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男3人異世界ぶらり旅  作者: neon
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ひとーつ、ふたーつってなんだか童心にかえる



僕とマッチョの2人で予選通過をかけて1対1の魔力勝負。

相手よりも1つでも多く魔法を出せれば勝ちというシンプルな勝負。



「それじゃあとりあえず10から始めましょうか。13個と18個と出していますがお互い同じ条件で10からゆっくり増やしていきましょう。それでは詠唱を始めてください」


ヒューズマーがそう声をかけるとマッチョは詠唱を開始する。



!?


マジか!!


僕は驚愕した。


一体何にって?


僕のステータスになんと『念話』が追加されていた。ステータスに追加されていてもそのままでは使用できないので僕はすかざずスキルポイントを振って『念話』を取得した。

そして僕は小さくガッツポーズする。


「おや、マーシー選手早く詠唱を始めないと詠唱時間が短くなってしまうよ」

ヒューズマーの声に我に返った僕は


「あ、大丈夫です」


僕は目の前に予備動作無しに10個の拳くらいのファイアを出した。


急に現れた火の玉に目を見開き驚くヒューズマー。

「なんと、無詠唱でこれだけ一気に出せるのかい」

女騎士とその横の髭のおじさんも「ほう」と声を出してこちらを見ている。


そしてこのタイミングで詠唱の終えたマッチョが目の前に火の玉を10個。

「よし。それでは私の合図に合わせて数を1つづつ増やしていきましょう。はい、11」

ヒューズマーの声に合わせて僕は火の玉を1つ増やす。


「ファイア」

マッチョも1つ。今度は詠唱は無しで魔法名のみ声に出して火の玉を1つ増やす。


「12・13・14」


ひとつひとつ増えていくファイア。僕は1つづつ表情ひとつ変えずに無詠唱で増やしていく。

マッチョは毎回「ファイア」と声を出して数を増やしていく。


「17・18」

そしてすぐに先ほどの数は超える。もちろんマッチョも問題なくついてくる。


「19・20」

20の大台に乗ったときに他の参加者から「おお」と感嘆の声が漏れ聞こえる。


まだいけるか?マッチョくん。


「21・22」

少しマッチョくんの顔から余裕がなくなってくる。額に汗が浮かんでいるのが分かる。


「23・24」

この辺りからマッチョくんが1つの魔法を出す際に簡単な詠唱も付け加えるようになってきた。魔力を搾りだしているのが伝わってくる。


「25」


僕は表情を変えずにファイアを出す。

マッチョくんは長々と詠唱を唱えてなんとかファイアを捻り出した。


「26」

僕はすぐにファイアを詠唱無しに出して無表情でマッチョくんをじっと見つめている。何かを口にすることもなくただただプレッシャーを与えるようにじっと見つめているだけだ。もう無理か?もう限界か?


ん??

今一瞬マッチョの腰あたりで何か別の魔力が流れた気がした。

と、マッチョ越しにロマネという魔法使いの表情が視線に入る。珍しく変わらぬ表情を崩して渋い表情をしていた。


あ、こりゃマッチョくんなにか使ったかな?


スッと僕は視線を女騎士さんへと向けると彼女は少し怒気を放った表情をしていた。


『このまま続けてください。止める必要はありません』

ハッした表情で僕を見つめる女騎士。

『今何かしらマジックアイテムを使ったわ』

『大丈夫です。反則であれなんであれ全てを出し切って負ければ言い訳のしようもないでしょう?』


しばし無言の女騎士さん。


「ファイア」と笑みを浮かべながら火の玉を追加したマッチョくん。


カウントは継続される。


「27・28」

息を吹き返したようにファイアと唱え続けるマッチョくん。

それでもすぐに限界は現れる。

「29・30」


30個目を出した僕に続いて詠唱を唱えているマッチョくんの額からは滝のような汗。

歯をギリギリと鳴らしながら顔を真っ赤にして力を入れ続けている。

そしてポタッと鼻から一筋の赤い液体。

多分もう限界か。


「焼き・・・尽くす・・・・・・・・・・・ファイ・・・・」


ガクッと膝をついたマッチョ。

するとマッチョの目の前の火の玉は霧散した。


「それまで。勝者はマーシー選手。予選通過はロマネ選手とマーシー選手に決定」

ヒューズマーが皆に聞こえるように声を出した。


そして僕も火の玉を消して1歩2歩とマッチョに近づいていく。

こういうヤツはちょっと脅しておいた方がいい。今後必ず同じことを絶対する。暴力を振るうわけにはいかないが少し追い詰めるくらいはしておくべきだ。



おっと、僕とマッチョの間に誰か入ってきた。


それは髭のおじさんだった。


「おいクソガキ。くだらねェもん使いやがって」胸倉を掴んで息も絶え絶えのマッチョの顔に額が当たるくらいの距離で「レベルが違うんだよレベルが!魔力感知もろくにできねーくせに粋がってんじゃねーぞ!挙句の果てには反則使って負けちまって!テメーの価値なんてここにはこれっぽちもねーんだよ!!それになぁ、コイツを見てみろ」

僕の左手をガッとつかんで僕のブレスレットをそのマッチョに見せるように引っ張る髭のおじさん。

「テメー、自分がミズリー様の弟子だとか言いやがったな?じゃあこれは何か知ってんのか??ああん?これはなぁ、ミズリー様の弟子の証なんだよ!!」

「な!?」と、目を見開くマッチョくん。

「そんなことも知らねーガキが適当なこと言ってんじゃねーぞ!!テメーはミズリー様の顔に泥を塗ったんだよ!分かってんのか!!テメーこの国で無事でいられると思うなよ!俺たち魔法騎士団の連中はミズリー様に憧れてる連中が多いからなぁ客席で見てる連中がテメーを街中で見かけたら何するかわかんねーぞ!」


何このおじさん怖い。


バッとマッチョを突き放しスッと綺麗に直立した髭のおじさんは最後に

「テメーは魔術大会でマジックアイテムを使って不正を行った。よって以後出場は禁止だ。テメー冒険者だろう?ギルドにも話は通しておくからさっさとリアから出ていくんだな」


スタスタと戻っていく髭のおじさん。すると振り返り

「あと、ミズリー様を呼び捨てにしてんじゃねーよ。ぶっ殺すぞ」

と、最後に一言。


うーん、僕がすることはなくなったということか。


「えーー、それじゃあ皆さまお疲れさまでした。また来年の参加を期待しております。予選通過者はそのまま残っていただいてそれ以外の方はあちらの出口からご退場ください」

ヒューズマーの一声で参加者はゾロゾロと退場していく。マッチョも悲壮の表情で退場だ。お疲れさん、早いとこリアから逃げてください。



そしてそこには魔法騎士団の3人と僕とロマネが残り無事に僕は本選出場を決めた。





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