐も容易いと思うが、その後はどうするのだ? 助けるだけ助けて、後は勝手にやれとでも言うつもりなのか? あの娘どもは面白いな……特にあのネコ娘、今どき、すっかり珍しくなったのだが……純粋な我が闇の眷属、それも巫女の血統を引いているようでな……。先程から、やかましいほど、我に救いを求める声が聞こえきていて……故に気になったのだ。もしかしたら、以前にも助けてやったような気もするな」


「なるほど、そう言う事情でしたか……。しかしながら、彼女達もこの場を凌げば、なんとでもするのではないでしょうか? 恩に思ってくれるようなら、協力者になってもらうのも手でしょうがね。そうですなぁ……ダニーのひとつでもつければ、目の代わり程度にはなるでしょう」


 まぁ、なんにせよ……地上世界の協力者は必要だった。

 心情的にあの子達を助けてやりたいのもあるが、そう言う理由もある。


 今こそ、立ち上がる時! ここはいっちょ派手にやるしかねぇだろ!

 

「ふむ、さすがに色々考えているな。良いだろう、我もこのところ、刺激が足らんとは思っていたのだ。いずれ貴様が行う地上反抗の前哨戦ということで、この場は好きにやるが良い……。よし、では我が貴様に命じよう、あの者達の死の運命を覆すのだ! 今の我は、地上へ直接手を出せんが……貴様にとっても、これはいわばデビュー戦、期待しているぞ?」


「御意っ! もったいなきお言葉でございまするっ!」


 かくして、俺は地上へ竜牙兵を送り込み、ネコ娘達を助けようとしたのだ。

 

 ……が、色々と想定外が重なり、俺自身が地上へ召喚されてしまった。

 そして、思いっきりバーサーク!

 

 これが、この俺ブラッディ・ジョージが地上へと導かれ、華々しいデビュー戦を飾るまでの経緯だった。


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