表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男3人異世界ぶらり旅  作者: neon
8/230

狩りとは生き物の命を奪うこと




森に踏み込んですぐにウサギが2匹跳び込んで来たが1匹は僕のレイピアに串刺しに。1匹はタカシの裏拳で木に張り付いた。ちゃんと死体は回収する。

あれ?タカシが銅の剣を出してないな。なぜだ?

彼云く「俺の武器は拳だ」だそうだ。もう好きにしてくれ。



木々が生い茂り視界が悪い。太陽は出ているので明るいのはいいんだが木や草が邪魔をして先が全くみえない。


今僕達は固められた土の道を歩いている。幅はせいぜい3メートル。左右には見たこともない草木が生い茂る。


このような状況でいきなり獣が襲いかかってきたら大変だ。野うさぎ程度ならまだしも、熊や猪あたりが急に出てきたらこの2人に比べてHPの少ない僕が1番危険なはずだ。

最悪命が。

確かスキルにあったよな。


僕は索敵スキルと感知スキルをLV2まで取得した。


すると視界が広くなったような気がした。実際に見えている範囲は変わりがないんだが、索敵スキルのおかげだろうか?200~300メートルくらい先まで見えているようだ。所々に野うさぎがいるのが確認できるが、100メートルくらい前方に何かいる。野うさぎとは別の生き物だ。


「タカシ、100メートルくらい先になにかいる」

僕は先頭を歩いていたタカシを止めた。

「来たか、猪!」

ああ多分猪だ。しかし。しかしながらやけにデカイぞ。2メートルくらいはあるぞ。


前方の木が邪魔をしているためまだここからはその生き物を視認できない。

なるべく足音をたてないようにジリジリとその距離を詰めていき、目で確認できるくらいの距離まで来た。生い茂る草木から身体の上部が見える。高さはやっぱり2メートルくらいだ。相手は野生の動物なのでこちらに気付いているのかもしれないが、まだ敵意を示していないためこちらに向かってくる気配もない。その場所から動かずじっとしている。


「俺が魔法で仕留めようか?」

小声で2人に確認するが、タカシが一歩前に出た。

「いや、俺にやらせろよ」

拳と拳を胸の前で合わせてやる気マンマンのポーズだ。

確かにやらせてみてもいいか。あのスピードもさることながら力400オーバーの実力は如何なるものなのか気になるところだ。

「分かった。ヤバそうだったら魔法で援護するぞ。ちなみにあの猪のレベルは3だ。タカシより格上だから用心しろよ」

そういって僕は足元の野球のボールほどの石を拾い、その獣の巨体に投げつけた。


石はコンっと当たっただけだったがその2メートルの獣はのっそりと草木をへし折りながら僕らの前に姿を現した。


「デカッ」

マサルが僕の後ろで声を漏らした。


その距離25メートルといったところか。プールの端と端くらいの距離で僕らとその猪は対峙した。


猪はブホッと鼻息を鳴らすと前傾姿勢でいきなり加速してきた。


と、その瞬間隣に居たはずのタカシは超光速でダッシュし、気付いた時には猪の頭上で右拳を構えていた。


速い!


1秒もかからず25メートルの距離を一気に縮めた。


その刹那



どズン!!!!!


地面が、、、、揺れた、、、、


バサバサバサバサッと近くの木で羽休めしていた鳥達が飛び去った。



と同時に猪の姿が消えていた。タカシが整地も?されていない道に着地すると何やら自分の拳を見つめている。




いや、猪は消えたんじゃなかった。近づいていくと答えは出た。


ペシャンコだ。猪が地面でペシャンコになってる。さっきマサルが野うさぎを仕留めたのと同じだ。猪は絨毯のように地面にへばりつきその地面もその猪を中心に軽く陥没している。


メッセージウインドウにLVUPの表記があった。そういえば石当てたからな。

タカシが僕とマサルに向き直して口を開いた

「これはヤバイ」

確かにヤバイわな。これが人間だと思うとゾッとする。


「マサルマサル。ちょっとそこの木、引っこ抜いてみろ」

僕は近くの木を指差しながらマサルに指示した。そこには腕を開いても半分くらいしか届かなそうな高さは5メートルはある大木がある。

「マジで?」

「大マジ」

マサルは手に持っていた棍棒を僕にわた、、、、


!!!!!


ドスッ


「重っ!!」


なんとか柄の部分を両手で持ち、持ち上げてみるが30キロくらいはありそうだ。これを片手でブンブン振り回してたのか、、、。


「やっぱりマサルもうい、、、」


と、言った時にはマサルは大木をすでに持ち上げたところだった。


根が地面からベリベリと引き剥がされながら斜めに傾いている。


自分でやった行為に自分でビックリしながらそーっと木を元どおりに戻すマサル。


重たい亀の甲羅背負って修行したあとかよ、まったく。


よしお前達


「2人とも今日中に手加減を覚えろ。おもいっきり攻撃するの禁止な。毎回毎回獲物ペシャンコにしてたらやってられんぞ。1割2割の力で攻撃することを覚えろ。それで十分だ。タカシはなるべく銅の剣を使え。その方が手加減になるだろ?」


「「アイアイさー」」


やけに素直に返事してきたな。確かに冗談を通り越したレベルの力なので自分で自分に対する対応をどうすればいいのか訳分からなくなってんだろうな。




この後僕達は森で狩りを続けた。メインは野うさぎでたまにでてくる猪は順番で仕留めていった。

マサルは突っ込んできた猪を片手で止め、猪の頭部に拳骨を振り下ろすと猪はそれだけで絶命していた。


僕の魔法も十分に通用した。火は流石に火事になりそうなので火魔法と同じ要領で風魔法で圧縮された空気の玉を数発猪に向けて放つと猪に数カ所の風穴が開く。


この辺りの獲物にはもう全く遅れをとることなんてないだろうと思う。


すでにアイテムボックスには52匹の野うさぎの死体が入っている。このままいけば×99までは入りそうだ。猪はそれぞれのアイテムボックスに納めさせた。アイテムを入れたり出したりはやはり慣れておくべきだと判断したからだ。


2~3日分の宿泊費も貯まったのでそろそろ街に戻ろうと2人に声をかけようとした時、僕の索敵スキルが反応する。


野うさぎでも猪でもない。


5人組、、、、いや、人じゃないな。

多分あれがオークだな。

僕の索敵のイメージはサーモグラフィのようなイメージを受ける。はっきりと映像は見えないがある程度姿形が認識できた。発見した5人組は皆2メートル近くの大柄で5人共武装している。棍棒っぽいのを持ってるやつと剣を持ったやつもいる。


「オーク5人組だ。どうする?やるか?」

と、聞いておいてやらないわけがないなと思った。

「「もちろんやる」」と言った2人にオークの位置を伝え、二手に分かれる。



まず僕が魔法で2~3匹仕留めて浮足だったところをタカシとマサルが片を付ける算段だ。


僕は風の玉を3つ用意して狙いをすまして放つ。


2つはオークの顔面に直撃して2匹のオークの首から上は弾け飛んだ。もう1つはオークの腹部に直撃すると胴体に風穴を作りだした。

いやぁ、我ながら恐ろしい。


僕の魔法が直撃した1秒後にはオークの側にタカシが現れて気がついたら残りのオークも倒れていた。そこに遅れてマサルが到着する。

「えっ!!もう終わり!?」

まぁこの作戦じゃこうなるよな。作戦立てた瞬間こうなることは予想できたが特に異議はその時なかったのでそのまま敢行しただけだ。


お、またレベル上がった。


「!?」


しまった!!そっちもあったか!!


僕はメッセージウインドウを見て舌打ちした。


『商人がLVアップした』


職業レベルあんのかよ。っていうか何故僕は商人のままにしていたんだろう。


『アイテムボックス上限が20アップした』


なるほど。アイテムボックスの欄が合計30から合計50になっている。

ということは他の職業も当然この恩恵はあるはずだな。僕は職業を商人から魔法使いに切り替えた。


おや、MPと知力がアップした。職業補正があるのか。魔法使いはMPと知力がどうやら1.2倍になるようだ。そういえばタカシのステータスを宿で見た時確か420だったな基本ステがあの時70って言ってたから力MAXで350で格闘家で1.2倍か。他のも知りたいところだが、まぁとりあえずは魔法使いでいいかな。


職業を魔法使いに変えてからアイテムボックスを見ても50のままだった。まぁこれは嬉しい誤算だったと考えよう。職業レベルがアップして覚えたスキルは職業を変えたとしてもそのまま使えるか。


職業レベルアップによる何かしらの能力の付加があるとなるとタカシとマサルの2人が同じ職業ってのは効率があまりよろしくない。どの職業でどんな能力が付くのかを調べるためにも別々の職業についてもらいたい。


一応そのことをタカシとマサルに話したら

「俺は根っからの格闘家やから格闘家のままがいい」

とタカシが駄々をこねたので大人なマサルはとりあえず職業レベルが1あがったら戦士にでもするかということになった。


オークの死体をアイテムボックスに納める。

するとそこには武器と防具が残った。

別になるようだ。もちろん売れるだろうと残った武器防具もアイテムボックスに収納する。


今タカシと僕はレベルが6、マサルがレベル5だ。そろそろ帰ろうかと来た道を真っ直ぐそのままUターンすることにした。森の中は闇雲に進んで来たわけではなく、先人に切り拓かれた道をただ進んできただけなので迷うことはない。


「喉かわいたな」とタカシ。


「!!!」


僕達はなんて無謀なことをしているんだろう。冒険に出て水も食料も持ってないなんて。


あ、水ならあるか。


「タカシ、あーん」

と僕は「水」と言うとサッカーボールくらいの水の塊を掌に出した。


「これ、飲めんのか?」


そりゃ知らん。


「大丈夫だろ?」とマサルが水の塊に顔を近づけた。ワイルドだな。


「いけるいける」どうやら飲めるらしい。

だが僕はその絵面がなんか嫌だったんで手をお椀状にしてそこに水を溜めた。うん、普通に水だ。

タカシにも同じことをさせてその手の上で水を作りだす。あとは僕の意識下から離せば水はパシャンと水の塊からただの水に戻る。


飲み水はこれでなんとかなるな。しかし食料はどうしようもない。


「野うさぎ焼くことを提案する」

食いしん坊マサルが挙手して発言する。


いやいや、それは考えたけど。


「とりあえず今日は無し。街に戻れば街で食べれるし。けど今後のことも考えないとな。冒険の最中の食料か、、、」


確かに狩った獲物を焼くのが定番っぽいな。火魔法も使えるし、、、。調味料くらいは買っておくかな。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ