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男3人異世界ぶらり旅  作者: neon
9/230

汗をかいて働いて賃金を得る。そして肉を食う。




来た道を30分くらい歩くと森の出口が見えた。



道中はほとんど獣は出てこなかった。行きであらかた仕留めてたからそれは仕方ないだろう。出てきた野うさぎを4匹ほど全てマサルに任せたが、マサルのレベルは5のままだった。


草原を抜けて門まで辿り着く。


門番のモルさんに挨拶して滞在証を一応見せて中に入れてもらった。


とりあえずギルドで換金してから飯を食おうということになったので僕達はギルドまで一直線に向かう。


「洗濯ってどこですんのかな?」

タカシが袖の匂いを嗅ぎながらそう言った。


森に入って獲物を狩ってたわけだからそりゃ汚れているし、返り血も多少はついている。


服も何着か欲しいな。


ギルドに着いてそのままカウンターに直行する。タカシとマサルは僕の後ろで適当にニコニコしている。


「すみません、オークを数匹討伐したので報酬をいただきたいのですが」


さて、どうやって調べるんだろう?気になる。気になる。


「オークを、、、ですか?」


なんかまずったかな?掲示板に討伐依頼で出てるから問題ないと思うんだが。それともオークってある程度レベルがないと討伐できないくらいのモンスターなのかな?


「ではこちらへ契約紋の入った方の手をかざしてください」


受付嬢さんはカウンターの横に設置されていた鉄製の台座のようなものを指し示した。


ここに手を?


手をかざすと台座がぼんやりと光りだした。カウンター内の同じ鉄製の板も同様に光りだすと受付嬢はそこに浮かび上がった文字を見ている。カウンター内なのでここからは確認しづらいな。一応個人情報とか気にしてんのかな?


「確認できました。オーク3体ですね」


僕は銀貨を3枚受け取った。


「後、彼もお願いします」


と、タカシを呼び、同じように台座に手をかざす。


「こちらはオーク2体ですね」


と、タカシは銀貨2枚を受け取った。



さて、次はこの死体どもの始末だな。

受付に西館入り口の場所を聞いてそこへ向かう。1度ギルドを出てぐるっと西側に回るとえらく広い開けた作業場みたいなところがあった。ガランとしていて受付は暇そうにしている。どうやらこの時間帯は暇なようだ。そういえばまだ昼だ。普通狩りに行くとなると午前中に出発して夕方暗くなる前に戻ってくるというのが一般のようでこの時間はあまり忙しくないということらしい。


「すみません。こちらで討伐したモンスターや獣を買い取っていただけるとお伺いしたのですが」


作業場のような所の端に事務所っぽいスペースがあり、そこの受付に声をかけた。青色の髪のショートカットでブスっとした感じの

女の子だ。

「買い取りですね?少々お待ちください」

そう言うと作業場の方に顔を出し「ダービーさーん」と大きく呼び掛けた。するとすぐにつなぎのような作業着の40才くらいの髭の似合うダンディなおじさんがこちらにやって来た。


「なんだ見ない顔だな。新人か?買い取りならとりあえず獲った獲物をそこに全部出せ」


そういうとそのダービーさんは作業場の中心にあった25メートル四方はありそうなどでかい鉄板を指差した。


「分かりました」


僕達はアイテムボックスから次々と獲物を出す。野うさぎが大半だがその後猪とオークの死体も鉄板の上にならべる。


猪十数匹並べると壮大だ。1匹だけペチャンコなんだが。


ダービーさんは何やら紙にチェックをしながら1匹1匹調べている。死体の状態を調べているようだ。


「このオークの首はどうやったんだ?魔法か?」


ダービーさんが首の無いオークの死体の前でこちらに聞いてきたので

「はい。まぁ」


「これは風魔法だな、申し分ない威力だ。こんなところで中級以上の魔法使いに会えるとはな」


中級の定義がどんなものか分からないので返事はしないでおこう。


10分くらいでダービーさんが獲物の査定を終えるとこちらにやって来た。


「お前達、3人ともアイテムボックスを使えて高レベルの魔法使いも居るなんてどこのギルドの出身だ?帝都のほうからこんな田舎に来たのか?」


僕の場合は高レベルではなく高知力なんだがな。アイテムボックスを使えるのも珍しいのかな?商人の固有スキルかなにかなのかと思っていたんだが。


うーん、今日ここで登録したばかりですとは言わない方がいいのかも。変に注目されるのも嫌だしな。


すると、奥の扉が開いて見覚えのあるハゲ頭が姿を現した。


「うぉっ!なんだ?この死体の山は?」

ゲーリーさんだ。

「お前達が狩ってきたのか?」

こちらに歩み寄るゲーリーさん。

「おいおい、ルーキーが狩る量じゃないぞ」


「ルーキーなのか?お前達」

はい、まぁ。と僕は恐縮な態度をとるが、後ろの2人はえらく態度がデカイ。胸を張ってしたり顔だった。


「これを頼む」と、ダービーさんが受付の女の子に紙を渡すと、レジのような所から硬貨を何枚か取り出した。

「オークが5体、猪が13体、野うさぎが56匹だ。申し分けないが、潰れてペシャンコなのは買い取れないな。オーク1体大銅貨1枚猪は大銅貨5枚野うさぎは1匹銅貨3枚だからしめて銀貨7枚大銅貨8枚銅貨8枚だ」


僕はそれを受け取りアイテムボックスに納めた。


「ペシャンコのはどうする?持って帰るか?」と聞かれたが、処分はお任せできるみたいなのでそのまま引き取ってもらった。オークが猪よりも安いのは食用か食用ではないかの違いらしい。オークの肉はあまり美味しくなく、家畜の餌なんかになるようだ。


さっさと退散しよう。僕らの実力が周りに知れてもただめんどくさいだけだ。


「ああ、待て待て」ゲーリーさんに引き止められた。

「今ウチの魔法使いが奥の訓練場に来ているんだ。見学していくか?」


んん、魔法使いか。どんなものか見ておきたいな。僕はタカシとマサルを引き止めて少し訓練場に顔をだすことにした。


ゲーリーさんに連れられて奥の扉をくぐり廊下を少し歩くと広い庭のような所に出た。高い壁で四方を覆われたここが訓練場なのだろう。木刀で打ち合いをしている鎧姿が数人と隅の方で黒い岩と向き合っている人がいる。


僕達はその黒い岩と向き合っている人の元へ案内された。


「よう。少し見学いいか?」ゲーリーさんはそう言うと「どうぞ」とシルバーのロッドを持ち黒いマントに鉄の胸当てをした青年が答えた。


「よく見ておくといいぞ、彼は中級魔法士だからな。いい勉強になる。特に火魔法が得意だ」


その魔法使いの青年はロッドを黒い岩に向けると何やら独り言を呟きだした。ああ、詠唱だなやっぱり詠唱するんだ。


「ファイアストーム!」


黒い岩の足元からグルグルと渦巻いた火柱が2メートルほど立ち昇った。青年はチラリとこちらを見て得意げだったが僕はその青年というよりはその青年のステータスを見ていた。MP消費が12か。彼の最大MPは38だったので3回打てばガス欠だな。


「どうだ、すごいだろう?今のは中級魔法だ。中級を覚えるには10年はかかるとされているからな」


火魔法LV2の横に(ファイアストーム)(ファイアボール)となっていたので火魔法LV2で中級ってことか。ならLV3は上級かな?火魔法LV3には(フレア)と書いてある。是非使ってみたい。


次に青年は同じくロッドを構えると「ファイア」と、唱える。初級は詠唱いらないんだな。消費MPは3だ。さらに「ファイア」「ファイア」と唱えた。3つの野球ボールくらいの火の玉が青年の目の前に浮かぶと3つ同時に黒い岩へ飛んでいく。そして黒い岩にぶつかって火の粉を散らして弾け跳んだ。MP消費は合計9っと。


「流石だな。3つも一気に放てるとは。同時に放てる魔法の数はその魔法使いの力量と言われているからな。お前も魔法が使えるのだろう?試しにどうだ?いいアドバイスがもらえるかもしれんぞ?」


駄目だな。彼のメンツを潰してしまいそうだ。現に今の彼のドヤ顔ときたらなんとも言えない。ここで僕が複数のファイアを出すわけにもいかない。多分今の僕が同時に出せるファイアの数は軽く10を超える。さっき試したばかりだ。


「いえ、狩りでMPを使い果しましたんで残念ですが」こう言っておけばいいだろう。


ありがとうございましたとお礼を言って僕達は訓練場を後にした。広場の方で木刀で打ち合いをしている人達も見ていたが、ずいぶんとスローに感じた。タカシのスピードは物差しにならないが、僕やマサルよりも断然トロく感じる。


ここで教わることはなさそうだ。





ギルドを出て飯にしようとマサルに言うと目を輝かせている。金も入ったんで何か美味いものを食べたいな。


街には食堂らしき店が何軒もある。一軒一軒メニューを拝見してみた。定食でだいたい銅貨が3枚から5枚が相場のようだ。お金の価値は日本円でいうと銅貨は100円、大銅貨が1000円、銀貨は10000円でだいたい合っていそうだな。


マサルが1軒の肉料理屋で立ち止まっている。肉か?肉がいいのか?マサルはなんでも食べるがやっぱり肉がいいんだろう。僕もタカシももちろん肉は好きだしここにしようかな?


中に入るとテーブル席に案内された。テーブルの真ん中に鉄板が設置されている。お好み焼き屋みたいだな。


猪のステーキを1人づつと野うさぎの肉入り野菜炒めを注文した。


猪の肉は分厚いままで出てきてその重量にビックリしたが思ったより柔らかい。塩胡椒でしか味付けをしていないようだが美味かった。ウサギの肉は昨日も食べたがこちらも美味いな。先程ペシャンコにしたり穴を開けたりした生き物だったため少々複雑ではあったがこの旨さで全て吹き飛んだ。


会計を済ませる。1人銅貨5枚で済んだ。





僕達は先に宿をとってから買い物に出ようと昨日の宿に再び出向いた。


中に入るとリアちゃんが

「おかえなさい」

と微笑んでくれたのでお腹も胸もいっぱいだ。

今日も同じ部屋でいいんでと宿泊させてもらう。今度は値引き無しでちゃんと払うと僕は申請したが遠慮されてしまった。お言葉に甘えることにしよう。

僕は銀貨1枚を手渡した。昨日と同じ部屋に入るともうすでに綺麗に掃除されており布団も綺麗なフカフカ状態だった。


置いておく荷物も別に無かったのですぐにタカシとマサルを呼び出して宿を出た。


さてと、買い物に行きますかね。






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