家宅侵入罪
-灯ル-
「おはよっ!ねぼすけな部長さん、朝だよ!」
「おはよう犯罪者予備軍。朝から不法侵入とかどんな神経してんだお前」
最悪な目覚めをありがとう。予想は現在朝の五時前。
理由は俺の毎朝五時にセットしてある目覚まし時計がなる前にこいつに起こされた事だ。
…いやお前どんな時間に起きてるんだよ。
今時の小学生ですらそんな早起き出来ねぇからな。
「てかレイお前、何処から入ってきたんだ」
「窓だよ!」
「そうか、だがここは二階だぞ」
うん、そうだねとさも当たり前のように首を傾げる目の前の後輩に恐怖を覚えた。
そうだった、この蔵階伶斗には人間サマの常識は通用しないのが当たり前だった。話すだけ無駄なんだ、止めとこう。
もう気づいていると思うが、こいつは男だ。
いや本当に。口調だけ捉えたらギャル系JKレベルのウザさを備えているが男だ。自称ヒロイン。しかし声は低い。
「はぁ、心臓に悪いわお前」
「あ、ときめいちゃった? やっぱ僕ってヒロインだからね、でもみんなのヒロインだから部長だけ特別扱いは」
「煩いぞ犯罪者」
違うよ“まだ”予備軍だし! と声を荒げる…
ん、“まだ”…?
一瞬で鳥肌立った。
いやこいつ将来絶対大物になるわ。悪い意味で。
もう無視を決め込む事にして俺はパジャマを着替えるためにタンスから制服を引っ張り出す。
「きゃー、部長さんのえっ」
「黙れ罪人! ドラ◯もんのし◯かちゃんはそんなドスの効いた悲鳴あげねぇよ!!」
「…裏声出ない」
「出すな汚い」
なんでこんな奴と知り合ってしまったのだろう、と今更ながらに後悔する。
早く先に学校にでも行って、適当に体育の先生でも捕まえて遊んでればいいのに。生きて帰れるか知らねぇけど。
顧問にすら見放された伝説の部活、オカルト研究部。
部員は“見えてる限り”総勢四名。
ただこの狂人犯罪者によると、なんかもう一人いるらしい。割とホラーだ。
「え、ちょ、どこ行くのさ灯流部長!」
「朝飯」
「はぁ? あんたまだ食べて無かったのかよ!」
「今起きたんだが」
いやもう駄目だ、本当にこいつとは話が噛み合わない。
無視しようにもこいつ一人で騒がせといちゃ近所に迷惑がかかる。害悪すぎるだろ。
…それにしても今日は天気が良いな。
たまには校外での活動もいいかもしれないな、と今日の部活メニューを考える。
「あ、そういえば部長!」
「何だ」
「今日の放課後、モテない可哀想な帽子くんのために、下駄箱にラブレター仕込んでおこうと思うんだけどどうかな!」
「うわ、最低だなお前」
「部長もやる?」
「やる」
こうして今日の部活内容が秒で決まったのである。
―――――活動報告書―――――
◯月◯日 (担当:灯流)
本日の活動内容:我らがオカルト研究部書記の二見川望夢の下駄箱に大量に恋文を詰める。(予算:望夢のポケットマネー)
結論:本人に怒られた。尚、一年サッカー部の山田さん(仮名)の目撃証言によると、二見川氏は笑顔で裏校庭に向かっていたとの事。
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秒速100km程度の長山です。
誤字脱字意味わかんない馬鹿じゃねぇの現象が多発します。
初投稿なんで大目に見てやって下さい。