娼館初体験。これからはこの為に金を貯めようと誓う
すぐに女性2人が寄ってきて頭を下げてくる。
「ありがとうございました。お怪我はございませんでしたでしょうか?」
お姉さんの方が声をかけてきてくれたがそのお姉さんの頬には痣が見える。
「彼には怪我は一切ないですよ。それよりも」
と、僕は右手をそのお姉さんの頬に添え「ヒール」
淡い光に照らされたお姉さんの肌は綺麗に元通りになった。
「あ、痛みがなくなった」
「すごい、回復魔法?」
おや?回復魔法は希少価値があったのかな?若い方の女の子が口を覆いながら驚いた。
「あ、ありがとうございます。こんな傷なんかに回復魔法なんてわざわざ」
「女性の顔の傷にこんなもそんなも無いですよ。綺麗に治って幸いです」
「助けたマサルを差し置いて全部マーシーが持っていきやがった。そんなんマーシーにしかでけへんわ、流石鬼畜」
「マジマーシー鬼畜」
「やめてくれ。人に支えられて立ってるのがやっとのフラフラの状態でそんなこと考えてられるか」
「大丈夫ですか?どうぞ中に入ってください。ここではなんですから」
僕たちはお姉さんに誘われて店内に移動した。バトッたマサルよりもフラフラの僕は申し訳ないように後ろに続いた。
割れた看板には『オアシス』とかいてある。店内に入って僕らは待合のような場所のソファに腰をかけた。お互いに自己紹介をしてお姉さんの方がミルウルさん。この店のオーナーさんらしい。
20才くらいの先ほど連れ去られそうになっていた女の子の方はマリベルちゃんといってここの娼婦のようだ。それにしてもエロい服装だ。白いスケスケのワンピース。腕も肩もむき出し。スカートは膝上のミニ。流石娼館。
お盆にお茶を乗せて出てきた女の子もマリベルちゃんと同じ服装だった。こちらはマリベルちゃんよりも大きくて衣服からこぼれそうになっている。もちろん胸が。これがここの制服ってことか。最高だな、まさにオアシス。
さっき揉めていた事情を聞くと簡単に言えばあのメタボのおっさんにマリベルちゃんが見初められたってとこだ。で、金貨3枚でマリベルちゃんを買い取ろうって話だったらしい(もちろん一方的に)この国には奴隷制度もあるのでメタボのおっさんからしたら娼館も奴隷館も同じ感覚だったのだろう。ミルウルさんとマリベルちゃんからしたら娼館は誇りを持って就いている仕事だということだ。もちろんお金のために娼館で働いて身売りもしている娼婦や店舗もあるようだがここオアシスは女の子全員プロ意識を持っていてお客さんをもてなすプロスタッフばかりだという。
ああ、そういえばルガー様って言っていたなさっきのメタボのおっさん。ルガーと言えば帝都に入るときに横入りしようとしていたヤツがそこのもんだと言っていた。上も下もクズってことなのかな?
「すみませんミルウルさん。出過ぎた真似をしてしまったかもしれません。さっきの太ったおじさんって偉い人だったんでしょう?今後なにか嫌がらせとかあったらすぐにそこのマサルに言ってください。すぐに差し出します」
僕はタカシにもたれかかりながら言った。
「いえいえ、大丈夫ですよ。アイツは出禁にしますから。あんなヤツ店に入れるつもりはないですし」
偉い貴族をアイツ呼ばわりとはなかなか気持ちのいいお姉さんだ。
「ちょっとお茶をいただきます」
ずずずずっと一息。
お茶がうまい。
「ところでコレってキセルですよね?どこかで手に入るんですか?」
僕はさっき拾ったきらびやかなキセルを取り出した。
「ええ、ルガー伯爵のものね、それ。それなりに値がはるから貴族くらいしか買わないものよ。東地区の方になら売ってるんじゃないかしら?」
そりゃまぁ、たばこなんかに金を使うのなら冒険者ならひとつアイテムや装備、生活費に使うだろうな。百害あって一利なし。
しかしそれでも買う!
キセル自体が高いわけではないんだろうが、多分葉っぱの方が高いのかな?識別で調べたところ『ダルの葉』となっている。
「このダルの葉がやっぱり高いんですか?」
「「!!??」」
女の子二人の顔が驚愕した。
なんかまずいこと言ったんだろうか?
「ダル・・・の・・・葉って・・・」
「なんか今俺まずいこと言った?このキセルにセットされてるのがダルの葉みたいなんだけど」
「ダルの葉は帝都で売買は禁止されているわ。幻覚作用があって使用する本人にも煙を吸ってしまう周りの人にも身体に良くはないわ」
あ・・・薬物的な?
「ドラッグか?ドラッグなのか?」
「NO薬物!ドラッグ反対や!」
ただ、これがこのキセルにセットしてあるということはルガー伯爵かなり黒いことしてそうだな。
「ルガー伯爵がダルの葉を持っているとなるときっとたいへんなことになるわよ。聖騎士に突き出してやろうかしら」
「まぁ自分のじゃないって言いきれば逃げられそうですね」
どの世界でも偉い人間はどうとでも逃げることができるもんだ。
ずずずずずっとお茶をもう一口。
「それで、あなたたちはどうしてこんな所に?見た感じ随分酔っているみたいだからお酒飲んだ後みたいだけれど?」
核心ついてきたな。呑みの後の風俗探し中でしたと言うのがなんだか恥ずいな。もしかしたらその辺りは感ずいているような気もするし。
「3人で飲み明かして次は明日の為に心を癒せるところを探してました」
マサルが踏み込んだ
「そうなんや、マーシーがぜひって言うて。ここ帝都の娼館は癒しの空間を提供してくれるって聞いて一度は経験しとかなって」
あ、僕がダシにされた。
「そこでたまたまさっきのに首を突っ込んだ次第です」
「あら、そう。ならウチはどう?結構人気あるんだけど?」
願ってもない。願ってもない話です。マリベルちゃんもさっきお茶を持ってきた女の子もかなりレベルが高い。店の中も高級感はあるがすごく落ち着いた感じで雰囲気がいい。
「ちょっとー」
パンパンとミルウルさんが手を叩くと中から5人の女の子がでてきた。
「「「はーい」」」
皆同じ服装。もちろんスケスケワンピース。だめだ、鼻血出そう。
タカシとマサルが目を輝かせている。
「タカシ、マサル。ここでいいなら俺は文句ないぞ。こんなにかわいい子ばかりだし」
「異論はない」
「これも運命やったってことで」
3人とも同意。
「じゃあぜひお願いします。こういうところってお代金は先払いですよね?おいくらですか?」
「あら、いいわよ。お礼ってことで」
「あかん、そんなんはあかん。俺たちは見返りが欲しいわけじゃない。お礼ってことならサービスを普段以上にしてもらえたらええ」
良いこと言ってるように聞こえるが、お礼の分サービスを上乗せしてくれって言ってるだけだからな。
「あら、いいのに。高いわよ?」
「1人1時間大銀貨7枚、指名料大銀貨1枚ですね?じゃあこれを」
僕は金貨を2枚と大銀貨を4枚手渡す。
「じゃあ指名料くらいはサービスするわ。サービスはもちろん3人ともたっぷりさせてもらうから期待して♡」
「ありがとうございます。ほら、タカシとマサルはどの子にするんだ?」
2人が腕を組んで悩んでいる。まぁこの5人なら正直どの子でも問題ない。全員ドストライクだ。
左から金髪巨乳、茶髪巨乳、黒髪巨乳。
そして清楚な感じの金髪美女に、ショートカットの茶髪の美女。
ミルウルさんが「この子はこんなサービスを。こっちの子はこういうのが好き」などという説明をしてくれているがウチの2人の目線は左3人の胸から離れない。
「じゃあ俺は真ん中の子を」
マサルが動いた。
「それじゃあ俺は・・・・・・さっきお茶運んできてくれた子っていける?」
タカシが欲張った。
確かに。確かにこのメンバーよりも胸が大きかったような気がするが。思い切ったなタカシ。
「メーブルちゃんね?いいわよ。メーブルちゃーん」
「はーい」
中からメーブルちゃんがでてきた。
やるなタカシ。
その観察眼は本物だったか。並べば分かる。一番胸が大きい。マサルがタカシを睨んでいる。
「じゃあ俺はメーブルちゃんでよろしく。マーシーは?どのおっぱいにするん?」何それ?僕を貶めるつもり?
「左の金髪の子で」
「あら、みんな胸が大きい子が好きなのね?」
右の2人とマリベルちゃんが自分の胸を申し訳なさそうに触る。そういうわけじゃない。そういうわけじゃないよ。ウチの2人はそうだけど。
「それじゃあ3名様どうぞー」
僕たちはそれぞれ1人づつ女の子に部屋まで案内されてついていく。僕は恥ずかしながら1人では足元がふらついて歩けない状態なので女の子に肩を貸してもらいながら部屋まで連行されていった。
まずい。ここまで動けないとは。
僕は今部屋のベッドで女の子と2人並んで座っている。
「大丈夫?顔色悪いよ?」
あ・・そうだ。
「大丈夫大丈夫。ヒール。キュア」
僕の身体を薄い光が纏う。
お、かなり良くなった。すげーな回復魔法。こんな使い方もあるのか。
「何今の?回復魔法?こんな使い方する人初めてみたわ」
「確かに。俺も初めて使ったよ」
はははは、とお互い見つめて笑顔を見せる。
部屋は薄暗く簡素な造りだが思っていたよりも広い。しかも、風呂付きだ。
部屋の半分がベッドスペースでもう半分はそのまま風呂になっている。天井も高くなっていて水蒸気がこもらないように考えられているようだ。そういえばまわりの音も聞こえてこない。どうやらマジックアイテムで換気も防音もされているらしい。欲しいな、そしてできれば作りたい。
「じゃあ先にお風呂にはいりましょうか」
金髪の女の子ミシュカちゃんは恥じらいもなく着ていたワンピースを脱ぎ、下着も脱ぎ捨て裸に。僕も続いて裸になり一緒にお風呂へ。
その後お風呂、ベッド、お風呂、ベッドと繰り返し夢のような1時間はあっという間に過ぎていく。
「延長する?」
「します」
そして帝都2日目は更けていった。




