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男3人異世界ぶらり旅  作者: neon
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さぁ冒険の始まりだ



ゲーリーさんから一通り話を聞いて僕たちはフロントに戻ってきた


とりあえず街の外に出て色々ためしたいところだが


ついでに掲示板もチェックしていく。



ランクごとにそれぞれ依頼が貼りだしてある。


薬草採集、鉱物発掘、魔物討伐。


あまり数はないようで掲示板は結構スカスカだ。


時間帯が悪いんだろうな。冒険者もほとんど今はいないみたいだしな。


こんな朝はやくからは賑わってはないわな。




討伐依頼にオークとスライムが入っているな。稀に街付近まで降りてくるので見かけたら人を呼ぶか討伐してくれみたいな文面が記載されている。


オークにスライム、他にはグール、グリズリー、ワイバーンまでいる。


熊とか出るのか。


端の方に『盗賊山賊を捕らえたらギルドまで』


と書いてある。



やっぱり出るのか。



そういえば登録料とかとられなかったな。依頼をこなすことでギルドに還元しているような感じになるのかな?仲介手数料とか、悪く言えばピンハネみたいな。





「さてと、そろそろ行きますか」


ギルドを出ようとしたところ、待合スペースで座っていた4人組のウチの1人がこちらにやって来た。金髪で目の釣りあがったいかにもいじめっ子な感じの悪そうなヤツだ。


「よう。随分みみっちい装備だが、それで冒険者やんのかい?はははっ!」


二流漫画のモブキャラが、、、黙れよ


「すみません、これから頑張って皆さんのような冒険者になれるように精進していきます」

ぺこりと頭を下げて関わらないようにスルーしようとする。


「何見てんだゴラ。痛い目にあいたいのか?ど新人が」


タカシが険しい顔でその金髪を睨んでいる。まぁ、あれだ。メンチきってるとも言う。


待合の方からはやっちまえとか弱い者いじめなんかすんなよとかが聞こえてくる。


「はいはいはい、どうどうどう」


その間に割って入ってタカシを引き離す。


「マサル」


とタカシをマサルに引き渡すがタカシはじっとその金髪に視線を向けたままだ。金髪くんも視線をはずさない。2人の視線の間に火花が見えるよ。


「おい、何をしておるか」


カウンターの方からゲーリーさんが出てきた。ほっと僕は肩を撫で下ろした。


ちっ、と金髪くんが待合の方に身体を向けると僕はタカシの肩を押さえてギルドから出ていった。


一触即発だった。今のタカシが本気で人間を殴るとどういうことになるんだろうか?

漫画みたいに首だけ飛んでいきそうだ。


「次会ったら殺っていいか?」

タカシの機嫌が最悪だ。

「ダーメーだ。タカシの今の力MAXで人を殴るとどうなると思う?」


「どうもなれへんやろ。アイツがぶっ飛ぶだけや」

それでは済まなさそうだから言ってんだよ



とにかく今の僕達の戦力をきっちり把握する必要がありそうだ。


僕達はそのまま来た道を戻り、昨日入ってきた門から外にそのまま出ることにする。



今日もモルさんが門番をしていたので宿屋を紹介してくれた件のお礼を言い、挨拶半分でそのまま東へ進んでいく。



遠めで森が見える。



今僕達の左手は壁壁壁だ。この街は壁に囲まれていて北と南にそれぞれ門が設置されている。僕達は南門から出て真っ直ぐ東方向に進むとやっとのことで角まで来た。少し左手に傾けて視界に誰も居ないことを確認した。この辺りの草はとても背が低く視界は広く使える。人や動物が近づいてきてもすぐに気づくだろう。


さてと。


僕は5メートル近い石の壁を背に対面にタカシとマサルを体育座りさせている。


「今から今後のことを相談します」


「はい先生!」

勢いよくタカシが挙手する

「とりあえずあの金髪はぶちのめすということですね?」


確かにあの態度には正直僕もイラッとしたが、そんなことよりも大事なことは山積みなんだよ。

「今のところは保留だ。あんな小物を相手にするよりもやることがある」


改めて仕切り直す。


昨日ここに飛ばされて1日たった。少しづつだがこの世界のことも理解しつつあった。


「まずは何故ここに飛ばされて来たのかは考えないようにしよう。きっと答えは出ないからだ。時間の無駄だ。こういう場合必要なら答えの方から寄ってくるもんだ。そして帰る方法もとりあえず保留だ。そのうち何かしらの方法が見えてくるかもしれないが、それまでは特別何かをすることはないと思う」


2人が珍しく考え込む顔をしている。

と、マサルが話しだした。


「簡単に言うと、なるようになる。なるようにしかならないってことですか」


うむ、珍しく理解が早いな。


「簡単に言うとそういうことだ。それよりも優先したいことがある。それはこの世界に馴染むこと。この世界のルールを知ってこの世界で生き抜くこと。この世界で死なないことだ」


「まぁ難しいことは正直マーシーに任せるけどさぁ。俺は何をすればいい?レベル上げて強くなればいいんか?」

物事は簡単な方がいいからな、特にタカシは。


「当面はそうするべきだと思う。後は知識をつける。生きる為の知識。死なない為の知識だな。俺達の目標は生きること、生き抜くことだ。決してドラゴンを倒したり魔王を倒したりすることじゃない。生きる為に強くなろう。そして、できるかぎり」


「「「楽しむ」」」


分かってるじゃないか。


人生楽しまなきゃな。苦しみながら生き抜くなんて無理だ。その為にもこの世界ではとにかく強くなることが大事なんじゃないかと思う。贅沢するにしてもワガママ言うにしても強くなくちゃ何もできないと思う。



「よし、それじゃ始めようか」


「狩りですね?マーシー先生」

タカシが立ちあがる。


「リアルレベル上げ、、か」

と、マサルも立ちあがり


『さぁ冒険の始まりだ!』


と言ったマサルを僕とタカシは見逃すわけがなく


「寒っ」タカシはかわいそうな子を見る目でマサルを見ている


「マサル!もっかい言って!もっかい言って!」


僕も当然追撃する。



マサルは逃げだした。




「まぁなるようになるわな」

タカシは笑みをこぼしてそう言った。


「どうなるのかは見当もつかないけどな」

と僕は言うとタカシと向き合ってはははっとなんか笑えてきた。


タカシは大きく息を吸い込み「さぁ」と言う。


僕はハニカミながら頭をぽりぽりと掻いた


「「冒険の始まりだ」」



僕とタカシは逃げて行ったマサルをゆっくりと追いかけた。






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