そう好奇心は大事。決してやましい気持ちはない
帝都3日目朝。
僕たちは冒険者ギルドで朝食をとっていた。
「2人とも延長してるとかドン引きなんですが」
昨日タカシもマサルも相談することなく延長していた。かくいう僕もそうなので誰も責めることはできないが。
「あーー、夢から醒めた気分やわー。また行きたいわー。今日も行こっか?」
「昨日3人で一体いくら使ったかわかってんのか?そうそう何度も行ってられん」
「安い店を探すか・・・それとも冒険者ランクをガンガン上げて金を稼ぐことを考えるか・・・」
マサルがダメな感じに頭を使っている。キャバクラ風俗に足を運ぶための計画を練っていた。
結果延長料金が大銀貨3枚で30分。3人で金貨3枚なわけだからな。ものの1時間30分で1人100万いくとかないわ。その前の楽園でもだいたい金貨3枚くらいとしたら一晩で金貨6枚。600万は使ってるんだぞ。
ワイバーンや一角牛はボーナスステージみたいなもので簡単に出くわすことはないと考えるとポンポンキャバクラ風俗通いはできない。普通に宿泊費や食費にまわす分は多めに確保しておかないと。
「一晩で金貨6枚だからな。そこいらの冒険者が聞いたら絶句するぞ。いや、タカシ。武闘大会で優勝したら余裕でいけるな」
「そうか、大会で優勝したら金貨10枚。余裕で行けるな。なら大会終わったらまた豪遊しようや!」
個人で自分だけで行くという選択肢が出ないタカシはホント尊敬できるよ。
さて、武闘大会までにはあと丸3日ある。それから武闘大会が予選に2日、本選で2日。終わった次の日は1日休息日にして次の日滞在期間終了日にリアの街へ移動だ。ここでできることはこの3日で全部終わらせておきたい。
「とりあえずこの帝都でやりたいことがあればこの3日中に終わらせよう。武闘大会後は優勝者ってだけでどんなイベントが発生するか見当つかないしな」
「もうすでに優勝する体で話しているのもどうかと思いますがその後勧誘だったり腕試しで決闘挑んでくるヤツがいたりということですね」
「マサルの言う通り何かしらあってもおかしくないとは思う」
「大会終わった後の楽園からのオアシスコースは絶対外されへんからそれまでやることやっとかなってことやんな?」
もちろんその通り。最終日は予定変更なしだ。
「個人的にやりたいことがあれば先に言っておけよ。欲しいものもそうだし」
「俺は別になんもないかな?タバコだけ手に入れば大丈夫やわ」
「俺は飯が調達できればそれでよし」
2人とも特にはなさそうか。
「じゃあとりあえず今日から3日間の予定だが、まず東地区に行こう。とりあえず真っ先にタバコをゲットする。単純に店に置いてあるならいろんな種類を買い込むだけだ。金額面が気になるがまぁ大丈夫だろう。次に図書館に行く、もしくは本屋でも構わない。これは俺向けになるが魔法の知識の回収だ。他にも気になることがあれば時間作ってでもゆっくり調べておきたかったしな」
「本屋かー。俺は結構好きな方だが、タカシは暇なんじゃねーの?」
マサルは結構本を読む。相対性理論やらひも理論やらの話を居酒屋で真顔でしていたことがあったが正直意味が分からなかった。好奇心旺盛なのはタカシもマサルもそうだが少々ベクトルが違う。
「俺は漫画くらいしか読まんなー。後はサッカー選手の自伝くらいかなー」
「どう考えても両方ないな。まぁ気になるものだけあればなるべく持ち帰ってホテルで読むことにしよう。図書館なら借りる。本屋なら買ってしまおう」
「マーシーマーシー、俺できれば武器が欲しい」
「こん棒か?」
「いやいや別にこん棒じゃなくてもいいですが。拳で殴れないようなヤツとか居たらどうしようかと思って。タカシは一応剣持ってるし」
全然使ってないような気がするがな。あ、一回ワイバーンに投げつけてたか。
「よし、じゃあこうしよう。俺は冒険者ギルドに少し用事があるからその間に2人で武器を見てまわって来い。先にそれを済ませてから東地区に行こう」
「何すんの?」
「誰かに魔法の教授を頼めないか聞いてみるだけだよ」
「魔法ってめんどーやな。色々あって便利そうやけど俺は格闘家で良かったかも」
適材適所。ウチはいいバランスしてると思うよ。
「よし、じゃあ金貨3枚渡すからこれくらいで何か良さげなの見て来いよ。ちなみに少しの買い食いくらいは見逃すが酒はダメだ。もっとダメなのは娼館に行くことだがな」
「ダイジョーブダイジョーブ。ソンナンイクワケナイヤン。ダイジョーブ」
「両目がクロールをしているが本当に行きやがったらその目をくりぬいてやるからな。大丈夫、その後すぐにヒールしてやるから多分大丈夫だ」
「お、おう。も・・もちろん行かんよ」
そして僕はマサルに金貨3枚を手渡して2人と別れた。とりあえずギルドの人にちょっと聞いてみるかな。
受付に向かう。
今日も右端のカウンターは大盛況だな。
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並んでみるか。
決してエロい気持ちで並んでいるわけではない。これだけの冒険者がわざわざ並んでいるのを見ると何か利になるものがひょっとしたらあるかもしれない。話をするだけで魔力がアップするとか運がアップするとかちょっとしたイベントである可能性はあるんじゃないだろうか?
と、そんなことを考えながら並んでみるものの完全に言い訳にしか思えない自分の思考が恥ずかしい。
20分ほど並ぶとやっと順番が来た。
「いらっしゃい。今日はどんなご用かしら?」
めちゃくちゃ美人でエロい。ウェーブのかかった金髪ロングに白い肌。年は僕よりも少し上くらいだろうか?胸元のはずしたボタンがその大きな胸を物語っている。
「すみません。こちらに魔法に関して詳しい方はいらっしゃいますでしょうか?私魔法を少々嗜んでいるのですがいささか我流でして魔法の知識が乏しく色々困ってまして。できれば少し時間のとれる方にお話をお伺いしたいのですが」
と、僕はそのメロンに・・・じゃなかった、受付に相談してみる。わざわざこのカウンターに並んで相談することじゃないなとふと思う。
ファサッと髪をかき上げて足を組みなおす受付さん。ふとももムチムチでエロい。
「魔法使いねェ。ちょっとこの石持って魔力を込めてみて」
ビー玉くらいの白い石を手渡される。
魔力を込める?どうするんだ?魔法使うときに魔力が流れるのは感覚で分かるからその魔力だけを流せばいいのかな?
「えいっ」
パキン!
石が割れた。
ニヤリとその受付さんの口元に笑みがこぼれる。
あ、やっちまったかも。
「ゴメンねー皆!今日は私ここまでなの!また来てねー」
と、席を立ち僕の後ろに並んでいた冒険者たちに向かって声をあげた。
そして僕に耳打ちする。
(5分したら買い取りカウンターの方に来て)
受付さんはクローズの札を出してカウンターを後にした。
「そりゃあないよー」
「ええーーー」
と、後ろから聞こえてくるが僕のせいにされるとまずいと思いスゴスゴと僕はその場を離れた。
まずいな、嫌な予感しかしない。完全に何か感づかれてると思うし、受付さんと2人で会ったってことをタカシとマサルに知られるのがやばい。
5分経つ。
さぁ、行こうか。何が待っているやら。




