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男3人異世界ぶらり旅  作者: neon
53/230

なんなんですか?この主人公さんは




「これはこれはアルベルトさん」


「こんな夜遅くにこんな場所でどうされたのですか?冒険者が貴族街に用事なんてないでしょう?」


コイツどうやって僕が気づかないように近寄って来れたんだ?索敵も感知も気にしていたのに。


「夜の散歩くらいはしますよ。帝都に来たのは初めてで色々まわってたら連れとはぐれてしまいまして1人でフラフラしていたところです」


「おや?火事のようですね。知ってましたか?ここはルガー伯爵の屋敷なのですよ」

「そうなのですか?興味ありませんが」

「いやぁ、よく燃えてますねェ。そういえば君も魔法を使えそうですが、火魔法は使えるのですか?」

「結構得意ですよ」

「街中で決して使ってはいけませんよ。あのようになってしまいますからね」

と、ルガー伯爵の屋敷を指さすアルベルト。




殺るか?殺っちまうか?


いやいやだめだだめだ。何考えてんだ。


どうする?このままやり過ごせるか?完全にばれてるぞ。とりあえず昼間にステータスチェックできなかったから今やっておくか?今は選択肢出てないしな。


ステータスチェック


!?


だめだ、強い。



力、素早さ体力600オーバー。レイアガールってのを倍くらいに強くした感じだ。

剣術LV4に光魔法LV3


!!


索・・・敵・・・。


索敵持ちか!!


っていうことは僕が屋敷内に居る時にすでに場所の特定されてた可能性が高い。


だからか・・・

だからあの時に選択肢が出たのか。


アルベルトが索敵持ちだと分かっていたならもっと別の方法を考えていた。

別の方法じゃなくてもコイツの居場所くらいは警戒していたはずだ。

索敵以外のスキルが

感知、気配遮断、隠密移動、ガード、格闘LV2、槍術LV2、溜める、二刀流、魔法耐性、毒耐性、麻痺耐性、気功弾。

魔法も光魔法のほかに火魔法LV1、風魔法LV2、回復魔法LV1。

そしてLVは68と。


なんなんだよ、この主人公は。

気配遮断と隠密移動があれば索敵に引っかからないってことね。


「アルベルトさんは見回り巡回中だったのですか?」

「はい。帝都の平和を守るため」

「聖騎士の鑑ですね。すばらしい精神です」

「おや、向こうがにぎやかになってきましたね。一緒に参りませんか?お連れさんもいらっしゃるかもしれませんよ?」

「そうですね。2人もいるかもしれませんね」


僕はアルベルトと一緒にルガー伯爵の屋敷の入り口の方へと足を向けた。



道中アルベルトは淡々としていた。ここに放火の主犯がいるのに完全に舐められている。逃げようとしても捕らえる自信があるのだろうか?


あるな。

正直本気で戦っても勝てる気がしない。魔力だけが突出している僕は接近戦では不利。しかも魔法耐性ってなんだよ。魔法使い相手にしたら負けねーだろコイツ。


「おっとっと、人だかりになってましたねェ。はいはい通りますよー。マーシー君も一緒に来てくださいね」

聖騎士の隊長が現れると野次馬は自然と道を空けてくれた。もちろん僕も一緒に来るように言われたのでそのままアルベルトに付いてルガー伯爵の屋敷へと向かって行く。

あ、タカシとマサルが紛れていた。よし、お前たちも来い。僕は2人を掴んでそばに引き寄せた。

(なんで隊長さんと一緒におんの?)

(二人とも、戦闘の準備だけはしておけ。最悪の場合全てを敵に回して逃走するからな)

(え?見つかったの?隊長さんに見つかったの?)

(言っておくけど隊長は俺たちくらい強いからな)

(ホンマか?ちょっと横から蹴り入れてみてもええ?)

(ダメに決まってるだろ。とりあえず大人しくしていてくれ。今のところは捕まえるつもりもないみたいだからうまく話してみるよ)


「ああカイール。ご苦労様」

「隊長、どちらにいらっしゃったんですか?副隊長が探してましたよ」

「すまないね、ちょっと寄り道だよ。さあ3人もこっちに来てくれるかい」

僕たちは招かれて門から堂々と敷地内に入っていく。


中ではルガー伯爵含めて使用人全員が手錠のような物で捕らえられていた。ルガー伯爵は「私を誰だと思っている!」「何かの間違いだ!」「誰かの陰謀だ!」と叫んでいる。


忙しなく聖騎士の方々が屋敷を出たり入ったりしている。ダルの葉もちゃんと押収されて今は庭に山積みにされていた。


その脇にミズリー師匠と副隊長のレイアガールが2人話をしているようで僕たちはそこに近づいていく。


「隊長!ご苦労様です!おお!お前たちは昼間の若者たちじゃないか!」

「レイ、すまないが少しはずしてもらえるかな?彼女に大事な話があるんだ」

「分かりました!!それでは私は屋敷のものたちを城まで連行いたします!」

ビシッと敬礼をしてレイアガールは駆け足で去って行った。




作業をする聖騎士に離れて今僕の横にはタカシマサル。目の前にはアルベルトとミズリー師匠だ。


「さてとミズリーさんこの始末はどうつけるんですか?」

そう言った瞬間に僕は魔力を体内で練り始めた。屋敷も貴族街も関係なくこの辺り一帯を焼き尽くすことも考える。

「待ちなさいマーシー君」

はっと僕の魔力に気づいたミズリー師匠が声をあげる。

「ミズリーさんは関係ないですよ。隊長さん、責任はすべて僕が引き受けます。もしミズリーさんに何かを背負わせるというのなら・・・・今からここが戦場になりますね」

「責任か。はははは。責任があるというのなら今夜ある貴族の家に火が放たれると知っていて黙っていた僕にも責任があるわけだね」

知っていた?アルベルトが?

「マーシー君、私が話したのよ。聖騎士にも手をまわしておいた方がいいと思って先に説明していたわ」

「本当に事が起こるのかどうかは疑っていたがね」




はぁ、とんだ肩透かしだったわけか。

確かに聖騎士を巻き込むことも考えたがそれはミズリー師匠が手をまわしてくれていたわけか。だからこんなに早く聖騎士が駆けつけていたってわけか。


「こちらとしてはね、ルガー伯爵がダルの葉を所持していて売買しているであろうことは分かっていたんだよ。しかしどこに隠しているのか?屋敷にあるのか?確証がないため踏み込めない状態でね。地位の高いルガー伯爵の屋敷に踏み込んで何もなかったでは国も聖騎士も立場が危うい。どうするか悩んでいたところでミズリーさんからの話だ。国も聖騎士も関係ない人物が独断でダルの葉の確保に手を上げてくれたわけだ」

「一貴族の屋敷に火をつけるって聞いてアルベルトさんは黙認したってわけですね?中々腹黒いじゃないですか。もし何も出なかったらどうしていたんですか?」

「もちろん君たちを牢屋送りだろうね」

笑顔でアルベルトさんが答える。

「ダルの葉が見つかってよかったですよホント。それで?僕たちはこれからどうなるんですか?」

「どうもしないよ。ただの散歩をしていた冒険者なのだから。まぁミズリーさんは火事を素早く鎮火させたことと悪徳貴族の屋敷からダルの葉を発見したことによる表彰くらいは受けてもらいますが」

「分かりました。ありがとうございます。それでいきましょう」

期待通りの展開で僕は万々歳だ。

「ちょっとちょっと、私何もやってないわよ。かわいい弟子のお願い聞いてあげただけで表彰とか」

「この場合確かに彼らにも表彰や褒美が出てもいいんですが、やり方がちょっと・・・・」

「そうですよね、仮にも貴族の屋敷に火を放っているわけですからね」

「ということで今回は屋敷が火の不始末で火事に。ミズリーさんがすぐに気づいて火を消し止めた。そこでたまたまダルの葉発見。ミズリーさん大手柄。これに限りますね」

「ミズリー師匠。俺のわがままに付き合った報酬だと思ってください」

「わがままって・・・・。国の一大事レベルよ」

「ははははは、今回はこのくらいで治まってよかったですよ。帝都の平和も守られたわけですしね」

「ありがとうございました。本当にご迷惑をおかけしました」

僕はアルベルトとミズリー師匠に深々と頭を下げた。釣られてタカシとマサルも頭を下げる。


「いえいえこちらこそ。あ、そういえばマーシー君は武闘大会に出るんでしたね?あの大会は聖騎士選抜の予選会とも呼ばれていて目についた選手が聖騎士に抜擢されたりするんですが、マーシー君聖騎士に入ってみませんか?魔法使い枠ではありますが推薦しますよ?お給料もいいし将来安泰だし、なにより帝都の平和を守れますよ」

「せっかくですがご遠慮します」

「あら、そうですか。すごく名誉あることなんですがねェ、聖騎士になるってことは」

「この後行くところも決まっていて帝都には留まれませんから」

「わかりました。旅のご武運をお祈りしています」

「ミズリー師匠。今日はありがとうございました。本当にご迷惑をおかけしました」

「本当よ。これっきりにしてね」





そして僕たちはお咎めなくホテルに戻ることができた。ルガー伯爵たちは城の牢屋へ。ミズリー師匠も連れていた冒険者たちと一緒に帰っていった。ミズリー師匠の表彰の話は落ち着いてからということで明日明後日の僕の修行には影響はなし。


「事態が丸く治まって本当に良かったよ」

「せやな、なんか今日は疲れたわ」

「それよりもなぜマーシーだけが勧誘されたんだろう?」

「前掛けなんてしている聖騎士なんていらないからだろうな」

「これメチャクチャ便利なのに!ほら!やーきーとーりー!」モグモグと焼き鳥を頬張るマサル。

「これでオアシスに手ェ出すこともでけへんようになったしな」

「ああ、当初の目的どおりだ」

「あとは大会で優勝するだけやな」

「モグモグそしてその後は・・グフフフ」


よし、これで気にかけていたことが1つ解決した。

それにしてもあのアルベルトのスキルは気になるものが多かった。気配遮断とか魔法耐性ってどうやって身につくんだろうか?

今後機会があれば聞いてみたいな。


さて明日はミズリー師匠と約束があるからな。


僕たちは部屋に戻りベットへともぐりこんだ。




すみません。ルガー伯爵の名前が途中からなぜかジャガー伯爵になっていました。ご指摘いただきありがとうございます。じっくり読みなおして所々修正もしていきます。

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