31歳ルビーナちゃん
「それじゃあそろそろ俺たちは行きます。今日中に行くところもありますので」
「それじゃあ私もギルドまではついて行くわ。ルビーナの所にいくんでしょう?」
「ミズリー師匠・・・・・ご存じでしたか?」
「ええ、そうね。一体どういうことなのかよーく聞いておきたいわね」
ミズリー師匠の目が怖い。共鳴の話が漏れてしまっている。
そして僕はアルベルトに向きなおした。
「色々とありがとうございました。そして色々とご迷惑をおかけしました。明日には帝都を発ってリアに向かう予定です」
「そうかい。じゃあ貸し1つは次回会った時に返してもらおうかな?」
僕は笑顔で返す
「魔族討伐で充分お返ししたと思いますが?」
「ははは。じゃあ貸しはなしで友人として食事でもどうかな?」
「・・・・・分かりました。帝都に寄ることがあればゆっくり食事でも行きましょう」
そして僕たちはアルベルトに挨拶をし、ミズリー師匠をつれてギルドへと向かった。
聖騎士の宿舎からギルドまでは徒歩で20分ほどだったが道行く人に指を指され賛辞を贈られた。
お!!タカシだ!!
さっきのは凄かったな!!
優勝おめでとう!!
ギルドに到着した僕達を迎えたのはさらに多くの賛辞だった。ギルドに入ってきた僕たちに気づいた冒険者たちが優勝を称える言葉をかけてきてくれる中、それよりも多くの勧誘が僕たちを襲う。
おい!タカシ!!Cランクのウチに来い!!
いや!ぜひ私たちのチームに!!
マサル!!お前も一緒にウチに来い!
あの実力の格闘家2人がEランクなんて!!
まとめてウチで面倒みてやるぞ!!
なぜミズリーさんがこいつらと!
むさくるしい男共が群がってきて暑苦しいな。
「はいはいダメよ。彼らの勧誘は私が許さないわ。諦めなさいね」
ミズリー師匠がそう言うと全員が渋い顔をした。
流石大魔法使いだな。影響力抜群だ。
「はーい、通るわねー」
そして僕たちはカウンターの脇の通路を真っ直ぐ進み精算所へと足を向けた。
「ありがとうございますミズリー師匠。ああいうのは断るだけでも面倒ですからね」
「個人的なことを言えばあななたち3人はできれば帝都の専属の冒険者として手元に置いておきたいっていうのはあるのよ」
「そう言っていただけると嬉しいのですがもう色々とやることも決まってますからね」
リアに行った後はジパングに向かうところまで予定はたっている。道中帝都に寄ることはあっても長期滞在は現状難しいな。
この街嫌いじゃないんだけどな。飯は旨いし夜の街も充実してるし。
広く開かれた部屋に一枚の大きな鉄板の置かれた部屋に以前と同じ白衣を着た青髪の小さな女の子、しかし年齢は僕よりも10歳上のルビーナさんは立っていた。
「ルビーナさんこんにちは。約束のものをお持ちしましたよ」
「おおーー。今話題の面々だーー。そしてミズリーまで一緒――」
タカシは先ほどまでブンブンと振り回していた真っ黒の木刀をルビーナさんに手渡した。
「ありがとーー。これで貴重な薬がつくれるねーー」
「それじゃあルビーナさん。早速で悪いのですが、約束の報酬よろしいでしょうか?」
「ルビーナちゃんねーーーー」
・・・・・31歳ルビーナちゃんか。
「・・・・・・・・・それじゃあルビーナちゃん約束の報酬よろしいでしょうか?」
「いいよーー。じゃあ共鳴しようかーー」
すると待ってましたかのようにミズリー師匠が口を開いた。
「ホントに共鳴するのね?一体どういうつもり?」
いやいや厳しい目つきをしていらっしゃる。
僕はミズリー師匠には嘘はつかない約束をしている。多分嘘をついたとしても見抜かれるっていうのもあるがそれ以上に信用に足る人物であると思っている。
「ミズリー師匠。・・・・・・・・・ルビーナさんは信用できますか?」
ミズリー師匠の目が違った意味で厳しい視線になったのが分かった。それは僕がミズリー師匠に向けた視線が真剣なものだったからだ。
「ルビーナは私が冒険者だった時に生死を共にした仲間よ。逆に彼女以上に信用できる人間はいないわ」
「分かりました」僕は一拍おいて話し始める「僕は1度共鳴するだけで魔法をすぐに会得できるかもしれないんです。まだ1度だけしか試していませんがその時は氷魔法を会得できました。逆に相手の人も元々使えなかった魔法を使えるようにもなりました」
「なにそれーー、すごーーい」
「共鳴1回で魔法を使えるように・・・・。それでルビーナの召喚魔法を使えるようにならないかってこと・・・」
「共鳴1回で魔法が使えるようになるのが普通ではないとは以前聞いたのですが、それでも召喚魔法を使えるチャンスがあるのならぜひにと思いました」
「そうね・・・。一応共鳴1度で新しい魔法を使えるようになった魔法使いもいるにはいるわ。王城の賢者様にはそんな話もあったはず。けれどそれを成したのはどんな時代でも英雄だったり天才と称されるものばかりよ」うん、できればどちらも呼ばれたくないな「それよりもデメリットの方が問題よ。魔法を唱える側ではなく受ける側。共鳴を受ける側の魔法使いは共鳴後、自身の身体で魔力が流せなくなって魔法を使えなくなることもあるのよ」
おっとそいつは初耳だ。
「一応確率的にはーー、1%とかだったかなーー」
「特に魔力差が多い時に起こりやすい。さらに言うと魔法を受ける側ではなく渡す側の魔力が多い時に起こりやすい」
「ということは僕が誰かに魔法を伝えるのは危険だということですね。そういえば以前やった時は魔力酔いって言うんでしょうか?相手はフラフラになってましたね」
「マーシー君の魔力を受けるのは拷問に近いわね。今後禁止ね」
「分かりました。ミズリー師匠」
「それと、火や水なんかの5大魔法って呼ばれているものなら影響は出やすいけれど、召喚魔法とか特殊な魔法を共鳴で覚えたっていうのは聞いたことがないわよ」
「それじゃあ世界初になるかもしれませんね。ぜひ試してみましょう」
ミズリー師匠はあきれた様子だったが「まあいいわ今回は見逃してあげるわ」と許可はいただいた。
「それじゃあルビーナさ・・・ルビーナちゃん、よろしくお願いします」
「はーーい。じゃあー、やってみよーー」
ルビーナさんは僕の両手を取り向かい合った形になった。
「それじゃあいっくよーー」
ルビーナさんは召喚魔法の詠唱をゆっくりと始めた。以前と同じようにルビーナさんに流れる魔力を感じ取ることができるが以前の氷魔法の時とはもちろん全然違う魔力の動きを感じる。僕はそれに合わせて詠唱はしないが魔力の流れを合わせてみる。
「はーい、みんなーー集合ーーー」
すると周りの地面に5つの魔法陣が現れその魔法陣から顎のしゃくれた小さな小人が5匹出てくる。
その5匹はスタスタとルビーナさんの後ろに並び綺麗に並んで気をつけの姿勢になった。
「どーー?何か変わったことはあったーー?」
そう言ってルビーナさんは僕を見て掴んだ手をブンブンと上下させた。
僕は視線でステータス画面をチェックしてみる。
あった。
召喚魔法LV0だ。
そして近寄ってきたミズリー師匠が「どう?」と聞いてくる。
僕はルビーナさんと繋いでいた手を離すとミズリー師匠と目を合わせ口を開いた。
「多分・・・・いけると思います」
ミズリー師匠は頭を抱えた。
「そう・・・これだから天才は・・・・」そう呟いたミズリー師匠にかける言葉は特に出てこない。「ルビーナ、彼に召喚魔法の定義を教えてあげて」
「すごーーい。本当に使えるのーーー??」
「一度試しにやってみましょうか」
僕は召喚魔法をLV1にあげた。




