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男3人異世界ぶらり旅  作者: neon
59/230

昔競馬の単勝で1.1倍って見たがそれに賭けてはずれたらどうしようもないよな





武闘大会の本選を明日に迎えての夜。ホテルで僕は1人読書にふけっていた。


「それにしても武闘大会って言ってるのに剣もありってどういうことなんだろうか?別で剣術大会ってのがあってもいいんだと思うが」


己の肉体で戦う武闘大会と魔法で戦う魔術大会。それなら武器防具も統一するべきだよな。




僕は手にした本のページをめくる。


今読んでいるのはこの世界の歴史の書かれた本だ。

よくあるファンタジー系の本で魔王がいて勇者が現れて勇者が魔王を退ける。退治したとは書かれていなかった。

この帝都から東へ。海を渡った先は魔大陸と呼ばれていてそこには魔族がいて魔王が存在する。魔王がこちらの人間世界に干渉することはほとんどなく近いものでも何百年も前になるようだ。それでもハグレ魔族みたいなものがたまに人間にちょっかいを出すことがありそれを帝都や軍事国家ジャマルが追い払っていると。


「魔王か・・・関わりたくないな・・・・」


と、僕の索敵にヒットするものがいた。


「廊下に3人組?3人共武器も持ってるな。僕の部屋はスルーしてマサルの部屋の前で留まってる」


ああ、そうか。本選出場者を闇討ちか。なかなか姑息なことを考えるヤツが居るもんだな。


僕は露払いくらいはしてやろうとドアに向かった。


シュン!!バタバタ!


索敵にもう1人反応が増えたと思ったら3人組は気絶状態に陥った。


僕は警戒しながらドアを開ける。


廊下に倒れた冒険者風の強面の男3人。そして、その3人を長い布のようなもので縛り上げるいつも笑顔のモーニングコールを提供してくれるスーツ姿の女の子。


その女性スタッフは僕に気づいて笑顔で対応してきた。


「お騒がせいたしました。不審者が廊下を徘徊しておりましたので処分いたしました。物音をたてて申し訳ございません」


「いえいえ、お気になさらず。こういうことってよくあるんですか?」

「武闘大会の出場者の寝こみを襲うのは、まぁ、しばしばございますが、当ホテルにお泊りの間はご安心ください。私共のおもてなしはお客様の安全ももちろん含めてでございます」

「あ、ありがとうございます」

「それでは私はこれで」


そういって女性スタッフは男3人を引きずりながら去っていった


なるほど、流石冒険者ご用達のホテル。従業員も元冒険者だったりするのかね。


さて・・・・寝るか。



そして武闘大会本選を迎える。





僕達は軽く朝食を済ませてから闘技場へと向かった。少し早めの到着になったが僕は席を確保しないといけないため早めに来たわけだ。


「お、トーナメント表が貼りだされてるな」


闘技場の入り口脇に大きなトーナメント表が貼り出されている。

タカシとマサルも気づいて3人で確認する。


「マサルとあたるんは決勝か」

「お、俺一回勝ったら次にロボとあたる。それで魔族ってのとやって決勝でタカシとか」

「こっちのブロックにおんのは十兵衛さんか。準決勝までお互いいけばあたるな」


良い感じにバラけてくれたか。十兵衛さん、ロボ、魔族。この3人以外は他より少々強いくらいで問題なさそうだった。





「お、去年ベスト4まで行ったクラーと鉄拳のグースがいるじゃねーか!他のメンツは聞いたことないようなヤツばっかだな!俺はグースに賭けるぜ!」

「いやいや待て待てグースの準決勝の相手は黒剣のギルじゃねーか!そうなると無傷ってわけにはいかねーぜ。ここはやっぱりクラーが本命か」


いいねいいねこういう評論してるヤツ。ところがどっこいグースってのは初戦でタカシにボコられてギルってのは十兵衛さんにやられるから大ハズレだな。


お、名前の下にオッズも貼りだされている。


タカシが5.1倍、マサルが5.8倍。


「マサルマサル。俺の方が強い評価やん。残念やな」

「いや、俺の方が真なる力を隠せていたと評価してもらおう」


ちなみにロボ2.9倍、魔族3.8倍、十兵衛さん5.2倍。

一番人気はさっき話題に出ていたクラーが2.4倍そしてグースが2.6倍。


タカシとマサルはだいたい真ん中くらいで最高倍率は9.2倍ってのがいた。


よしよし妥当なところだ。全くの無名だがほとんど無傷で勝ち上がってたからな。2倍3倍まで落ちなくて良かったよ。


「それじゃあちょっと早いが俺は観客席に行くよ。良い席とらなきゃならないしな」

「おお。それじゃあいこか」

「じゃあマーシーまた後でな」


僕は階段を上がって観客席の方へ。タカシとマサルは闘技場の中へと入って行った。




観客席は石造りの簡易なもので長時間座っていたらケツが痛くなりそうだ。周りを見るとほとんどの人が座布団らしきものを持参している。仕方がない。服でも敷いておくか。


観客席は自由席のようで入場の時に大銅貨5枚とられた。入ってすぐのところで勝利者予想の賭けチケットを販売している。


「さあさあ賭けていきなよ!今回はあまり名前の知られていない強者が多いよ!どの選手にだって可能性はある!!おすすめは大銅貨2枚で教えてあげるよ!!」


予想屋まであるのか。本格的だな。


興味本位。興味本位だよ。


「すみません。おすすめお伺いしたいのですが」

「お、いいよいいよ。何人かめぼしい選手がいるから解説するよ」


僕は大銅貨2枚を手渡す。


「まずは本命はやっぱり昨年惜しくもベスト4で敗れたクラーだ。槍を持たせたら帝都で右に出るものはいないって言われているぜ。対抗がグースだ。鉄拳のグースって言われていて文字通り拳が武器なんだがスピードは今大会1だって言われている。クラーの懐に入れたら勝つのはグースだ。っていうのが大方の予想される展開だが」


予想屋が顔を近づけて声のトーンを下げて続きを話し出す。


「今大会の初出場者の中に3人ほどめぼしいのがいるんだよ。まずは十兵衛だ。十兵衛はCランクの冒険者なんだがなんとソロなんだよ。たった一人でCランクの冒険者になるってことはそれなりに実力もある。予選も俺は見ていたがまだまだ実力を出してないって感じがしたからな。十兵衛は今大会きっと上位に食い込んでくるぜ。次にミラベルってやつだ(ああ、ロボのことだな)全身フルアーマーだから防御力も当然ながらスピードも速い。予選の決勝で見せたダッシュ力はありゃあ凄かったぜ・・・・・あれ?あんた予選出てなかったか?」

「ああ、見事にそのスピードに負けたものです」

「そうかそうか、あんたも体感したならあのダッシュ力は相当脅威だろう?最後は真っ黒な出で立ちのサイモンって野郎だ(ああ、魔族か)こいつは予選会で相手を全く寄せ付けなかった。速いとか強いって感じじゃなかったが涼しい顔して淡々と相手を無力化していた。こいつも十兵衛と一緒で全然実力を出していない感じだ」

「で?結果的にあなたは優勝は誰って予想しているんですか?」

この3人の名前を出したってことは素人ではないって分かるが残念ながらタカシとマサルの名前が出てこなかったから大ハズレだな。


「ああ、俺の予想は。ズバリ、『鉄拳のグース』だ」

結果2番人気かよ

「分かりました、ありがとうございます。ここでチケットは買えるんですよね?」

「ああ、あんたはどうする?誰に賭ける?」

「えっとちなみに賭け金の上限っておいくらなんですか?」

「ん?ああ、一応金貨5枚ってなっているが一体いくら賭けるんだい?」

僕の所持金は現在金貨12枚ってところか。帝都に着いてから結構使ったな。キャバクラ、風俗、装備買って酒にタバコか。

上限金貨5枚なら丁度いいな。


「じゃあタカシとマサルっていう格闘家に金貨5枚づつで」

「な!!??」

予想屋は目を見開いた。金貨5枚、すなわち500万相当と考えていいだろう。馬券の単勝に500万ってことだ。一体どこの金持ちの道楽だろうか。


しかし、今回は100%勝てるギャンブルだ。どっちが優勝しても金貨25枚。差し引きで金貨15枚が何もせずに手に入るってことだ。苦せずして優勝賞金よりも稼ぐことができる。


「おいおい、本当にいいのかい?この2人そんなにスゴイヤツなのかい?」

「いえ、倍率的に2倍で賭けるよりも5倍の方がいいじゃないですか」

「もちろん当たればそりゃそうだが・・・・」

「色々と収入があってお金はあるんですよ。ハイ、金貨10枚ですね」

僕は笑顔で金貨を手渡した。

「なんだいなんだいどっかの貴族のボンボンなのかい?それにしても思い切ったもんだな」

僕は馬券を・・・じゃなかった、木製の札を2枚受け取った。なにやら魔力が流れているようで不正できないようになっているのだろう。そこには1枚1枚にタカシ、マサルという名前と金貨5枚との記載があった。


「ありがとうございました。それでは目一杯応援してきます」

僕は良い席を確保するために観客席へと足を向けた。


「まさかオッズが下がったりしないだろうな・・・」


ボソッと僕は呟いた。




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