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男3人異世界ぶらり旅  作者: neon
72/230

これにて一件落着。





僕は観客がその魔族から離れるように逃げていくため人の減った最前列を駆けていた。

そこでナイスタイミングで心強い人を発見。


「ミズリー師匠!!」

「ちょうどいいところに来たわね」

僕は足を止めてマサルと一緒にミズリー師匠に並ぶ。


「師匠、ここで最悪のパターンは2つ。観客席にあの針みたいなのを飛ばしてきて観客に死人けが人が出ることと、アイツがこのまま空を飛んで逃げてしまうことですね」

「ええ、とりあえず逃げ道を塞ぎましょうか。風でこの闘技場に蓋をするわ。私に合わせなさい」

「了解。合わせます」


「駆ける風、荒ぶる流れ、疾風を巻き起こせ」

ミズリー師匠が詠唱を始める。僕はそれに合わせる


「「ウィンドウォール!!」」


作りだしたのは風の壁。ただ、それは壁ではなく天井のイメージだ。縦にではなく横に大きなウィンドウォールを展開して魔族がこれ以上上空に上がれなくする。


魔族はそれに気づいたのかチラッと上空を見ると


ギャギャギャギャ


と鳴き声をあげてこちらを見た。

そして数本ある自身の腕のうち2本をこちらに向けて振ると光る何かが僕達の方に向かって飛んでくる。


「「マジックガード!!」」


僕とミズリー師匠が同時に目の前に魔法でガード。大きめに展開したマジックガードはただの1本も針を観客席には通さない。


こちらに意識を向けた魔族は大量の人間が逃げ惑う姿をみてそちらに向けてさらに針を振るってくるが


「俺がやります!」


僕は今よりも大きくこちら側の観客席を全面覆うような大きさの「マジックガード!!」でその針をすべて防ぐ。


「マサル!!」

「なになに?どうする?」

「飛べ!!」


「・・・・・・・・・え?マジ?」


「行ってアイツの顔面に一発お見舞いしてこい。ちゃんとお膳立てはしてやる」

「・・・・・・・・・・・ああ。女を殴るヤツに慈悲はねェ。一発かましてやる」


「ミズリー師匠、ちょっと行ってきますね」

「無理はしちゃダメよ」


マサルは客席を踏みしめて一気に踏み込み魔族に向かって一直線に飛んで行った。

僕もそれに合わせてその後ろを追いかけるように観客席から魔族の方に向かってジャンプ。僕は魔族のいるところまでは飛んでいないが近づくだけで充分だ。


「うらああああああ!!」


マサルが魔族に接近するが魔族は飛んできたマサルを難なくヒョイっと躱した。あんな馬鹿正直に真っ直ぐ飛んでくるのを受けるわけがない。


「マーーシーーーーー(涙)」


魔族を通り過ぎたマサルの悲壮な声が響く


「マジックガード!!」

「あ、なるほどね」

マサルは目の前に現れたマジックガードを足場に踏み込んで追加でジャンプ、ガシッと魔族の腕を左手でつかんだ。


「テメーは一体誰の顔殴ったか分かってんのか?死んでも後悔しろ!!!」


ゴッ!!!


マサルの右拳が魔族の顔面にヒットしそのまま勢いよく地面へと落下していく。


僕は自分で出した風に乗り「マジックガード」をマサルの足元に作りだし足場を作ってやった。

そして落ちていく魔族の方へと目をやると落ちてくるのが分かっていたかのようにタカシがグルグルと腕を回している。


「お前の定位置はそこやろが!!オラァ!!」


落ちて来た魔族の胴体部分を振りぬいたタカシの拳。そのまま魔族は真横に飛んでいき最初に貼り付けにされた壁に再度ズガン!!と打ち付けられてズルズルと地面に横たわる。


僕とマサルは地面に着地。すると背後からミズリー師匠も近寄ってきて声を掛けて来た。


「マジックガードを足場に・・・・ねェ。」

「魔法はイメージ力。ですよね?」

「ホント優秀すぎて困るわ」

「お褒めの言葉ありがとうございます」

「皮肉も入ってるわよ」


すぐにアルベルトが魔族に近寄っていき様子を見ているがどうやらまだ死んではいないようだ。なんてタフな奴だ。

すぐに他の聖騎士のメンバーに光るロープのようなもので拘束されて連れ去られていった。





観客席で避難しようとしていた観客も事が終わるとほっとした様子でこちらを見ていた。


「とりあえずこれで武闘大会は終了だね。タカシくんの贈呈式はこの後別の場所で行うよ。観客には事は終わったことを伝えてこのまま解散してもらおう」

アルベルトさんにこの後このまま付いて行き聖騎士の宿舎のようなところに一緒に来るように言われた。一応保護者扱いでミズリー師匠もついていくことになりそこで改めて優勝賞金の授与ってことになるようだ。


「こりゃ後始末が大変だな。ったく仕事増やしやがって」

ゲラハルドさんはぶつくさ言っていた。

「ふむ、なら拙者もここまでじゃな。いやいや中々に良い体験をさせてもらった。この年でここまで心躍ることがあるとはのぅ。タカシとマサルに触発されてしもうたわ。もっと技を磨いてぜひタカシにリベンジを申し込みたいものじゃ」

「十兵衛さん色々ありがとう。また帝都には戻ってくることもあるからそん時は居合も教えてほしいしゆっくり酒も呑みたいわ」

「ふむ、そうじゃな。さっきの居合はまぁまぁじゃったな30点。ただ早いだけじゃったな。はっはっは」

「ありがとうございました十兵衛さん。タカシもマサルも十兵衛さんのおかげで帝都を楽しく過ごせたと思います。また帝都に来た時は一緒にお酒でも呑みましょう」



鎧姿の騎士の方々が観客の誘導と説明をしながら対応している。アルベルトは大会の関係者らしき人達とやりとりをし国王様の無事も確認していた。特に死者がいるわけでもなく、ごった返しになった観客席で少々怪我人が出ただけで済んだようだ。


そして僕たちはタカシの優勝賞金を受け取ることもありアルベルトさんについていくことになった。

十兵衛さんとゲラハルドさんとはそこで分かれてミズリー師匠も連れて一路聖騎士の集まる宿舎へ。



そこはお城を目の前にした豪華な屋敷だった。




ルガー伯爵の一件で貴族街には足を運んではいたがお城までは初めて足を運ぶこととなった。

「うおう、流石に城はでっかいもんやな。」

お城を中心に大きな堀がお城を囲んでいる。その正面の正門に架けられた横幅のある石橋。そして目の前にある正門のなんとでかいことか。中にそそり立つ建物も洋風のゲームの世界で見るような立派な城だった。その正門の見える位置にあるでかい屋敷が聖騎士の宿舎であり僕たちはそこにお邪魔した。


広い執務室のようなところに通されて僕たちは三人並び、その横にミズリー師匠も一緒に並んでいる。


「この雰囲気。なんか学生時代の校長室に呼び出された時のことを思い出すな」

「校長室?一体何して呼ばれたんでしょうか?」

マサルがタカシに疑問をぶつけている。



コンコンとドアがノックされアルベルトとレイアガール、そして貴族っぽいきらびやかな服装にふさふさの白髪をカールさせた髪型の少しぽっちゃりとしたおじさんが入ってきた。

(モーツァルトや。モーツァルトが来た)

タカシがボソッと僕に耳打ちしてきた。


「やあお待たせ。こちらの方はこの帝都の宰相であるルーゴック殿だ」


アルベルトの紹介にタカシとマサルの頭に?が出ているのが分かった。

(宰相ってのは、なんていうか参謀とか相談役みたいな感じで考えればいい)

お、おう。と、適当に返事をする2人。

「あのような事故が起こり災難ではあったが武闘大会の優勝には賛辞を贈る。並びに此度の魔族討伐に尽力を尽くしてくれたことにもルーシア王に代わり礼を述べておく。優勝者より依頼のあった試合中の第三者の介入は不問とする。これはアルベルト殿からも要請があり尚且つ魔族のスキルによる影響があの試合にはあったとされるための措置である」

「ありがとうございます感謝いたします」

もちろんタカシとマサルには今は一切喋らせない。

「本来ならば試合後に観衆の前で渡すべき優勝の品をこんな形で贈呈することをお詫びさせていただく」

「いえ、仕方がありません。あのような事態になったのは事故ですので」


「それでは優勝者タカシ殿、前へ」


タカシが一歩前へ出る。

一本の黒い木刀と金貨の入った豪華な袋がタカシに手渡される。


「そして、魔族討伐の尽力に対する礼金も合わせてルーシア王より預かっている」

さらに同じ豪華な袋をタカシは受け取った。

国王より預かった礼金ってことは断るとまずいんだろうな。できればそういうのはミズリー師匠あたりに押し付けたいんだが。

「さらにもう一つ。これほどの実力の冒険者をEランクにさせておくのはどうかという話があがっている。これは協議中ではあるが冒険者ギルドと協議の末にランクの調整もありうることも伝えておく」

依頼をこなさずにランクアップの可能性あるんですか。

「以上である。何か質問はあるかね?」

タカシがチラリとこちらを見た。

「いえ、ありがとうございます。数々のご配慮ありがとうございますルーゴック様。ルーシア国王様にも感謝したしますとお伝えいただけましたら光栄です」



「それではこれで贈呈式を終了する。此度は誠に大義であった」

するとルーゴックは部屋を出て行った。

レイアガールがそれについていきこの場には僕達3人とアルベルト、ミズリー師匠が残る。


「あのぅ、優勝賞金はもちろんもらいますが、魔族討伐の礼金ってのはミズリー師匠に受け取ってもらえるとありがたいんですが」

「・・・・・。ルーゴック様がいる時に言わなくてよかったわ。言ったら国王様からの礼金を断るってことだから失礼極まりないわよ」

「ええ。だと思って今言いました」

「それは受け取っておきなさい。流石にあれだけの人が見ていたのだから言い逃れはできないわよ」

「そう・・・・ですよね?」

「まぁ、こっちの方であまり大きくならないようにはしておくよ。君たちのこともここ数日で少し分かってきたからね。なるべく事を大きくしたくないってことだね?」

「まぁチームから武闘大会の優勝者出した時点でそれも難しくなるんでしょうけどね」

「そうだね。これは毎年恒例ではあるが引き抜きとかは多いだろうね。魔族討伐も目撃されていると考えると例年以上になるかもね」

「まぁ明日にはここを出るんで少しは我慢しましょう」

「リアで魔術大会に出るんだよね?」

「あれ?俺アルベルトさんに言いましたっけ?」

「武闘大会の優勝者と魔術大会の優勝者のいるEランク冒険者か・・・はははそれはおもしろいね」

「まだ魔術大会は優勝してませんけどね」


タカシが礼金の方の袋を覗いてビックリしている

「マーシーマーシー、こっちの礼金の方優勝賞金より入ってるで」

「とりあえずそっちは俺が持っておく。よこせ」

僕は礼金の方を受け取った。


金貨30枚・・・・・・マジか・・・・・。


優勝賞金の3倍かよ。





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